ガザ 私たちは殺戮に「否」と言ったか?(1)/岡真理

2009-01-16 13:01:27 | 世界
京都のおかです。
お知らせとお願いです。長文ですが読んでください。

ガザ市では市街戦が始まりました。
死者も負傷者もひたすら増加の一途をたどっています。
(フランスの「緊急ガザ」によれば、攻撃21日目、死者は1105名(子ども346、女性100)、負傷者5130(重態500)です。)

地元の京都新聞に寄稿しました。
『私たちは殺戮に「否」と言ったか?」というタイトルで、1月12日付け朝刊に掲載されました。

「アラブの会」の中村聡さんが、同会のWEB通信にアップしてくださいました。
http://arab-club.hp.infoseek.co.jp/kyotoshimbun.html

(中村さん、ありがとうございます。)

アフガン空爆のときは、朝日、京都新聞など、メディアの側から原稿を依頼されました。


京都新聞はあのとき、専門を異にする識者5名(目取真俊(沖縄)、佐藤卓巳(メディア論)、おか(アラブ文学)、あと2名、忘れましたが、たぶん国際関係とかだったと思います)に寄稿を依頼、アフガン問題について連載をしました。

アフガンのときも、イラク戦争のときも、たとえば中東研究の専門家がテレビに呼ばれ、解説をしました。
でも、今回、そういうことがいっさい、ないように見受けられます。

まっとうな中東研究者がスタジオに呼ばれたら、イスラエルによる「封鎖・占領」こそが問題の根源であることを主張するでしょう。
ハマースのロケット弾攻撃を問題の起点にすえて、ハマースのテロVSイスラエルの自衛の戦いというマスメディアが設定した枠組みがいかに虚偽であるかを告発するでしょう。

それを敢えてしないマスメディアは、殺戮幇助をしていると言っても過言ではありません。
そこでみなさんにお願いです。

専門家、有識者のみなさん(なんの専門でもかまいません)、
自分からメディアに働きかけて、ご自身の専門の立場から、今回の出来事についての論考を新聞(とくに地元紙)に寄稿してください。
こちらから働きかけて、マスメディアに、別の意見を、別の論調を作りましょう。
そして、寄稿された場合は、その情報を寄せてください。

*千葉大学の栗田禎子さん(アラブ現代史)が、信濃毎日新聞に寄稿されたとうかがっています。
どなたか、栗田さんの論考をみなで共有できるようにしていただけたら、たいへんありがたいです。

宗教関係者のみなさん、
宗教者の立場から、現在の事態に対する意見を新聞等に寄稿してください。
団体としての見解を、イスラエル大使館に送るだけでなく、マスメディアで表明してください。
また、関係者の方々は、宗教者にそうするよう働きかけてください。

市民のみなさん、
地元メディア、全国メディアにご自身の意見を投稿してください。
また、ネットで流れているような情報を掲載しないことで事実の隠蔽、殺戮幇助に加担しているマスメディアに抗議してください。

ガザで何が起こっているのか、攻撃の真の目的は何なのか、専門家の解説を載せろと地元紙、全国紙に要求してください。

きのうの朝日新聞は、攻撃開始後、イスラエル政府がプレスカードをもっている外国人記者にもガザの立ち入りを認めないので、ガザの中のようすを報道できないと、言い訳めいた記事を載せていました。

でも、イラク戦争が剣呑になり、爆弾テロや外国人の誘拐が頻発すると、全国紙は、いっせいにイラクから特派員を引き上げました。
記者にもしものことがあったとき、社の責任になるからです。
だから特派員は、エジプトのカイロ支局から、バグダードにいるイラク人助手に電話取材したものを記事として流していました。

ガザに入れないなら、なぜ、いま、同じことをしないのでしょうか?
ガザで起きていることを世界に知らしめるために、命を顧みずに、ガザにとどまった外国人活動家たちがいます。
ガザから発信し続けているパレスチナ人もいます。
10日の大阪の集会では、ガザ在住のパレスチナ人に電話連絡してその肉声を録音したものが紹介されました。
一般市民にできることが、なぜ、マスメディアにできないのでしょうか?

「ジャーナリズム宣言」をするなら、ジャーナリズムの責任を果たせと、新聞社に要求してください。
マスメディアは、「読者の反応」をとても気にします。

地元紙に働きかけてください。
地元紙は、地元の市民の存在を大切にします。

みなさんの声を、どうかメディアに届けてください。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

おか まり

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コリンです。

岡さんの京都新聞への寄稿、また岡さんのイニシア
テイヴは、たいへんいいと思いました。
専門家でなくとも、様々な市民が、真っ当な論考を
様々なメディアで表明して行くことが大切です。事
態をよく理解している専門家の方々は、問題の本質
を分かりやすく説明する責務、まさにより大きな責
任を担っているのだと思います。

市民の目が節穴ではないこと、事態を的確に見てい
る人たちが幅広く存在することをメディア自体に知
らせることが、メディアの軌道修正にも繋がること
もあるでしょう。

もし、欧米人、イスラエル人が1000人、子供たちが
346人、女性が100人、同じようなやり方で殺戮され
ら、世界のメディアは、日本のメディアは、何とい
うでしょうか。とうのイスラエル人は何というで
しょうか。

国連事務総長が視察中に、国連のUNRWA本部を
爆撃したことは、そこが唯一の燃料や食糧の備蓄基
地であったことを承知で計画的にやったことは国連
への挑戦であり、赤新月社や病院を狙って爆撃した
ことは、まさに国連人権委員会の決議を無視するぞ
というイスラエルの国際社会に対する挑戦に他なら
ないでしょう。そしてまた同時にプレス・センター
も爆撃している。
このことを黙っているわけには行きません。

9.11以降のネオコンの『テロとの戦い』の論理
に巻き込まれて、ハマース=テロリスト集団という
視点からだけでは、事態の本質は見えてこないで
しょう。(フランスの月刊誌『エキプレス』の編集
長は、このネオコンのテロ戦争の論理にあぐらを書
いたトンデモナイ論説を書いています。
何度でも言いますが、この度の事態だけに限ってみ
ても、6月16日に締結された停戦を破ったのは、少な
くともハマースではない。それは11月4日にイスラエ
ルが行なったガザ空爆です。しかし、世界の情報戦
争の中では、ハマースが一方的に悪者にされてい
る。100度言えば、ウソでもほんとになる実例でしょ
う。2000年7月、キャンプ・デイヴィッドで、アラ
ファトが一方的に、その正当性を剥奪されたときも
同じでした。あたかもイスラエルは決定的な譲歩を
したのに、パレスチナ人は、それをけった、だか
ら、アラファトは和平を望んでいないのだ、という
情報操作です。それらはみなウソでした。

Global Watch/Paris [globalwatch@wanadoo.fr]

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テキスト化したものを掲載しました
ガザ 私たちは殺戮に「否」と言ったか?(2)/岡真理

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1 コメント

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そこからはじめなければならない (gujin)
2009-01-16 21:11:40
「私たちは「否」と言ったか」というエントリー・タイトルに共感します。
 そこからはじめないといけない。
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