情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

2学期第6回 : 論理回路の素

2006-09-29 | 情報科・授業
「論理回路」には3つの種類があることをこれまでに勉強してきましたが、今回はその論理回路を実現するにはどうすればいいのかが学習内容です。論理回路の素となるリレーのしくみについて学びます。授業の流れは以下の通りです。
  1. 電磁石を用いたリレー
    1. 電磁石って何だっけ(生徒への発問)
    2. 電磁石とスイッチを組み合わせたのがリレーのしくみ
    3. リレーの動きを提示(OMRON G2R-1)
    4. 機械式リレーを使った計算機の映像
      • プロジェクトX『国産コンピューターゼロからの大逆転~日本技術界伝説のドラマ~』(NHKエンタープライズ)の冒頭部分 : FACOM128(1956年,富士通)での計算の様子
    5. リレーを用いたNOT回路の回路図
    6. リレーを用いてAND回路、OR回路の回路図を生徒に考えさせる
  2. 真空管
    • エジソン効果
  3. トランジスタ
    • 導体、絶縁体、半導体の特徴
    • 点接触型トランジスタの電気の流れを図で説明
  4. IC, LSI
今年からOMRONのリレーを授業に利用するようにしました。書画プロジェクタで提示用モニタへリレーを映し出します。コイルに電圧をかけるとスイッチが動く様子がよく分かります。生徒たちは興味を持って見てくれました。1.6の回路の作図では、すぐにできる生徒と全く手をつけられない生徒が半々くらいでした。作図をできない生徒が授業中にちゃんと授業を聞いていない生徒ばかりではありません。作図をできない生徒と中学校技術科での電気の学習の程度の相関関係を調べてみたいと思いました。

後半は実物を使わず説明ばかりなってしまうので、真空管やトランジスタ、LSIを使った簡単な演示実験をできるといいと思いました。そのためには自分がもう少し勉強しなければなりません。

2学期第5回 : 論理回路の計算演習

2006-09-28 | 情報科・授業
論理回路の組み合わせ回路での計算方法を学習し、論理回路を組み合わせることによりさまざまな計算をおこなえることを学びます。授業の流れは以下の通りです。
  1. 加算器
    1. 1ビットの足し算をおこなう
    2. 半加算器の回路図において、加算される数がそれぞれの場合において回路の計算結果が正しいことを確認
  2. 論理回路 練習問題
  3. 全加算器のコンピュータシミュレーション
ここまではよく理解できている生徒が多く見られました。全く手をつけられないという生徒はごく少数であり、個別に対応する時間がありました。

2学期第4週 : 論理演算(2)

2006-09-25 | 情報科・授業
前回に引き続き、論理演算のOR演算とNOT演算を学習します。3つの基本論理回路をパソコンでシミュレーションしました。授業の流れは以下の通りです。
  1. OR演算
    1. 「A OR B = C」の式の意味を説明
    2. 契約を例に説明
    3. OR回路図を図示
  2. NOT演算
    1. 「NOT A = C」の式の意味を説明
    2. NOT回路図を図示
  3. AND、OR、NOT回路での電気の流れをパソコンでシミュレーション
    • 授業支援教材「論理回路のシミュレーション」(実教出版) 山口弘泰先生(立教池袋中学校・高等学校)
論理回路のシミュレーションでは、Excelのブックを使います。Excelのオートフィルを使うので、生徒にとって操作が難しいという問題があります。Excelの利用方法を学習するのが目的ではないので、Excelの機能を使わずに簡単に論理回路を作成でき、シミュレーションするソフトがあればいいなぁと思いました。

2学期第3回 : 論理演算(1)

2006-09-14 | 情報科・授業
今日からコンピュータの計算のしくみという、コンピュータの原理について学びます。コンピュータの最も基礎となる部分ですから、ゆっくりていねいに授業をしていきたいと思います。授業は流れは以下の通りです。
  1. 1学期の復習
    1. コンピュータの計算のしくみ
    2. CPUに電気が流れている様子
      NHK デジタル進化論 第3回「0と1はこんなに便利!?」
    3. 電気で計算をおこなうことの利点
  2. 2進数の計算
    1. 論理演算と四則演算
    2. 教科書を読む
  3. AND演算
    1. 命題とは
    2. 「A AND B = C」の式の意味を説明
    3. 大相撲の新弟子体格規定を例に説明
    4. AND回路図を図示
    5. AND回路での電気の流れをパソコンでシミュレーション
      授業支援教材「論理回路のシミュレーション」(実教出版) 山口弘泰先生(立教池袋中学校・高等学校)
AND演算の具体例として大相撲を取り上げたのは、昨年と同様です。今の高校生は舞の海関のエピソードをほとんど知らないですね。他の例を考えたほうがいいのでしょうが、思いつきません。何かいい案ありますか。

これからの数学教育

2006-09-04 | 教育問題
先日工学院大学に行ったときに、蔵原先生から数学教育実践研究会全国大会(2006/8/7)での記念講演「これからの数学教育-世界の課題・日本の課題-」の資料をいただきました。

蔵原先生はよく、数学を勉強することがなぜ必要なのか、社会でどのように役に立つのかを子どもたちに話さなければならないというようなことを言われます。「算数・数学教育はこうした世界を作る上でどのように関わることができるかということが重要な問題です」「子どもたちの将来において算数・数学教育はどんな意義があるのでしょうか、どういう役割を果たすことができるのでしょうか」と述べられています。

「「受験がないと勉強しない」といった乱暴な議論を克服し、楽しいから、わりかたいから、必要だから勉強する」「教員の問題としては、「試験に出るから勉強しろ」といった勉強させるために安易に試験や成績を理由にハッパをかけるのではなく、算数・数学を学ぶ意味がとらえられる授業をしていこう」と述べられています。

他にも示唆に富む内容ばかりでここに全てをあげることはできません。一つだけ言えることは、この問題は算数・数学だけの問題ではなく、現在の学校教育全体に言えることだということです。