2015-03-27 03:03:07
①韓国、「日本特需ゼロ」対日輸出と訪韓観光客の減少でショック
空振りの日本期待
払底したビザ用紙
勝又壽良の経済時評
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良
日本の株価が象徴するように、日本経済が回復軌道に乗り始めている。
この様子を半ば羨望の念を込めてジッと見つめているのが韓国だ。
ことのほか日本の動きには敏感に反応する。
韓国経済が不調であるだけに、海一つ隔てた日本が「元気」を取り戻しつつあるので、気になって気になって仕方ない。
日本経済が復調すれば、その余慶に与るのが当然。
そう思っている韓国だが、まったくの期待はずれどころか、マイナスになっている。
対日輸出も訪韓観光客も減少しているのだ。
対日輸出では、韓国製の焼酎や濁り酒が減少している。
日本人観光客の減少は、2012年から始まっている。
李明博(イ・ミョンバク)前大統領が竹島を訪問したこと。
同時に、李氏が天皇への謝罪強要の発言などが重なった。
あれ以降、「韓流ブーム」に湧いたのが嘘のように、訪韓旅行熱も消えた。
「日本特需」を期待するあたりに韓国の日本への甘えが窺える。
あれだけ日本を批判していることをすっかり忘れている。
日本人の特性を理解していないのだ。これは韓国だけでない。
中国も同じである。
日本を「ぼろくそ」のごとく非難しながら、内心では経済面で日本からのメリットを期待している節が見える。
「武士は食わねど高楊枝(たかようじ)」という心境にはなれぬらしい。
他国を批判する以上、そのブーメラン効果に襲われても、我慢すべきなのだ。
日本人は、大声を出して抗議することは少ない。
だが、ひとたび相手の非礼に対して不快の念を持つと、静かに立ち去って二度と元の関係には戻らないパターンがある。
「武士道精神」の一端である。
「苦節十年、一剣を磨く」である。
天皇制については、賛否を別としても日本人独特の崇拝精神が宿しているのだ。
石橋湛山(元総理)は、次のように書き残している。
戦後の混乱期に日本共産党は政権に就く機会があった。
だが、「天皇制廃止論」を打ち出して国民の支持を失った。
天皇の名において、太平洋戦争は開戦して敗戦になっている。
国民は、それでも天皇制を支持した。
韓国大統領の天皇謝罪論は、言ってはならぬ言葉であろう。
日本人とは、ルース・ベネディクトの『菊と刀』(1946年)的な面がある。
韓国大統領は、日本人の深層心理を理解していなかったのだ。
今回、皇太子の訪韓計画が流れたのは、元韓国大統領発言への日本政府の抗議と見られる。
空振りの日本期待
『朝鮮日報』(3月19日付け)は、次のように伝えた。
① 「サムスン電子は昨年10月、『ギャラクシーノート・エッジ』を世界初の発売先として日本市場を選ぶなど市場拡大に努めたが、成果は上がらなかった。
サムスンが六本木にあるサムスン・ジャパンの社屋を売却し、賃料が安い地域に移転することを決めたのも、業績不振が理由だ。
日本経済が円安と大胆な量的緩和などで力強い回復を見せる中、韓国企業は『日本特需』の恩恵にあずかれずにいる。
韓国を代表する企業が軒並み不振で、対日輸出は4年連続で減少しており、韓国を訪れる日本人観光客の減少も目立つ」。
世界のサムスンも日本では、ビジネスで完全に無視された存在である。
サムスン製品が売れ行き不振であるのだ。
なぜ、日本では売れないのか。
サムスンだけでない、現代自動車も歯が立たない。
この背後には、日本人にとって韓国イメージが芳しくないことが上げられる。
すぐに日本批判する。
70年前の話を持ち出して謝罪と賠償を求める。
日本人は、「韓国疲れ」しているのだ。
日本人の8割が韓国に親しみを覚えない。
そこまで日韓関係は冷え切っている。
こういう時こそ、朴大統領は無条件で安倍首相と会談すべきなのだ。
韓国が高姿勢で、日本に臨んでいることは、日本人の反感を高めるだけである。
② 「昨年の対日輸出は前年比7.2%減の322億ドルで、2012年から3年連続の減少となった。
今年1~2月の輸出も前年同期比で21.4%減少した。
特に鉄鋼(21.5%減)、携帯電話端末(24%減)、半導体(15%減)など韓国の主力輸出品目は、軒並み2桁台の落ち込みだ。
LG経済研究院のイ・ジピョン首席研究委員は、『韓国企業の対日輸出が減少するのは、
円安で韓国製品の日本国内での価格競争力が低下した上、両国関係の悪化で韓国製品に対する人気が低下した影響が大きい』と指摘した」。