日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「初音ミク」とファン・マーケティング

2011-07-07 16:50:57 | マーケティング
先日、新聞に「初音ミク ロサンゼスル公演」という記事が掲載されていた(紹介記事は朝日新聞)。
「初音ミク」というWEB上のアイドルは知ってはいたが、その詳しい内容についてはまったく知らなかった。
ファンの方々には申し訳ないのだが、興味がなかった。
そのWEB上のアイドルの海外公演。しかもエンターティメントの本場アメリカでの公演が、大成功に終ったというニュースは、とても不思議な気がしながらも、その理由が知りたいと思ったのだ。

そもそも「初音ミク」というWEB上のアイドルは、音声・音楽ソフトから誕生したという。
そこからアイドルとしての動画が生まれ、その動画から新たな楽曲・歌が生まれ、新たな楽曲や歌に合わせて動画が投稿されるという、「初音ミク」のファンがドンドン自分の好きなカタチへと育てていったWEB上のアイドルだ。
今では大手ゲーム会社が、「初音ミク公式サイト」を開設するまでになっている。

私が興味を持ったというのは、この「ファンが架空のアイドルを育てる」という点だ。
それも連鎖的に楽曲や歌が出来れば、それにあわせた振り付けの動画が投稿され、それに誘発されまた新たな楽曲や歌が作られる・・・という「アイドル育成スパイラル」ともいえそうな広がり方だ。
この拡がっていく過程で初音ミクがメジャーになり、海外まで進出するまで、いわゆる企業側の「宣伝」が積極的に行われていないようだ。
むしろこの「初音ミク」を誕生させたソフト会社は、サポートをするコトはあっても「初音ミク」をイメージ制限するようなコトをしていない。
公式サイトはあっても、それは「公式ファンサイト」という感じだ。
生身の人間では無いからこそ、このようなことが出来るのだと思うのだが、その過程においては、今注目されている「ファン・マーケティング」のお手本のような気がしている。

いわゆる「3.0マーケティング」と呼ばれる、これまでとは違う企業と生活者が互いに影響しあい、共に市場を創造していく、という考え方の一つとして「ファン・マーケティング」がある。
そのため多くの企業が、生活者とコミュニケーションツールとしてツイッターやフェイスブックなどを利用し、生活者からダイレクトな意見や考え、生活思考などを読み取ろうとしている。
ただそれが成功している企業は、余り多くは無いだろう。
なぜなら「企業が意図していることぐらい、生活者の多くが見抜いてしまっている」からだ。
むしろ、企業と生活者の垣根を取っ払い、生活者を企業の中に取り込むというくらいのことが必要だといわれている。
そのような視点で「初音ミク」というアイドルを見てみると、数少ない「ファン・マーケティング」の成功例なのでは?という気がしてくる。

この点は、まだまだ分析の余地アリだとは思うのだが、ビジネスという視点から「初音ミク」というアイドルを見てみるのも面白いかも知れない。



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