花々楽しい日

布合わせを楽しみながら キュートで物語のある布小物を作っています

あの頃の北京生活-①

2006-06-03 | エッセイ

15年以上前に北京で過ごした9ヶ月間
とてもたくましい食生活をしていた

留学生寮に住んでいたので キッチンなどあるわけがない
地べたに置いた「たよりない電熱器」だけが頼りだった

そのままお鍋を乗せた時が強火である
強火と言ってもお鍋に6~7分目のお湯が沸くのに15分近くかかる

拾ってきたレンガで電熱器を囲み
その上にお鍋を乗せた時は中火になる
グツグツ長く煮込みたい時はこの方法が良い

電熱器の周りにビール瓶を3~4本立てて
その上にお鍋を乗せた時は弱火である
これはかなり火から離れるため 保温効果ぐらいしかない
かなり不安定なので 側を通る時は気を付けなくてはならない

肉や野菜は日本で売っているものとはどこかが違う
初めての品種の物を買う時は かなりの勇気を要した


【 大 根 】
緑がかっていて  ずんぐりしているので 「かぶ」かも知れないと思いつつ 購入
包丁を入れると 中身はなんと
紫色だった
これは『心儿里美』という名を持つものらしい(直訳すると‘心の中は美しい’かな?)
味は確かに大根だけれど 豚汁に入れた時など(紫色なので)かなり不気味である
次は 思い切って外見が紫色の物を買ってみた
こちらは中が白かった
これが大根だったのかもしれない


【 きゅうり 】
輪っかになりかけたものや 瓜に近いほど巨大なものなど様々
しかし そのどれにも共通しているのが
「肌に突き刺さるようなイボを持っていること」
引き締まった実には“きゅうりの味”があり
そのまま何もつけずに食べても充分おいしかった


【 ほうれん草 】
“ヤケクソ”の様にたくさん束ねて売っている
旬の時を過ぎると背丈が50㎝以上の「ほうれん草の苗」状態となり
花なんぞ咲いているものもある
夕方買いに行くと しなびた物しかないが 水をかけると粋が戻る
買ってきたらまず洗って 泥を落とし
1本1本 料理に使えるかどうか選別する必要がある


【 もやし 】
もやしを売っているお店(屋台)はもやしだけを売っていた
市場に並ぶ店の中でも 1種類の物だけを売っているというのは珍しい
鉄板の上に山積みされたもやしは 一様にみずみずしい
爪を立てるとピチっと水分がはじけ飛びそうだ
実際に食べてみても コシがあっておいしい
ただ 買う時には注意が必要!
★ 必ず 適当なところで「もういい!ストップ!」と言うこと
言わない限り チリトリ型の秤に手づかみでドンドン入れられる
それから
★ 袋物を持参すること
入れるものがないと その店で袋を買わなければならない
しかもその袋ときたら
両端を持ってグルンと1回転させると 破けてしまい中のもやしが飛び散る
といった粗悪な代物だ
因みに現地の人たちは 何やらいろんな物が入った買い物袋の口を開けて
チリトリの角から ザザザーっともやしをぶち込んでもらっていた


【 動物性たんぱく質? 】
少し水の張った大きなタライの中に
死んだ魚が 丸ごと 重なり合うように放り込まれていた
その周りには ハエが小さな円を描きながらブンブン飛んでいる
その魚を「新鮮!新鮮!」と連呼しながら売っていた

肉をもぎ取られた豚が店先にぶら下がっているのなんて当たり前
1番ギョッとしたのが『鶏の頭』
タライの中に羽をむしり取られた鶏の頭部のみがギッシリ詰まっている
「誰が?どうやって食べるのか?」
知りたくもない
今でも あの 「閉じた瞼の 眼球を覆う曲線」が生々しく思い出される

 

あれから15年以上も経っている
北京は次のオリンピックの開催地でもある
私の住んでいた頃の北京とは随分様相が変わっているだろう

いやいや『中国四千年の歴史』
たった15年やそこらで 変わってしまったとは思えない
「ボコボコトマト」や「ブツブツきゅうり」や「ボーボー花咲きほうれん草」が
きっと 今でも 屋台で売られているに違いない

だけど
鶏の生首はノン!ノン!ノン!ノン!


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