WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ムーン・ビームス

2007年01月21日 | 今日の一枚(A-B)

の●今日の一枚 117●

Bill Evans     Moon Beams

Watercolors0004_1

 メロディーを聴く男、寺島靖国氏が「愛聴盤」だと語る、ビル・エヴァンスの1962年録音作品『ムーン・ビームス』(Riverside)。寺島氏によれば、かつてフランスの批評家がこの作品を評して「女の腐ったような作品」と言ったそうだが(『辛口ジャズノート』)、軍艦でいえば、「大鑑巨砲主義」、そういう時代もあったということだ。

 最近のSwing Journal 誌上の論争などを見ると、寺島氏の意見にはあまり賛同できない私ではあるが、このアルバムを大きく評価する寺島氏の感性は大好きだ。美しいとしかいいようのないメロディー、繊細なタッチ、素晴らしいのひとことだ。

 もちろん、林家正蔵(当時こぶ平)師匠のいうように、眠くなる、刺激が足りない、ベースがスコット・ラファロならもっと素晴らしいものになっただろうに……、などの評価もありうるだろう(『ジャズ批評別冊ビル・エヴァンス』)。けれども、心が疲れた時に聴くこのアルバムは格別である。② Polka Dots And Moonbeams の出だしを聴くと、あまりの美しい響きに、身体の力が抜け、心がとけていくような感覚を覚える。

 Bill Evans (p)   Chuck Israels (b)   Paul Motian (ds)

[ビル・エヴァンス関連記事]

  クインテセンス

  ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング

  エクスプロレイションズ

  アンダーカレント