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「通訳案内士の業務独占廃止」の真相と深層(2)~星野佳路氏の提言~

2017年06月01日 13時06分01秒 | ●通訳案内士業界の諸問題

「通訳案内士の業務独占廃止」の真相と深層(2)~星野佳路氏の提言~

「加計学園と同じか?冗談もいい加減にしろ!」
私は、1975年に通訳案内士試験に合格し、1977年にハロー通訳アカデミーを創立し、40年間にわたり、毎日、通訳案内士試験(制度)と向き合って生きてきました。
今般、通訳案内士法が改正され、通訳案内士の業務独占廃止が決定しましたが、業務独占廃止に至る経緯をきちんと記録に残すことが、40年間お世話になってきた通訳案内士試験に対する私の責務のような気がして、「通訳案内士の業務独占廃止」の真相と深層(1)および(2)をまとめました。
「加計学園ありき」と同じように、何ら十分な審議も検討もなされずに、規制改革会議の「業務独占廃止ありき」の帰結として、業務独占がいとも簡単に廃止された経緯を見るに、「加計学園と同じか?冗談もいい加減にしろ!」という怒りが込み上げてきます。

●皆さんのご意見、ご感想も是非お聞かせください。
・件名:<通訳案内士の業務独占廃止>(氏名)
・宛先:info@hello.ac

●星野佳路氏の提言
前回のメルマガの「通訳案内士の業務独占廃止」の真相と深層(1)で、内閣総理大臣の諮問機関である規制改革会議「通訳案内士制度の見直しについて」(3回開催)が、「通訳案内士の業務独占廃止ありき」であったことを指摘しましたが、その引き金となったのは、平成27年12月5日に開催された規制改革会議「第8回地域活性化ワーキング・グループ」における星野リゾートの星野佳路(ほしのよしはる)代表の提言でした。
下記に、同ワーキング・グループにおける星野代表の「通訳案内士の業務独占廃止」に言及する提言と「通訳案内士の業務独占廃止」への流れを掲載しました。

●「通訳案内士の業務独占廃止」の真相と深層(1)~加計学園問題と酷似の構図~
http://blog.goo.ne.jp/gu6970/e/8266111e881bca848e5d038573581e27

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「星野佳路代表の提言」(第8回地域活性化ワーキング・グループ)平成27年12月5日
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●「第8回地域活性化ワーキング・グループ」の議事録(すべて)
http://hello.ac/hosino.pdf

(前略)

●星野代表
(資料の)7番は、私の事業の課題にもなっているのですが、実は、軽井沢でエコツーリズムを一生懸命やってきていまして、今、エコツーリズムの部門で黒字化しているので、彼らはそれなりに成長してきているのですが、お客様がいらっしゃったときに、バードウォッチングのツアーをやっているのです。軽井沢は野鳥の宝庫と中西悟堂先生が言った、というところから始まっているのですが、世界中からバードウォッチャーが来る可能性があると思っています。

日本人が大半のお客様なのですが、海外からいらっしゃる方が同じツアーに参加しようとするときに、現場のスタッフによると、厳密には、通訳案内士の免許のないうちのスタッフが案内することは違法であると言うのですね。

通訳案内士の免許がない人が、外国人に対して観光案内をするということ、バードウォッチングは観光案内だということなのですけれども、これについて問題だということになると、途端に今日の8時半のツアーは日本人が8人で外国人が4人来たというときに、外国人のお客様だけ「ちょっとあなた方参加できません」と言わざるを得ない状態が生じているのです。

浅間山に登ってくるツアーで外国人が入ってくるときには、通訳案内士の人がいなければいけないということで、小室に一人いるのですけれども、この人は山登りが嫌いなのですよ。通訳案内士の方は、文化的な施設に行ったときにちゃんと英語で案内できることを訓練されていて試験も受けているのですけれども、1日山を歩いてくださいというのは嫌なのですよね。それに、別に鳥に詳しいわけでもないわけです。

鳥の研究者が私たちのツアーのガイドをやっていますので、案内士の試験にあるような姫路城については確かに英語で説明できないのだけれども、軽井沢の鳥については、研究者ですから英語で説明できるのですね。

なので、こういう免許自体が、私は本当に要るのだろうかと思うのですね。この免許の趣旨が、ツアーの質を均一化させるためであるなら、それは案内する人の評価制度を入れれば良いと思うのです。

今、宿だって口コミ評価とか、ミシュランだってレストランの評価とかやっているわけで、このバードウォッチング業者は不満だったということをお客様が書けばいいわけです。そのレイティングを見て、顧客が判断すればいいのであって、国がどの案内士の英語のレベルとか、説明のレベルを免許制にする必要はないのではないかというのが私のポイントで、これはスキーのツアーでも同じなのです。

スキーの冬山ツアーを見ていただくと、今、世界でスキーを買ったり、オーストラリアなど海外から北海道に飛んでくる人は、ほとんどがパウダースノー目的なのですね。パウダースノー目的というのは、ゲレンデ内を滑らないということなのですよ。ゲレンデ外滑走を可能にしようというのは、ちょっとまた別なところで私は提案していて、それは規制の問題ではなくて、我々の問題でもあるということがようやく分かってきたのですが、ただ、本来、私は雪崩を含むコース外滑走は危険が伴うと思っていまして、海外では、ガイドを付けるというのは常識なのです。

ガイドを付けて、危ないところを把握していたり、それから何か起こってもすぐに対応できたり、ビーコンという発信機を付けて滑ってもらったり、ガイドがいることによって安全性が高まるのです。そのパウダースノーを滑れる山のガイドが、どこまで英語を話せる必要があるのだろうか。また、大体スキーとパウダースノーを滑るのがうまい人が通訳士の案内の免許を取れるかどうかというのもよく考えないといけないと思っているのです。

ですから、そうやって考えたときに、この通訳案内士の免許自体がどこまで適用されて、そして何を達成しようとしているのかということは、ちょっと考えなければいけない。是非、考えてほしい問題だなと思っています。

(中略)

●羽深室長
事務局なのですけれども、本当に貴重な御指摘をいただいて、我々も一つずつ潰していけたらと思いますが、2つ伺いたいのです。

1つは、7番のホテルの通訳案内、これは我々も勉強しておきますけれども、多分、通訳案内士と名乗ってこういう仕事をするには、こういう資格が要ります、何とかという試験が必要ですよということを決めているのですけれども、外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をするといったことは、多分、ホテルのフロントにいる方も日常的にされると思うので、逆に通訳案内士以外の人がそういうことをやったら法律違反になるというところまで制約しているのかどうか。これは、我々も調べてみないといけませんが。

この試験についても、先ほどおっしゃったような鳥の案内について、いちいち資格を取ろうとしても、それはそもそも試験がないのでやりようがない。であれば、それは通訳案内士としてではなくて、別のサービスをやっているのだという整理が、つまり、それは法律の外の話なので、御自由におやりくださいということにできないのか。

そういう意味では、建築基準法とか、旅行業法とか、あるいは都市計画法も、みんな国交省の管轄で、国交省には観光庁もあって、観光が重要だと今の大臣も言われているので、国交省自身の取組というか、対応というか、そういうものについて、何か御感想とか、熱心か不熱心かということなのですけれども、ございますでしょうか。

●星野代表
まず、今の通訳案内士の話は、外国人にいろいろ紹介したり、案内したりというのは自由なのですよ。だけれども、料金を取ってはいけないということなのです。

●羽深室長
報酬を得るには資格がないと駄目ということですか。

●星野代表
そういうふうに私は理解しているし、うちのエコツーリズムの団体もそう言っています。

●羽深室長
それをやっていたら違法になるのかな。分かりました。

●星野代表
違法にならないと言っていただけると、それでこの問題は解決するので非常にうれしいです。ただ、そうすると、通訳案内士は何なのだろうということになっていくので、そもそも私は通訳して案内する人を免許制にする必要があるのだろうかと思っているところですね。
今、トリップアドバイザーも含めて、レストランも含めてうまいまずい、よかった悪かったというのはみんな口コミで点数になって評価されて、市場がもう評価しますから、あそこのバードウォッチングの星野リゾートのガイドはひどかった、つまらなかったとすぐ書かれるので。

(後略)

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「通訳案内士の業務独占廃止」への流れ(まとめ)
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「通訳案内士の業務独占廃止」への流れを時系列に記載すると下記のようになります。

●規制改革会議「第8回地域活性化ワーキング・グループ」(平成27年12月5日)
・星野リゾートの星野佳路代表の提言

●規制改革会議「通訳案内士制度の見直しについて」(1)(平成28年1月28日)
・岡議長:業務独占廃止するしかない。観光庁もその方向で検討してもらいたい。

●規制改革会議「通訳案内士制度の見直しについて」(2)(平成28年2月10日)
・業務独占廃止となっても、名称独占が残れば質の高いサービスは残るはず。

●規制改革会議「通訳案内士制度の見直しについて」(3)(平成28年4月8日)
・河野太郎内閣府特命大臣の意見観光ビジョンの目標を上向きにしているのであれば、今年はもう2016年なのだから、来年の通常国会ではなく、業務独占をやめるということだけ、今通常国会に議員立法でもなんでも出すべき。それぐらいのペースでやらないと、観光庁は何の為に立ち上げたのか、観光産業の育成を邪魔するような役所だったら、やめてしまえばいい。

●規制改革実施計画「通訳案内士制度の見直し」を閣議決定(平成28年6月2日)
・規制改革の内容
訪日外国人旅行者の増加とニーズの多様化に対応するため、通訳案内士の業務独占規制を廃止し、名称独占のみ存続することとする。その際、業務独占規制の廃止に伴い団体旅行の質が低下することのないよう、訪日旅行商品の企画・手配を行っているランドオペレーター等の業務の適正化を図る制度を導入する。

●「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」を閣議決定(平成29年3月10日)

●同法案が、衆議院本会議にて可決(平成29年5月16日)

●同法案が、参議院本会議にて可決、成立(平成29年5月26日)

・「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」の附帯決議
http://blog.goo.ne.jp/gu6970/e/47cb484146ddaa46f533bb2dec70032d

・「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」成立に関するマスコミ報道
http://blog.goo.ne.jp/gu6970/e/7cec110a56be830bb977932bd5df88b6

以上


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