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ピーチジョンの野口社長退任に思う

2011-06-11 08:15:48 | マーケティング
Yahooのトピックスに、「ピーチジョンの野口社長退任」という記事がUpされていた。
拙ブログにこられる男性諸氏にとって、「ピーチジョンって何?」という方も多いかも知れない。
10年ほど前から女性下着の通販で、一躍脚光を浴びた会社だ。
現在では、ワコールの傘下に入っている。

「ピーチジョン」が人気になった大きな理由は、それまでの女性下着と言うイメージを一新というか大きく変えたことだった。
それまでの下着というのは、「下着」であって「見せるモノではなかった」のだが、「ピーチジョン」は、「可愛い・セクシーな下着なら見せても良いんじゃない」という、提案をしたのだった。
この「見せ下着」が、それまで下着でしかなかったキャミソールなどを、ファッションの一部として外でも着るようになったのだった。

もう一つ「ピーチジョン」が人気になった理由は、有名タレントをモデルとして起用してきたことだ。
梅宮アンナさんや吉川ひなのさん、道端ジェシカさん、時にはパリス・ヒルトンなど、10代~20代前半の女の子たちに人気の国内外のタレントさんやモデルさんを起用し、話題作りも積極的に行い、起用したモデルやタレントさんたちが「ピーチジョンって、可愛くてセクシーだから大好き」と、イロイロなところでコメントしたことで、ますます人気になったというブランドだ。

ブランドが成長するにつれ、芸能人さん達との付き合いも広がったようだが、それが逆にブランドイメージを傷つけるコトにもなってしまった。
それが、所有していたマンションで起きた「元俳優の押尾学の事件」だ。
この件に関して、あくまでも野口氏個人の所有というコトだったのだが、この事件の頃から徐々に「ピーチジョン」というブランドが聞かれなくなってきたように思う。
もちろんそれだけではなく、「ピーチジョン」のような「可愛くセクシーな見せ下着」が、極普通に手に入るようになったり、「ピーチジョン」で扱う商品が増えすぎ、まとまりが無くなったというコトもあるのかも知れない。

今月に入り、書店で新しい「ピーチジョン」のカタログを見た。
久しぶりに見て驚いたのは、表紙のモデルさんのメイクだった。
「表紙モデルのメイク?」と思われるかも知れないが、ハーフのモデルさんが真っ赤な口紅をしていたのだ。
書店に行くとわかるのだが、女性ファッション誌の表紙を飾る女優さんやモデル、タレントさんたちのメイクというのは、いわゆる「ナチュラルメイク」が主流。
特に震災以降、真っ赤な口紅で自己主張するようなメイクや表情が、見られなくなってきている。
実はこの傾向は、震災前から始まっていたのだが、震災以降より強くなっていたのだった。
その中で、真っ赤な口紅のモデルさんというのは確かに目を引くのだが、どこか場違いな雰囲気を漂わせる結果となってしまっていたように感じていた。
「ピーチジョン」の野口さんには大変失礼なのだが、「今という空気が読めていないのでは?」という気がしたのだった。

実は、野口さんに限らず成功した経営者には、成功体験が企業成長の邪魔になるときがある。
女性の場合、特にそれが顕著に表れるように感じる。
「私のお気に入り。私の好きなテイスト(雰囲気)」にとらわれ過ぎて、時代の空気間というものとマッチしなくなっているコトに、なかなか気づけないコトが間々としてあるのだ。
今回の野口さんの社長退任も、そんなトコロがあるのでは?という気がしている。


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