はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

耄碌への徐行

2019年05月20日 | 耄碌ネタ
18日の土曜日に糖質制限仲間の萩原さん夫婦と西銀座通りの馬肉の店である ”天國” で飲みました。
二次会はスナック ”安楽” に回り、カラオケを楽しんで散会しました。
翌朝、起きてみると携帯電話がありません。メガネもありません。
さらには、左手に出血の痕があり、ズボンの左ポケットに血液が付着していました。

とりあえずは自分の携帯に電話をしてみました。
室内には呼び出し音がなく誰も出ません。
前の晩に安楽からタクシーを呼ぶのに使ったのが最後でしたから、安楽かタクシーに忘れたと判断しました。
そこでもう一度携帯をじっくりと鳴らしてみました。
すると、なんだか遠くの方でかすかに呼び出し音が聴こえました。
窓の外の駐車場の先の方で鳴っているようなのです。
行ってみると私の携帯が転がっていました。
同時に、記憶が少しだけ甦りました。
前の晩に、酔っぱらった状態で犬を散歩させた時に、私はここで転倒していたのです。
その時に携帯を落として左手を負傷したのです。
メガネも同時に落としたと思って探しましたが見つかりませんでした。

その朝は木曜会の開業医仲間達とのゴルフが入っていたので、とりあえずはスペアのメガネをかけて肥後サンバレーに向かいました。
到着してフロントで ”どなたの紹介ですか?” と尋ねられたので、”下村です。” と答えました
すると下村での予約は入っていませんでした。
そこで、”小川か古閑かもしれない” と言ったのですが、それも入っていませんでした。
あわてて携帯を確認したところ私がゴルフ場を間違えていたのです。
その日はグランドチャンピオンでのゴルフ予定だったのです。

預けたバッグを返してもらって、トボトボと帰宅の途につきました。

帰り着いてメガネを探したのですがありました。
着替えるときにメガネをダンボール箱の上に置いたのですが、その隙間から箱のなかに転がり落ちていたのです。

老いに比例して、日常での哀しい出来事が増えていくような気がします。

どうしようもないことですから受け入れなきゃ!

脳梗塞と脊髄損傷麻痺の奇跡的な治療法

2019年05月10日 | 医学
今月号の文藝春秋に掲載されました。

札幌医大の本望修先生が平成7年ごろにスタートさせた研究です。
この研究については、このブログで平成13年の8月5日にアップしました。
当時のスタディーは、脳梗塞後遺症を患う12人の患者さんたちを対象に実施されました。
この12人は、すべてが発症後1か月半以上も経過した方々でした。
つまり、リハビリ効果が頭打ちになってきたタイミングで施行されたのですが、かなりの改善が観察されたのです。
私は当時のブログを、
” 発症後まもなくに、この治療が施されたとしたら、どうなるのかと、想像するだけでワクワクします。” 
と締めくくっています。

その後も旭川医大のニュースには、ずっとアンテナを張っていたのですが、ネットに取り上げられることはありませんでした。

しかし、研究と治験は着々と続けられていたようです。

具体的な治療のプロセスは
1.患者さんの腰骨(腸骨)の脊髄液を注射器で数十CC採取する。
2.脊髄液から間葉系幹細胞 MSC(Mesenchymal Stem Cells)を取り出す。
3.MSC を一万倍に培養する。
4.患者さんに点滴静注する。
というものです。

MSC は損傷した神経のあたりに集まる性質があります。(この性質は全く予測されていませんでした。)
1.集まって、まずは神経栄養因子というタンパク質を多種類分泌します。
2.神経細胞には、刀に例えれば鞘にあたる髄鞘があり、これが神経伝達速度を飛躍的にアップさせます。
  MSC は壊れた髄鞘を修復します。
3.MSC は並行して存在している一方が損傷したときに、損傷していない方の神経から支線を出して修復します。
4.MSC は左右の脳をつなげる脳梁の神経を増やします。

今年の2月に MSC の点滴ボトルが厚生省に認可されました。
商品名はステミラック注で薬価は1500万円です。
毎年様々な事故で脊損患者が5000人くらい出るそうです。
脊損で寝たきりの患者さんたちが、毎年数百万円の治療費を発生させていくであろう人生を、
自分で働いて生活していく人生に変えられるならば、高すぎる薬価ではないように思えますし、薬価は下がっていくはずです。


5月から脊髄損傷(脊損)患者さんへの治療がスタートしました。
条件は、発症後2週間以内であることと、他に病気が無いことです。
問題点は患者さんをどのようにして旭川に負担なく運ぶのかということのようです。

MSC は他の神経変性疾患、たとえばALS、アルツハイマー、パーキンソンなどへの効果も有望視されています。

夢のような話ですよね。
日本の片田舎の大学教授が思いついたこの治療法が、やがては世界中のスタンダードとなることでしょう。

ノーベル賞が確実だとは言いすぎでしょうか?