嘘つきを反省する日記

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『光と影』/渡辺淳一 【読後感想】

2008年07月04日 | Book
渡辺淳一氏の直木賞受賞作『光と影』を読みました。
短編だった為、非常に読みやすかった1冊です。

渡辺氏らしい、本当に彼の作品‘らしい’作品集だと実感。

戦場で負傷した腕を、一人は切断され、一人は不自由のまま残された士官二人の運命の皮肉を描く表題作と、初期の医学ものの傑作「宣告」「猿の抵抗」「薔薇連想」が収録されています。

収録作品の中で、私が好きな作品は「薔薇連想」
梅毒を感染された主人公の女性が、己と同じ「冒された血」を次々と増やしていく。
決して耽美とは異なる性行動。ただ、それは、その本来の行為目的以上に不可思議で、背徳的と知りつつ起こす「人間だけが持つ本能」が見え隠れする様が、哀しい。
この作品が男性の手によって描かれている不思議さ。
薄っぺらにも見えるけれど、足蹴に出来ない様な愛おしさも込み上げてしまいます。

渡辺氏の男女間の感情に関する考え方は好きじゃないのですが、彼のこういった作品は大好きです。

渡辺淳一オフィシャルブログ