虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

「浮世の有様」

2006-08-16 | 読書
ネットの古本屋で、日本庶民生活史料集成第11巻(三一書房)を買った。
4800円。ずっしりと重い。「浮世の有様」といって、大坂斎藤町に住む無名の医師の江戸時代のルポルタージュだ。

文化3年(1806)から幕末の弘化3年(1846)までの40年間の見聞録。400詰原稿用紙で2200枚になる。他の本の10冊分くらいの量になるので、まあ4800円でも安い。

著者は天明5年生まれで、これは著者の21歳から60歳までの記録だ。幕府のお触れ、物価、天災、諸国の騒動、一揆、事件、町の噂、落書、ちょぼくれ、あらゆる情報を書き付ける。特に、天保年間に詳しく、大塩の乱や天保改革についてはおそらく当時のどの記録よりも詳細。あまりに大部なので、天保4,5年のおかげ参りや加古川一揆についてはこの全集の12巻に移されている。

江戸時代の市井の人が記録した同時代史としては、江戸では、「藤岡屋日記」というのが有名だけど、西では、この「浮世の有様」がなんといっても最高最大のものだろう。

このブログで以前、能勢一揆の山田屋大助について書いたけど、山田屋大助と同じ町の住人で、もちろん、著者は大助の目撃談も書いているし、大助の死後、大助の妻に取材もこころみている。めったに自分のことを書かないのだけど、大塩の乱のときには、自分の考えを書いたりしているのもおもしろい。

この本をネタにして江戸時代のことについて「この虎尾の会」にも何か書けたらなあ、と思っています。しかし、さすが読みやすくはないので(現代語訳してないので)、枕になるだけかもしれない<笑)



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