2014-02-26
前回の記事で韓国の負債状況の悪化について考察しましたが、それを示す各種の記事があったので紹介しておきます。
いずれも大手破綻が相次ぐ中で、破たん企業の格付けがことごとくAクラスのものであったことで
社債市場が機能不全に陥り、信用度(市場規模)を著しく低下させていることを示しています。
社債や債券発行は市場と企業と監査法人等の信頼関係で成立するもので、特に先進国と新興国を大きく分けるものでもあります。
先進国では信用の厳正な運営が必要であり、新興国は信用の厳正な運営にまだ課題が多いという線引きが存在します。
結果として新興国の調達レートはリスクが高い位置づけがあり、利払いは高水準を要求されます。
先進国は開示されたデータの信用度が高いため、必要以上の利息の上乗せは不要です。
韓国で問題なのは、先進国を主張し、債券発行についてプレミアを付けず先進国並みのレートでの運営を開始した点です。
結果として粉飾決算が横行し実際にデフォルトも多発しているため、先進国並みと評価し投資した機関投資家等に著しい損失を与えてしまっています。
結果として以後資金を調達するときは資金が集まらない(信用されない)構造となってしまっており、必要な資金を集められない状況に陥りつつあります。
対外的な負債に対する依存度が高く、しかも規模がかなり大きいうえ、短期債権が多いという不安定な構造は危機発生の防波堤が極めて低いことを意味しています。
2014年度はかなりの額の債権の期日が到来するようです。
現在の韓国の経済力では期日償還する財務力はありませんが、期日に同額ロールしてくれる引き受け手に対する信頼度は地に落ちてしまっています。心配な構造です。
【参考記事①】
9月27日、格付け会社の韓国企業評価は熊津(ウンジン)ホールディングスの無保証社債の格付けをそれまでの「A-」から「D」に降格した。熊津ホールディングスが前日に法定管理を申請してから1日で評価が「債務償還能力高い」から「債務不履行」に変わったのだ。
今年6月まで熊津ホールディングスは「A-」を付け3回にわたり社債を発行した。このほかにも昨年以後ワークアウトや法定管理に入った高麗開発、大韓海運、三換企業なども「投資適格」格付けを維持していたが突然の格付け引き下げを迎えた。
韓国の格付け会社が社債格付け「A」を乱発しているという批判が強まっている。
韓国の格付け会社が社債格付け「A」を乱発しているという批判が強まっている。
格付けを下げずに上げるばかりの慣行が相変わらずである上、財務諸表だけ見る事後的な評価にとどまったため、社債格付けに“インフレ現象”が現れているのだ。
金融業界が16日に明らかにしたところによると、韓国信用評価の社債格付けを持つ370社のうち304社がA等級以上に分布している。
金融業界が16日に明らかにしたところによると、韓国信用評価の社債格付けを持つ370社のうち304社がA等級以上に分布している。
全評価企業の82%だ。ナイス信用評価と韓国企業評価もA等級以上の割合がそれぞれ79%と75%と傾向は変わらない。
投資適格等級である「BBB」級まで含むとこの割合は3社平均で90%に達する。格付け会社が社債のうち9割に対しては投資しても問題がないと判断したのだ。
問題は最近のように社債市場が冷え込む状況で格付けが現実をまともに反映できずゆがめられかねないという点だ。
問題は最近のように社債市場が冷え込む状況で格付けが現実をまともに反映できずゆがめられかねないという点だ。
実際に金融危機直後である2009年と比較するとこれら格付け会社3社の投資適格等級の割合はわずか3年間に7~10ポイント増えたが、投資非適格等級の「BB」以下の割合はそれだけ減少した。
金融監督院によると2000年当時に27.2%にすぎなかったA等級以上の社債の割合は昨年には77.3%とほぼ3倍に拡大した。
それでも企業の財務構造が良くなったわけではない。
それでも企業の財務構造が良くなったわけではない。
東洋証券によるとA等級の企業の負債比率は2003年(3年平均)の124.3%から2011年には169.5%とむしろ悪化した。
新韓金融投資のカン・ソンブ債券分析チーム長は、「格付け会社が金融危機の際に困難に陥った企業の格付けを下げ渋ったため。
これに対し『BBB+』から『A-』に引き上げられた企業は多かったが、これらの企業がA等級企業全体の平均財務構造を悪化させた」と説明した。
このように格付けインフレが激しくなり、格付けの弁別力は下がり続けている。
金融投資協会によると、同じ「A-」であっても企業ごとに社債(3年物基準)金利差は最大5.5%もあった。
金利が年3%台半ばで取り引きされる社債がある一方、年9%を超える社債も出てきた。金利だけで見れば格付けを下げるのが当然だが、格付け会社は手をつけられずにいる。
金融監督院関係者は「格付けに対する信頼度が落ち、いまではA等級の企業が社債を発行してもこれを買おうとする機関がない」と懸念した。
同関係者は、「A等級が乱発されれば本当のA等級の会社がしかるべき待遇を受けられなくなり、結局情報が不足した一般投資家が不利益を受けることになる」と話した。
同関係者は、「A等級が乱発されれば本当のA等級の会社がしかるべき待遇を受けられなくなり、結局情報が不足した一般投資家が不利益を受けることになる」と話した。
このような格付けインフレは、格付け会社の収益の大部分が格付け評価を依頼する企業から出ている構造的な限界のためだ。
企業が格付け会社を選んで格付けを受ける構造で、企業が“刀の柄”を握っているわけだ。
ある格付け会社関係者は、「格付けを悪くして該当企業が取り引きを中断する場合もあるので企業の立場をある程度気遣うのは事実。しかし過去5年間の投資適格等級の不渡り率は0.1%程度で、格付けの正確性は相当高い」と釈明した。
金融当局は冷え込んだ社債市場を復活させるためには格付けに対する信頼回復が優先されるべきだとみている。
金融当局は冷え込んだ社債市場を復活させるためには格付けに対する信頼回復が優先されるべきだとみている。
金融監督院関係者は、「来年2月からは企業が社債を発行する際に格付け会社と事前に接触して有利な格付けをくれる所を選ぶ“格付けショッピング”を禁止する計画だ。
合わせて社債信用評価情報を公示するようにし、企業が関連資料を提出する際は代表理事が直接確認書を出すようにして信用評価の信頼性を高める予定だ」と話した。
2013年06月21日08時58分
[中央日報/中央日報日本語版]
【参考記事②】
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の量的緩和縮小方針が韓国社債市場を襲った。
20日、ソウル汝矣島(ヨイド)証券会社の社債担当者には、企業の財務パートの職員から電話が続いた。「少しでも早く社債を発行できないだろうか」という内容だった。
企業は最近、市場の金利が上がると、債券の発行をできるだけ遅らせようという雰囲気だった。
企業は最近、市場の金利が上がると、債券の発行をできるだけ遅らせようという雰囲気だった。
金利が下がるのを待ち、利子負担を減らそうということだった。しかし“バーナンキショック”は企業のこうした期待に冷水を浴びせた。
◆AA-、一日に金利0.14ポイント急騰
この日、市場金利は一斉に上がった。格付け「AA-」企業の3年満期無保証社債の金利が年3.32%から0.14ポイント急騰した。「BBB-」企業も年8.95%まで上がった(0.14ポイント上昇)。
企業がさらに恐れているのは取引がなくなることだ。
◆AA-、一日に金利0.14ポイント急騰
この日、市場金利は一斉に上がった。格付け「AA-」企業の3年満期無保証社債の金利が年3.32%から0.14ポイント急騰した。「BBB-」企業も年8.95%まで上がった(0.14ポイント上昇)。
企業がさらに恐れているのは取引がなくなることだ。
ある債券市場の関係者は「序盤は完全にパニックだった。金利の騰勢もそうだが、債券を買おうとする人が突然消えた」と伝えた。
米国の量的緩和縮小は金融市場だけの問題ではない。多くの韓国企業が直接的な影響圏に入っている。雷管は社債市場だ。社債市場の冷え込みは資金不足の企業には致命的だ。
企業は通常、社債発行で資金を調達する。社債を発行できなければ資金圧迫に苦しむしかない。これは格下げにつながり、そうなれば社債発行がさらに難しくなるという悪循環に陥る。
社債市場にこうした兆候が表れたのは今回が初めてではない。今月初めのSTXパンオーシャンの法定管理(会社更生法に相当)、米国の量的緩和縮小懸念という大型悪材料でさらに激しくなった。
まず発行市場が委縮した。金融投資協会によると、6月第3週(17-21日)の企業の社債発行規模は4810億ウォンで、4月第2週(8-12日、2兆1700億ウォン)の5分の1に減った。市場に社債を出しても売れないからだ。
余波は優良企業にまで及んでいる。
米国の量的緩和縮小は金融市場だけの問題ではない。多くの韓国企業が直接的な影響圏に入っている。雷管は社債市場だ。社債市場の冷え込みは資金不足の企業には致命的だ。
企業は通常、社債発行で資金を調達する。社債を発行できなければ資金圧迫に苦しむしかない。これは格下げにつながり、そうなれば社債発行がさらに難しくなるという悪循環に陥る。
社債市場にこうした兆候が表れたのは今回が初めてではない。今月初めのSTXパンオーシャンの法定管理(会社更生法に相当)、米国の量的緩和縮小懸念という大型悪材料でさらに激しくなった。
まず発行市場が委縮した。金融投資協会によると、6月第3週(17-21日)の企業の社債発行規模は4810億ウォンで、4月第2週(8-12日、2兆1700億ウォン)の5分の1に減った。市場に社債を出しても売れないからだ。
余波は優良企業にまで及んでいる。
格付けAA-のCJハロービジョンは18日、社債1500億ウォンを発行した。しかし市場の需要は200億ウォンにすぎず、主幹証券会社が残り1300億ウォンを抱え込んだ。CJグループはその後、大韓通運・CJオーショッピングなど系列会社の社債発行を延期した。他の企業も社債発行計画の見直しに入った。
◆海運・造船・建設が特に深刻
問題はすぐにも資金が必要な非優良(格付けA+以下)企業だ。
◆海運・造船・建設が特に深刻
問題はすぐにも資金が必要な非優良(格付けA+以下)企業だ。
非常事態となった一部の企業は苦肉の策として「短期・高金利」カードを抜いている。
東洋は最近、1年6カ月満期社債610億ウォンを年7.94%で発行した。東部建設も1年満期社債600億ウォンを年8.9%で出した。
業種別には海運・造船・建設が特に深刻だ。
業種別には海運・造船・建設が特に深刻だ。
海運会社の3年満期社債の平均金利は、先月の年5%台後半から最近は年9%台に上昇した。
26日に5年満期500億ウォン規模の社債を発行する予定のSK海運(格付けA0)は希望金利を年5-5.1%に決めた。
5年満期のA0社債の金利平均が4%台であることを考慮すれば、金利をさらに上乗せするということだ。ハンファ証券のアナリスト、キム・ウンギ氏は「現在のように海運・造船業が厳しい状況では、発行しても需要がほとんどない」と述べた。
一部の大手建設企業は社債の代わりにコマーシャルペーパー(CP)に視線を向けている。社債より満期が短く、金利は高いため、企業の負担ははるかに大きくなる。GS建設は年初に8400億ウォンのCPを発行し、サムスン物産とロッテ建設もそれぞれ2000億ウォン、3000億ウォンのCPを発行した。
◆建設会社、負担大きいCP発行
匿名を求めたある大手建設会社の役員は「CPを大規模に発行しているというのは、それだけ事情が良くなく、社債の発行が難しいという意味」と述べた。
一部の大手建設企業は社債の代わりにコマーシャルペーパー(CP)に視線を向けている。社債より満期が短く、金利は高いため、企業の負担ははるかに大きくなる。GS建設は年初に8400億ウォンのCPを発行し、サムスン物産とロッテ建設もそれぞれ2000億ウォン、3000億ウォンのCPを発行した。
◆建設会社、負担大きいCP発行
匿名を求めたある大手建設会社の役員は「CPを大規模に発行しているというのは、それだけ事情が良くなく、社債の発行が難しいという意味」と述べた。
韓国住宅協会のキム・ドンス振興室長は「社債市場がさらに悪化すれば、比較的堅実な30位圏の建設会社でも閉鎖するところが出てくる可能性がある」と懸念を表した。
市場では政府の積極的な対策を求める声が高まっている。
市場では政府の積極的な対策を求める声が高まっている。
東部証券のシン・ドンジュン投資戦略本部長は「建設・海運・造船業種が厳しいといっても、上位企業は世界的な競争力がある。
政府が一刻も早く構造改革のガイドラインを提示してこそ、企業が枯死するのを防げる」と指摘した。
最近、営業費・一般管理費・広告費を一括で30%削減した会社がある。
通貨危機、金融危機当時にしていた非常経営だ。同社は昨年10-12月期に続き、今年1-3月期にも営業損失(5000億ウォン)を出した。
同社の関係者は「コスト削減はもちろん、事務用品を節約して使うなど、一銭でも削減しようという努力をしている」と話した。
中小企業の話ではない。同社は施工能力10位圏に入る大手建設企業だ。
中小企業の話ではない。同社は施工能力10位圏に入る大手建設企業だ。
しかしこうした厳しい状況の大企業が少なくないことが分かった。韓国銀行(韓銀)が30日に国会に提出した金融安定報告書を通じてだ。韓銀は1年に2回この報告書を出すが、国内大企業の危険状況を赤裸々に分析したのは初めてだ。
報告書によると、2012年末基準で国内の銀行が大企業に融資している金額は221兆ウォン(約20兆円)だが、このうち21.8%の48兆1000億ウォンが潜在危険状態と分析された。
報告書によると、2012年末基準で国内の銀行が大企業に融資している金額は221兆ウォン(約20兆円)だが、このうち21.8%の48兆1000億ウォンが潜在危険状態と分析された。
うち27兆5000億ウォンは元利金償還が1-3カ月延滞している要注意与信だ。営業で利子も返済できない状態(利子補償比率100%未満)が3年続いている限界企業与信は32兆2000億ウォン。
限界企業であると同時に要注意以下の高危険与信は11兆60000億ウォン。
今回の統計は、“大企業不良債権手術病棟”の産業銀行と輸出入銀行の与信は除いた数値だ。韓銀の関係者は「産業銀行が構造改革中の大企業の与信を考慮すれば、潜在危険数値はより大きくなるだろう」と述べた。
今回の統計は、“大企業不良債権手術病棟”の産業銀行と輸出入銀行の与信は除いた数値だ。韓銀の関係者は「産業銀行が構造改革中の大企業の与信を考慮すれば、潜在危険数値はより大きくなるだろう」と述べた。
この統計値は分析機関の韓銀も驚くほどだ。実際、大企業は韓国経済の軸となっている。韓国政府は厳しい中小企業に分配するよう大企業に要求しているが、その大企業の健全性に問題があるのだ。
ミン・サンイル興国証券リサーチセンター長は「危険与信が多いというのは、いつ大企業の不渡りが出てもおかしくないということ」と述べた。
大企業が負債を返済できないのは十分な収益がないからだ。
大企業が負債を返済できないのは十分な収益がないからだ。
売上高営業利益率は09年の6.2%から2012年にいは5.2%に落ちた。
これに伴い、負債を返せない延滞率は同じ期間、0.2%から1.1%に跳ね上がった。
韓銀関係者は「限界状況でかろうじて耐えてきた大企業がお手上げするケースが大きく増えたとみられる」とし「銀行がまだ延滞と見なしていない規模まで考えれば、延滞率はさらに高まる可能性が高い」と述べた。
業種別には不動産景気沈滞の犠牲になった建設と金融危機の影響から抜け出していない海運・造船が深刻だ。
業種別には不動産景気沈滞の犠牲になった建設と金融危機の影響から抜け出していない海運・造船が深刻だ。
造船の場合、昨年、受注量が45%減少した。造船企業のうち現代重工業・サムスン重工業・大宇造船海洋のビッグ3を除いた大半の企業が損失を出しながら工場を運営している。
海運業界はさらに深刻だ。現代商船は昨年1兆ウォン近い損失を出し、韓進海運(マイナス7008億ウォン)、大韓海運(マイナス2503億ウォン)も事情は同じだ。韓銀はこれら業種の予想不渡り確率を建設9.1%、海運8.5%、造船5.9%と明らかにした。「かなり高い不渡り確率」というのが韓銀の説明だ。
建設業界の危機は新しいニュースではない。
海運業界はさらに深刻だ。現代商船は昨年1兆ウォン近い損失を出し、韓進海運(マイナス7008億ウォン)、大韓海運(マイナス2503億ウォン)も事情は同じだ。韓銀はこれら業種の予想不渡り確率を建設9.1%、海運8.5%、造船5.9%と明らかにした。「かなり高い不渡り確率」というのが韓銀の説明だ。
建設業界の危機は新しいニュースではない。
しかし建設会社の不振が他の系列会社に移り、グループ全般に広がる様相が問題だ。
極東建設の不渡りで法定管理(会社更生法に相当)に入った熊津グループがこうした例だ。
報告書は「危機度が高い大企業グループの多くが系列会社に建設会社を持つ」と指摘した。
そのためか最近の株式市場では系列建設会社を支援する親企業の株価が急落する例が続出している。
最近、建設・海運・造船を「韓国産業界の愚か3兄弟」と呼ぶ人が多い。
最近、建設・海運・造船を「韓国産業界の愚か3兄弟」と呼ぶ人が多い。
しかしこれら業種だけではない。グローバル競争力を持つ電子・化学業種の大企業の要注意以下与信比率もそれぞれ6.7%、4.8%にのぼる。
大企業への融資が不良債権化すれば銀行も危機を迎える。国内銀行は2012年末現在、大企業の経営不振に備えて5兆ウォン程度の貸倒引当金を準備している。
韓銀は「国内銀行の大企業与信が不健全化する可能性が高まっている。国内銀行は損失吸収能力をよりいっそう高める必要がある」と述べた。
2013年05月01日09時49分
[中央日報/中央日報日本語版]
韓銀は「国内銀行の大企業与信が不健全化する可能性が高まっている。国内銀行は損失吸収能力をよりいっそう高める必要がある」と述べた。
2013年05月01日09時49分
[中央日報/中央日報日本語版]
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