労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

タクシー運転者の最低賃金

2011-10-31 | 書記長社労士 労務管理
 タクシーで働く労働者の賃金が、法定地域最低賃金を下回っていないかどうかチェックする場合、タクシーの賃金制度に歩合給(出来高払)制が多く採用されている関係で、ずいぶんとややこしい。
普通なら毎月決まって支払われる賃金から、時間外・休日・深夜の所定外給与を除外して、そしてその所定内給与から精皆勤手当・通勤手当・家族手当を除いて、労働時間で割ればいいのだけど。
だけどタクシー労働者の賃金は、歩合給のなかに、所定内労働の部分の歩合給と所定外労働の歩合給が合算されているからややこしい。
さらに固定給というものが存在しない、オール歩合給制(いわゆるB型賃金・B賃)の賃金制度があるのでますますややこしい。

 オール歩合の賃金の計算を、①歩合給=売上×○○%(歩合率)、②時間外割増賃金=①の歩合給÷総労働時間×0.25×時間外労働時間、③深夜割増賃金=①の歩合給÷総労働時間×0.25×深夜労働時間、と明確に区分して計算されていたら、この①を総労働時間で割っちゃえば時間当たりの賃金額がでる。
これを法定地域最低賃金と比較すればいい。
しかし、時間外も深夜もすべて含んで売上の○○%というふうにされていると、時間当たり賃金の計算が難しい。(こういうタクシー会社が多いのだ)

 オール歩合制賃金を分析すると、
総支給額(精皆勤手当・通勤手当・家族手当は含まない)=総労働時間×時間当たり賃金+(時間当たり賃金×0.25×時間外労働時間・・・時間外割増賃金分)+(時間当たり賃金×0.25×深夜労働時間・・・深夜割増賃金分)
という計算式で構成されていることになるので、オール歩合賃金制度の場合の、割増賃金を控除した時間当たりの歩合給額は、次の計算式によって算出する。

時間当たりの歩合給額=総支給額(精皆勤手当・通勤手当・家族手当は含まない)÷(総労働時間+0.25×時間外労働時間+0.25×深夜労働時間)

 この計算式で出て来た時間当たり賃金額と、都道府県別の法定最低賃金額とを比較すればいい。

 しかしタクシー会社で、次に問題になるのが、この労働時間。
就業規則などで定められた労働時間が、そこで働く労働者の労働時間の実態とちゃんと「イコール」になっているかどうか。

 きちんと正確に労働時間管理がなされていたら、就業規則などで定められた労働時間を基礎にして、入庫が遅れた場合などの時間外労働を加えて、総労働時間や割増に相当する時間を算出すればいいが・・・。
そうでない場合は(出入庫・休憩などの労働時間を正確に管理していない場合は)、タコメーター(タコグラフ)や日報により実労働時間を算出されて、最低賃金の比較に使われる場合もあるので要注意。
結果、法定最低賃金との差額を支払わなくてはならなくなり、そして罰則(50万円以下の罰金)が課せられることもあり、さらに相互通報制度によって運輸局の監査対象となって、行政処分につながることもある。

 タクシーに関して「最低賃金」が問題になっているというのは、厚生労働省の最低賃金を案内するパンフレットにタクシー事業者向けのもの-最低賃金制度パンフレット(タクシー運転者の最低賃金について)-が特別に用意されている点で明らかだ。(それだけ要注意業種なのだ・・・悲しい)

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