虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

高橋 敏「清水次郎長」(岩波新書)

2010-01-27 | 読書
新刊屋さんでは買わない、といいながら、これは買わざるを得ないという本がある。
出たばかりのこの本、さっそく、入手。副題は「幕末維新と博徒の世界」。庶民から見た幕末維新史だ。「虎尾の会」も出てきます。ちょっとだけ(笑)。

ぺらぺらとめくってみただけだが(いつも、これで終わってる?)、「東海遊侠伝」を下敷きにしながら、清水次郎長の生涯を検証していく。赤報隊に入った黒駒勝蔵にも詳しい。
天誅組の松本奎堂が清水次郎長に隊への勧誘にきたという説なども紹介している。おもしろい。

博徒、侠客については、長谷川伸、子母沢寛の作品が有名で評価も高いけど、学者が研究することはまず、希だ。筆者はあとがきで、「稗史から一貫して正史を撃ちつづけた長谷川伸の仕事、とくに「相楽総三とその同志」は本書の原点である」と書いていた。やはりな、と思った。

次郎長や黒駒勝蔵など、やくざ者、無頼の者から幕末維新を見ていくのは興味深い。百姓一揆の頭領になった者たちとも重なる部分がありそうだ。

古本うしおに堂でも、「東海遊侠伝」、子母沢寛「駿河遊侠伝」、「相楽総三とその同志」や、この本の参考文献にあげていた「梅蔭寺清水次郎長伝」「博徒と自由民権」などご用意しています(笑)。

大阪のやくざ者から幕末維新史を見た名作としては、長谷川伸の「狼」(または「足尾九兵衛の懺悔」もはずせない。これは幕末の大阪で名を鳴らした橋尾九兵衛の生涯を追ったものです。


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2 コメント

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実像 (横山勘蔵)
2010-01-28 09:30:21
この著者の別の本を読んでいたような、黒駒勝蔵の印象が激変した記憶があります。芹沢鴨も見方を変えれば全く別人になってしまう、史実と通説の違いが面白いです。今、本棚見たら「芹沢 鴨の生涯」がありました。
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Unknown (荘太郎)
2010-01-28 12:55:34
慎太郎さん、コメントありがとうございます。
芹沢鴨、魅力ありますね。邪魔者はみな悪人にされてしまいます。清河八郎しかり。
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