家族や友達と一緒に新聞を読んで感想や意見をまとめる「第8回いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)で、奈良県生駒市立上中学校3年の椎野真心(まこ)さん(15)が優秀賞に選ばれた。本好きならではの「ときめき」を記事の主人公と重ねながら読み取り、本屋への提言につなげた。

 47都道府県から4万7699編の応募があり、最優秀賞、HAPPY NEWS賞に次ぐ優秀賞は小中高校部門で各10編。

 椎野さんが読んだのは、「山奥の小さな村 夢いっぱい文庫」(8月26日付朝日新聞夕刊)。離島を除けば日本一人口が少ない高知県大川村で、元書店員の83歳のおばあさんが1400冊余りの蔵書を寄贈して作った「図書館」の話だ。

 ログイン前の続き本が大好きという椎野さん。受験を控える今は、週2冊くらいまでに読書を控えているといい、夏休みの終わりに祖父母の家で開いた新聞で、「数え切れないほどの本に囲まれてはにかむおばあさんはとても幸せそう」と写真に目が留まった。「まず、とにかくうらやましいと思いました」

 ミヒャエル・エンデの「モモ」に始まり、「ハリー・ポッター」シリーズや、最近は上橋菜穂子さんのファンタジーなどがお気に入り。想像をめぐらせ、落ち込んでいても励まされる。「とてもかなわない」と言いつつ、記事のおばあさんと自分が重なった。

 母に感想を尋ねると、「今はネット注文で簡単に本が手に入るけど、実際に本に触れて出会うことってすごく大事やんな」と言われた。椎野さん自身、図書館で、まず本の背表紙を見ながら想像を膨らませ、次に手にとってページをめくってみて、じっくり借りる本を選ぶのが楽しみだ。ところが最近は大きな本屋に行くと、目当ての本がビニールで包まれていて開いてみることができない。

 作文では、立ち読み防止策という事情に理解を示しつつも、「本の雰囲気が分からないので、結局買わないこともあるのです。これこそが本との『出会い』が無いということではないでしょうか」と指摘。「街の図書館や小さな本屋に確かにある温かみやときめきを、大きな本屋でもぜひ感じられるようになってほしいです」と提言で結んだ。

 本好きが高じて、新聞も祖父母の家でまとめ読みしている。普段は色々な人の意見が載っている「声」欄や、事件などの背景を詳しく書いてある記事が好きだ。記事で出会った知らないまちのおばあさん。「いつかこの図書館にも行ってみたい。おすすめの本を教えてもらいたいです」(上田真由美)

2人と2校も受賞

 県内からはほかに、優秀賞に池田真優加さん(生駒市立上中3年)、奨励賞に吉田百合彩さん(同市立光明中3年)、学校奨励賞に王寺町立王寺南小と生駒市立光明中が選ばれた