情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

教科「情報」とWWW

2006-01-23 | 情報科・全般
先日、「総合実習」について書いたので、今回はもう少し教科「情報」とWWWの活用について書きたいと思います。

佐伯胖先生は、「インターネットを教室に接続していろいろやってみましたという教育実践の報告をみると、たしかにいままでにはみられなかった種類の活動が生まれていることはわかる。子どもたちはクラスのホームページをつくり、授業でつくったさまざまな作品の情報を世界中に『発信』し、さまざまなデータベースにアクセスして、興味深い画像や文書をとりこんで立派な作品をつくっている。しかし、、そういう新しい活動をとおして、ほんとうに学校が変わったのか、子どもたちの学びが変わったのか、さらに、いったいどう『新しい知識や技能』が子どもに『身についた』(学習した)と言えるのだろうか」と述べられています(佐伯胖『マルチメディアと教育』太郎次郎社, 1999)。

また佐々木享先生は「インターネットを活用して書かれたレポートは、色彩図版や写真をとり入れたりしたものであり、見た目は例外なしにきれいであるが、肝心の内容はかえって空疎なものが確実に増加した」と述べられています(「教科『情報』の新設にかかわる教育学」『教育』2002年4月号, 国土社)。これは私が大学の講師をさせていただいていたときにも感じたことです。当時、このままではいけないという問題意識を持ちました。

これらのことは、教科「情報」の授業を設計するうえでよく考えなければならない問題だと思います。「総合実習」では、生徒たちは楽しそうに課題に取り組んでくれると思います。パソコンのソフトウェアを使って簡単に見栄えのするものを作れるからです。しかし、そこから生徒が得られるものは何かということが分からない場合が多ように感じられます。またプレゼンテーションやWEBページ作成に授業の多くの時間をさくことで、本来教科「情報」で学ぶべき内容が希薄化してしまうことを危惧しています。

柏高等学校の滑川先生は、Webページの作成を通して教えたいこととして「(1)紙に印刷された文書と電子化された文書との性質や特性の違い (2)マークアップ言語の本質 (3)アクセシビリティへの配慮」を挙げています(「教科『情報』におけるWebページの作成」数研出版 i-Net第13号)。生徒の現状をよく見て何を学ばせたいかがはっきりした実践だと思いました。一口にWebページ作成の授業といってもこのような切り口があることに驚きました。

私自身、教科「情報」で生徒に学ばせるべき内容がどのようなものなのか、試行錯誤をしている段階です。どのような実践をすれば学校が変わるのか、今後も研究を続けたいと思います。
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