第142回 園芸友の会
立春を過ぎても、毎日の様に日本海側大雪の便りを聞く2月8日、第142回例会を開催。厳しい寒さにもかかわらず、ほぼ全員の17名出席でした。(場所:情報通信エンジニアリング協会)
― 発表者と提出資料 ―
(1) 阿部代表
資 1―a 「今後の会の運営と旅行について」
資1-b 「工藤先生への質問事項」
(2) 若本会員
資2―a 「三貫清水の緑地と私」
資2―b 写真集「絶滅危惧種と関連雑種」
資2―c 文献資料「植物観察入門講座」
(3) 篠原会員
資3―a 「第142回例会資料」
(4) 工藤先生
資4―a 「園芸ごよみ2月、3月」
資4―b 「世界のことば“はな”」
資4―c 「品評会」
資4―d 「やってみよう おもしろ栽培」
― 議 事 ―
1.阿部代表報告
阿部代表が、次の報告とまとめを行った。
a.最近の収支状況に応じた会費増額と経費補助費の改訂。
b.年1回の学習旅行先について、候補地を複数提言し、審議し、幹事一任とした。
c.日比谷同友会のホームページアドレスと、運用方法を周知。
2.若本会員発表
2.1 資2―a「三貫清水の緑地と私」
居住地のまわりの緑地、山林に実在する植物、動物の生態を永年にわたり観察し、保護にも当って来た。
主なものは次の3つ。
イ ホタルの観察、記録
1999年以降、6月上旬から9月上旬まで、ほぼ毎日。
ロ 緑地の保全を目的とした「三貫清水の会」の中に有志で自然学習塾を作り、主導。
ハ 2005年から、会のホームページに若本のページを作り、植物中心に定期的に紹介。
2.2 資2―b「絶滅危惧種と関連雑種」
緑地で確認した、「さいたまレットデータブック」指定植物の美麗な写真集。
おみなえし、カキツバタをはじめ24種に及んでいる。
また同時に観察された、生物多様性をおびやかす外来種、雑種も数例示した。
2.3 若本会員の環境に関する主張
a:自然を守る為には、ある程度人間が手を加えなければならない。
b:園芸品種の植え過ぎ、自然動物に対する給餌、自然界動物の養殖など、生態系の変化をもたらす様な、人間の手の加え過ぎも問題を生ずる。
c :地産、地消が人間の生き方の原点である。
d : 国連の気候変動枠組みに関する条約(FCC)と生物多様性に関する条約(CBD)は環境に関する双子の条約と言われ、締約国会議(COP)が毎年のように開かれるが、実状は先進国と途上国の持ち分争いの要素が多く、フロン、熱帯雨林など、人類全体の成果を早急にあげて行かなくてはならない。
2.4 文献資料 「植物観察入門講座」
長田武正著 「野草図鑑」の一部をコピーしたもので、植物の「葉」「花序と偽花」「花」について詳細に記述してある。
3.篠原会員発表
前回、樹木“カイノキ”の漢字文字「楷」が話題になったので、文字「楷」にまつわる資料を追加提出。
4.工藤先生、回答と講話
4.1 会員の質問と回答 (資料1-b の各質問に回答)
(1) 〔Q〕カニバサボテンの花が終わった後の管理 (篠原)
〔A〕4月になったら1/3位切る。(切ったものでさし芽もできる。)
8月~9月の管理が案外難しい。
花は早めに切り落した方が良い。
シャコバサボテンも同様(同属)
(2) 〔Q〕クリスマスローズの育て方。(土屋)
〔A〕宿根草なので、根の張りは良く、鉢、地どちらもOK。
植え替えは根の動く直前。
一般に3月といっているが2月下旬が良い。
(3) 〔Q〕イスラエルのスィーティという緑黄色の果物が出廻っています。
2倍体のグレープフルーツと4倍体の文旦を交配したと聞きました。(阿部)
〔A〕人間の場合46個ある染色体の23番目がXXかXYかにより女か男が決まる。これを2倍体であるという。
4倍体は染色基本数の4倍すなわち普通の個体の2倍の染色体を持つ倍数体で、一般に2倍体と4倍体を交配すると3倍体になる。生活力強く、大形になるが、種子が出来ても発芽しない。
(4) 〔Q〕野菜にF1というのがあり、品種開発者が权利保護のため種子が出来ない様になっていると聞きました。 (阿部)
〔A〕前項に述べた3倍体の事。一代交雑、雑種強勢ともいう。(栽培者が種子採集出来ない為、種子屋は、永続的販売が出来る。) 種なしスイカは3倍体であるが、種なしブドウは、薬品(リベレリン)を使う。ホルモンの関係があり、種がある方が美味ということもある。
(5) 〔Q〕千両のふやし方 (松本)
〔A〕千両は万両よりも弱く、立ち枯れし易い。3、4年で植えかえるのが良い。さし木は可能。
4.2 資4―a「園芸ごよみ2月、3月」
草木、庭木、鉢花、野菜などの園芸作業を春のシーズン幕開け、2月、3月に分けて詳細に記述。
4.3 資4―b「世界のことば“はな”」
世界約60ヶ国の言葉“はな”の文字、発音を示した。
中国の“花”と日本の“花”がフー、ハナで近いのは当然として、ヨーロッパ各国の“花”はフから始まる発音が多く、ラテン語のFLOSから来ているらしい。
4.4 資4―c「品評会」
長年、各地の農産物品評会審査員をつとめた工藤先生の体験した失敗談、裏話。
4.5 資4-d やってみよう おもしろ栽培
江戸時代のキク、ツバキ、アサガオ、オモト、などの栽培、改良の例をあげ、現代の我々も、もっと植物の培養に遊びがあって良いのではないかと主張し、工藤先生が、通常むずかしいと思われていたチューリップ、アイリス、シクラメン、多肉植物などの植物水栽培にチャレンジした具体例を述べている。
当日の出席者
阿部正之、内海秀明、折笠彌、川本建、小峯茂樹、椎名迪子、篠原周二、田中日出男、土屋博、中島汎仁、長山東、林憲男、松本哲男、光藤勲、若本孝雄、同夫人、工藤先生の、合計17名。
(文責 長山 東)