平成太平記

日常の出来事を書く

(28.2.18) 新しい中世 21世紀世界が古代ローマの後をおっている。 停滞の序曲が聞こえる!!

2016年02月22日 17時04分08秒 | Weblog

(28.2.18) 新しい中世 21世紀世界が古代ローマの後をおっている。 停滞の序曲が聞こえる!!

 

おゆみ野四季の道  新

2023_031

高校で世界史を学んだ時に最も驚いたのは、ローマ帝国という経済成長一本やりの社会が崩壊し、その後に約1000年にわたって宗教以外は何もない中世という時代が続いたことだった。


私は当時、社会とは一直線に進歩していく進歩史観の信奉者だったので「これは何かの間違いではないか」と思ったものだ。

実際GDPという側面からみると、古代ローマの水準をようやく超えることができたのは産業革命以後のヨーロッパだったのだから、経済的には中世とは貧しさだけが際立った時代といえる。

過去に我々は無限の経済成長など存在しなかったという歴史を持っている。

21世紀の現代においては経済成長は当たり前で、明日は今日よりも豊かになれると信じている人が多い。


実際我々の社会において毎期GDPを拡大させなければいけないような強迫感に襲われ、たとえば15年第4四半期のGDPが少しでも下がると、「アベノミクスの限界が現れた」とマスコミが大騒ぎをしている。


経済成長は絶対の善で経済の収縮は悪のような扱いだ

しかし冷静になって考えてみると今以上に豊かになる必要が本当にあるのか疑問だ。


たとえば私の場合を考えてみると家の手当ては終わっているし、衣類はアシックスのジャージがあれば十分だし、食事など「おいしいものを食べに行きましょう」などと誘われるとうんざりする。

あとで体重を減らすために懸命に運動をしなければならないからだ。

旅行も体力勝負で外国旅行などは飛行機に長時間乗ることを考えると行きたくもない。

自動車はとうに手放していて移動はもっぱら自転車を使用している。


「一体これ以上の生活水準の向上なんて単なる迷惑だ」そう思っている。

私の場合は老人ですでに多くのことを経験したので経済成長が必要ないのだろうと思うかもしれないが、かならずしも私が例外とは言えない。

何しろ日本中老人だらけだし世界的に見ても先進国は老人が主体で中国すら老人大国になろうとしている。

経済成長と老人人口の比率とは逆相関の関係があり、長寿社会になれば欲望は低下していくものだ。

だから経済成長がなくても2015年の生活が2016年の生活より貧しく不便で我慢ならないものだなどということはない。

日本やアメリカやヨーロッパといった先進国においてはインフラは十分に整っており、これ以上のインフラ投資はリニアモーターカーがそうであるようにほとんど趣味の世界に入っている。


東京から名古屋まで行くのに現行の2時間が1時間になっても「それが何の意味があるの?」と誰でも思うだろう。


老人が主体の国では移動はのんびりしていた方がいいのだ。

高度に発展した世界においては別に経済成長などは必要でなく現行のインフラをメンテナンスしていけばいいのだから経済成長が止まっても何ら支障がない。


しかし政治家は口を開けば「成長なくして財政再建なし」などといっているしマスコミはGDPが少しでも低下すれば大騒ぎだ。

その挙句に世界中で金融緩和策をとって株式と不動産のバブルをあおり、最近までは石油や天然ガスや鉄鉱石といった天然資源のバブルをあおっていた。


今ではバブルだけが21世紀経済の原動力になっており、バブルが消えると世界中が更なるバブルを求めて中央銀行に金融緩和策を求める大合唱をしている。

注)21世紀がバブルでしか維持できないことは昨日述べた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/ppppp-4.html

だがしかしこのバブルによる経済成長は切がない。

株式や不動産価格が上昇したからといって、何か生活が豊かになるとか精神的に余裕が生まれるとかは全くなく、ただひたすら更なる浮利を追っているだけだ。


古代ローマ人も経済成長の極に達した後は全く目標を見出すことができなくなってしまった。

ローマとっての経済成長とは他国を侵略してそこの財宝を奪い、人を奴隷にすることだがあまりに侵略戦争を行った結果や侵略すべき野蛮人がいなくなってしまった。

そのことを真っ先に悟ったのは2世紀初めの皇帝ハドリアヌスで、ハドリアヌスは帝国の領地を12年にわたりくまなく視察したが、領土拡張のためにこれ以上の軍事費を支出して戦闘をするのがまったくいやになってしまった。

今のイギリス(ブリタニア)のイングランドとスコットランドの境界線から見たスコットランドの景色は荒涼たる原野にわずかな野蛮人が住んでいるといった何もない場所だった。


「ああ、やだ、こんな貧しい場所を征服しても全く一文の値打ちもない」


彼はここにハドリアヌスの長城を築き「野蛮人が侵入してこない限りは相手にするな」といい残してブリタニアを後にしている。


注)ハドリアヌスが最初にローマの経済成長に疑問をもった経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/23720nhk-c973.html

21世紀の今過去に経済成長一本やりだった古代ローマがその頂点で経済成長に疑問を持った皇帝を排出したのは示唆的だ。


ローマの経済成長は征服だったが、征服する先がなくなれば成長もストップする。

一方21世紀の経済成長がストップするのは財の増大をほしがる人々がいなくなるからだが、簡単に言えば日本がそうであるように老人が増え人口が減少するからだ


現在の人口減少は日本とかロシアとかあるいは戦争が行われているシリアとか一部にとどまっているが、後10年もすれば世界中で人口は停滞し減少に転じる。

老人は無理して経済成長を求めるより安定を求めるものだ。

選挙では老人が圧倒的な有権者だしそもそも若者は選挙にいかない。


老人福祉が優先されるが働き手は減少しており、GDPをのばす担い手がいなくなる。


日本は1990年代から停滞の20年に入ったが、今韓国と中国、そしてヨーロッパが停滞の20年に突入した。


だが実際はこの20年はバブルの演出がなければ21世紀の共通現象なのだ。

かつてトインビー は文明は生まれ成長し、そして衰退するといったが、今18世紀から始まった近代文明がその衰退期に入っている。


世界中が懸命に金融緩和を行ってなんとか経済を維持しているが、老人だらけの世界でいつまでもそれが有効とは言えない。


後10年もすれば世界が完全な経済停滞に入り日本の停滞の20年が近代文明の終わりのシグナルだったことに気づくだろう。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿