[毎日経済]韓国大統領選もバラマキ競争に傾く懸念
2012/7/20 7:00
(2012年7月19日付 韓国・毎日経済新聞)
韓国の与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)前非常対策委員長が、2014年から段階的に高校無償教育を実施する方針を表明した。野党の民主統合党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)常任顧問も、高校義務教育を公約に掲げた。4月の総選挙に続いて大統領選でも(立候補者による)福祉を無料化する競争が繰り広げられ、国家財政に影響することが懸念される。 朴氏は高校生を対象に毎年25%ずつ予算を拡大する案を打ち出し、5年間で6兆ウォン(約4200億円)程度かければ無償教育を実施できるとした。しかし現在1人当たり年180万ウォンの教育費を無償にすれば、1年だけで少なくとも2兆6千億ウォンかかる。どういう計算をすれば、これほどかけ離れた数字が出てくるのだろうか。
朴氏は大学の授業料についても低所得層の無料化を、孫氏も専門大学の授業料廃止を提示した。すでに野党は総選挙などで大学授業料半額を公約にしており、授業料の引き下げ競争も焦点となっている。総選挙の公約で2歳までの無償保育を実施したため、地方財政が悪化し苦しんでいることを、もう忘れたのか。
民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、1度表明した後で発言していなかった「ソウル大学廃止」といえる政策を再び打ち出した。ソウル大をはじめ主要国公立10大学を1つの連合大学にまとめる構想だ。突出した部分を削って大学を標準化しようとするものだが、低所得層の票さえ取り込めれば未来の国家競争力は関係ないということだろうか。
現在、世界的な競争が激化しており、教育や技術、人口などは国家の命運を左右する要因となる。このうち技術や教育は短期的にも重要だ。米国が欧州に差を付けた根本的な原因は、世界でもトップクラスの大学を多く持っているおかげだ。
大統領選に向けた運動はまだ始まったばかりにもかかわらず、早くも過熱気味だ。与野党とも大統領候補が国家の将来を考えているなら、どうか自制してほしい
2012/7/20 7:00
(2012年7月19日付 韓国・毎日経済新聞)
韓国の与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)前非常対策委員長が、2014年から段階的に高校無償教育を実施する方針を表明した。野党の民主統合党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)常任顧問も、高校義務教育を公約に掲げた。4月の総選挙に続いて大統領選でも(立候補者による)福祉を無料化する競争が繰り広げられ、国家財政に影響することが懸念される。 朴氏は高校生を対象に毎年25%ずつ予算を拡大する案を打ち出し、5年間で6兆ウォン(約4200億円)程度かければ無償教育を実施できるとした。しかし現在1人当たり年180万ウォンの教育費を無償にすれば、1年だけで少なくとも2兆6千億ウォンかかる。どういう計算をすれば、これほどかけ離れた数字が出てくるのだろうか。
朴氏は大学の授業料についても低所得層の無料化を、孫氏も専門大学の授業料廃止を提示した。すでに野党は総選挙などで大学授業料半額を公約にしており、授業料の引き下げ競争も焦点となっている。総選挙の公約で2歳までの無償保育を実施したため、地方財政が悪化し苦しんでいることを、もう忘れたのか。
民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、1度表明した後で発言していなかった「ソウル大学廃止」といえる政策を再び打ち出した。ソウル大をはじめ主要国公立10大学を1つの連合大学にまとめる構想だ。突出した部分を削って大学を標準化しようとするものだが、低所得層の票さえ取り込めれば未来の国家競争力は関係ないということだろうか。
現在、世界的な競争が激化しており、教育や技術、人口などは国家の命運を左右する要因となる。このうち技術や教育は短期的にも重要だ。米国が欧州に差を付けた根本的な原因は、世界でもトップクラスの大学を多く持っているおかげだ。
大統領選に向けた運動はまだ始まったばかりにもかかわらず、早くも過熱気味だ。与野党とも大統領候補が国家の将来を考えているなら、どうか自制してほしい