情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

マジカルスプーン

2007-02-14 | 情報科・全般
東京都立大泉高等学校の情報科の公開授業を参観してきました。「マジカルスプーン」という教材、生徒がスプーンを使ってパソコンに入力した命令よって飛行船を飛ばすという発想に以前から興味を持っていました。今回、初めて実際の授業場面を見学させていただきました。

授業では、生徒が1分交代で飛行船を飛ばしていました。生徒のほとんどがコンピュータに対して命令を入力できず、思い通りに飛行船を飛ばすにはいたりませんでした。1分では短すぎた印象です。この1時間だけを見ると、生徒は楽しんで取り組んでいましたが、結局何を学んだのか、待っている生徒の学びは保障されているのかなど疑問に思う点がありました。飛行船がエアコンからの風に影響を受け、生徒は思い通りに飛ばせませんでした。なぜ飛行船でなければいけないのかというのも疑問点です。これについては他の文献に説明されているのでしょうか。この教材は2符号でコンピュータに対して命令を与えているだけであり、制御の仕組みまでは学べないのが、せっかく実物の機械を使っているのにもったいないと思いました。

配布された資料によると、この授業の前段階では、符号理論について生徒が学習しているようです。パリティビットなど、重要な内容が含まれています。その上で飛行船の動作に関する命令を生徒が2符号で設計したようです。大変興味深い内容です。自分の作った符号で飛行船が飛んだら確かに感動があると思いました。「情報A」だからという理由で、「総合実習」と名付けたワープロや表計算、プレゼンテーションの利用を中心に位置づけている学校が多い中、このような実践は今後の教科「情報」を支えていくものだと期待しています。

最後に開発者の方が生徒に向けてお話をされましたが、この方は都立大泉高等学校の卒業生だそうです。技術屋らしく、とても力強いお話が聞けました。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3学期第9回 : 車の動きを自動... | トップ | 3学期第10回 : センサによる... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お越し頂きありがとうございました (田崎丈晴)
2007-02-23 22:13:02
こんにちは,先日はお世話になりました.お世話になっただけではなく,評価もしていただき,感謝いたします.まずは,疑問に思われた点について,説明します.■結局何を学んだのか・・・授業公開の翌週,ふりかえる時間をとりました.符号と情報の関係といった授業のテーマそのものに関するものから「チームワーク」といった活動に関するものまで,いろいろなことを学んだようです.■待っている生徒の学びは保障されているか・・・他の班のアイディアを自分の班の参考にしようとしたり,授業者の説明を聴いたりする時間になってしまいましたが,元々はワークシートをもとに作戦会議をしたり,実習後のまとめをしたりする時間という位置づけでした.■なぜ飛行船でなければならないのか・・・私は特に必然性は認めていません.実際,他のクラスでは他の教具を使って「情報の符号化」を扱った実習を展開しています.目的に沿った教材であれば,飛行船でもそうでなくとも問題ないと認識しています.「あーおもしろかった」で終わらせないように,教員がしっかりまとめることは必要ですね.

授業者としては,もっと試行錯誤する時間を与えたかったのですが,現行のカリキュラムでは1週間に1時間のみですので,長い期間かけて飛行船ばかりやるわけにもいかず,苦しい選択でした.制御のしくみも,手元に実機があれば,必要なときに取り出して説明することもできたと思います.来年は週2時間になりますし,飛行船も一定期間レンタルできるようなので,もっと落ち着いて取り組めると思います.

とはいえ,厳しい目で見ていただけることがとても少ないので,励みになります.ありがとうございました.
こちらこそありがとうございました (長嶋 秀幸)
2007-02-25 06:30:54
私の疑問に関しての説明をしていただき、ありがとうございます。ただ、誤解されてしまったかもしれませんが、田崎先生への疑問や批評ではなく、「マジカルスプーン」という教材についての疑問でした。「他の文献に説明されているのでしょうか」と書いたのは、「この教材を開発されている方が」という意味です。文章が下手ですいません。

飛行船が班の数だけあれば、待っている生徒がなくなるし、操作の時間を十分にとれるのでよいと思うのですが、それだけの数の飛行船を飛ばすスペースはないですよね。この教材の限界を感じてしまうのですが...
いやいや,いいんですよ (田崎丈晴)
2007-02-25 07:37:32
疑問でも批評は文句と違って前向きな議論なので,一向に構わないと思っていますし,むしろ歓迎なのです.職員会議が無ければ研究協議会したかったですね.残念.

飛行船の数については,班の数とはいいませんが,2~3班に1つ,4人1班にして3~4台はあると,作戦会議から実験までいいタイミングで授業ができそうですね.ネックは,飛行船を買う予算でしょうか・・・あとヘリウムガスの値段も・・・生徒の反応を見ると,必修でやる意義を感じるところですが.

ただ,システムそのものは,スプーンで制御する部分を置き換えれば自動運転できそうなところまで完成されているので,システム面から詳しく理解するための教材として選択科目で使う,という考えもアリだと思います.せっかくここまでのものが出てきたので,無くすには惜しい.

開発者から出ている文献リストは,リンク切れになって見ることができませんでしたが,電子情報通信学会の信学技報などに数通,出ていたと記憶しています.

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

情報科・全般」カテゴリの最新記事