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韓国の銀行規模

2014年12月01日 16時17分11秒 | Weblog

韓国の銀行規模

青空のブログ

2014-12-01
 
韓国金融危機を考えていますがそもそも韓国の国内銀行の規模はどの程度か考察します。
 
金融監督院の国会業務報告資料によると13年末、国内18の銀行の総資産は2031兆ウォンで12年比62兆ウォン増加とあります。

貸出が占める割合は68%で不良債権は1%に満たないとも。

但し14年3月時点では不良債権は1.77%と急拡大。
 
国内銀行の総資産は09年1800兆から11年1969兆ウォンと増加。
 
総資産最大はKB国民銀行280兆。
 
2位はウリ銀行266兆、新韓銀行254兆、農協銀行206兆、企業銀行206兆ウォンという規模。

地方銀行は釜山銀行43兆、大邱銀行37兆、慶南銀行31兆ウォンの順です。
 
国内銀行の総貸出は13年末基準で1391兆ウォン(前年比3兆ウォン増)。

同期間都市銀行の総与信は10兆ウォン減少、地方銀行は9兆ウォン、特殊銀行は4兆ウォン増加とあります。

不良債権は計19兆ウォンで、地方銀行を除いて前年より減少。

都市銀行1098億、特殊銀行2557億減少、地方銀行706億増加。
 
11年末の総資産は566兆だった保険会社は12年は700兆ウォンに増加。

生命保険548兆、損害保険152兆ウォンという結果です。
 
貯蓄銀行は破綻が続き構造調整で11年末59兆から昨年は49兆ウォンに減少。
 
相互金融は329兆から352兆ウォンに増加。
 
韓国金融監督院が発表した国内18銀行の6月末のBIS基準自己資本比率は13.83%。
13年6月末の14.40%から下落しました。
 
普通株や内部留保の中核的自己資本比率は11.02%と同期比で0.59%低くなったよう。

貸出増加速度が利益水準を上回っているため自己資本比率が減少する現象が起こっていることが伺えます。
 
銀行は4~6月期に2兆ウォン(約1524億円)の純利益を計上とあります。
年間ベースでは概ね6000億円となり利益率は低迷。

金融監督院は銀行の自己資本比率が基準値の8%を上回っており財務健全性は相応と主張してますが、実質的な不良債権率はかなり高く且つ現在の韓国経済の低迷を考えると改善目処はたっていないような印象です。
 
ちなみに日本の銀行業界規模は平成24年7月-25年6月実績で決算総資産額980兆4021億円、粗利(貸出金利と預金金利の差額と手数料)20兆9291億円、経常利益計5兆1458億円、経常収益純利益率+16.8%、労働者数148千人(平均年収640万円)です。

資産規模で韓国の銀行業界の概ね4倍強、収益額で10倍前後です。
 
 
日本は韓国のGDPの概ね4倍ですから規模は相応に拡大したようですが貸出資産の質が悪く収益額低迷に繋がってます。

純金利マージン(NIM)は1.88%で9四半期連続で低下。

日本は1%を割っています。
 
日本の利鞘率は韓国の半分ですが大規模なリストラにより利益を確保できる体質に10年かけて強化されました。
 
今後韓国を襲うデフレによる低金利時代に韓国金融機関が短期間で体質改善を獲得するのは外資中心な中では困難です。

やはり黒字化には同じく10年を要する。
 
赤字、低収益中の期間を支える政府資金力もない。
 
日本の銀行中核自己資本はメガバンクで12%前後、地銀で8%前後で韓国の11%前後とほぼ同一。
 
不良債権比率はメガで1.36%信託で0.76%、新生等で3%。第一地銀で2.5%、第二地銀で3.5%といったところです。
 
日本は平均2%前後。
 
韓国不良債権率は1.77%で日本より低いのですが不良発生率は日本の0.2%の4倍(0.8%)なので単に不良債権基準が緩いだけです。

IMFに貸出急増を問題視されている以上今後国際会計基準での不良債権認定基準の導入を余儀なくされるでしょう。
 
国際会計基準を導入すると不良債権発生率が日本の4倍であることから類推すると日本の不良債権
比率2%×4倍=8%の不良債権計上が予見されます。
 
現在の韓国の不良債権比率1.77%との差額は6.23%に及び膨大な引当金積み上げと不良債権処理費が必要になる。

韓国の銀行総資産額2031兆ウォン×貸出資産比率68%×6.23%(新規増加不良債権率)×50%(貸倒引当金増加額)=43兆ウォン(費用増加額→a)。

韓国の銀行の自己資本額224兆ウォン(b)=総資産額2031兆ウォン×自己資本比率11.02%。
不良債権増加により低下した後の自己資本比率8.9%=(bーa)÷総資産額2031兆ウォン。

つまりバーゼル規制の8%をぎりぎりキープできる水準です。
 
しかも韓国の銀行が所有する資産の32%は有価証券等と不動産と思われます。
景気変動や危機時に急落する資産です。

金融危機による景気低迷により含み損が急拡大する傾向(日本の場合は株式評価、不動産時価は半減しました)韓国銀行が所有する資産が10%前後急減すれば(貸出資産外損失64兆ウォン=総資産2031兆ウォン×32%×▲10%)の赤字要因)になります。

これが合わされば自己資本比率は5.7%まで減退します。
 
バーゼル規制を下回ると国際決済(貿易関連の銀行業務を海外、国内で行うことができる)が不可となることを示しています。
 
貿易依存度が100%を超える韓国でこの判定を受けることは経済の死亡を意味するでしょう。

回避には日米欧のように政府公的資金による増資(日本は劣後債貸付でしたが現在は増資以外は不可)しかない。
 
しかし税収規模で202兆ウォン(19兆円)、政府関連負債2135兆ウォン、政府債比率は12年の韓国G
 
DPの約160%に達しており政府体力がない。
 
更に家計の有利子負債が1000兆ウォンを超えており、
 
韓国国内には投入できる資金源がありません。

IMFも破綻支援はしてもバーゼル規制基準のための支援はしない(しかも韓国は支援履歴があり2回目は許容されない)。

ちなみに従来韓国は政府負債が小さいと公表してきました。
I
MF勧告により新基準を採用した処、地方、公共機関等負債は12年末で821兆ウォン(約78兆円)。
 
更に政府保証のある金融公営企業負債を含めると1218兆ウォン(約116兆円)。

公務員、軍人年金引当金、国民年金等の引当金を含めると2135兆ウォン(204兆円)。
 
新基準前の公表政府負債が12年末で445兆ウォン(42兆円)でその差は5倍。

粉飾にも程がある。

韓国の現在の経済環境を見ると悪条件しか見つけられません。
 
ウォン高継続、財閥系の過剰負債と業績悪化、労使関係悪化とスト増加、製造拠点の海外移転と国内内需の低迷。
 
実質失業率の上昇、国内インフラの老朽化による補修コストの増大と事故の増加。

海外での著作権、技術盗難訴訟の増加によるブランド力失墜。
 
日本との極端な関係悪化。
 
米国との疎遠化。
 
主力販売先である中国の景気低迷。

資金供給源である西洋系の外資の急激な撤退。

前回の通貨危機時大量の資金供給を受けた日本民間企業との関係断絶。
 
弱い自己資本、金融危機時に銀行の自己資本を支える国内景気も資金源も西洋系、中国系、日本系の外資もいない。
 
国家デフォルトの救済がないアルゼンチンやソマリヤのような危機の発生しか予見できません