陸上の前100メートル世界記録を持っていた米国のティム・モンゴメリに、スポーツ仲裁裁判所(CAS)はドーピング違反があったと認定し、2年間の資格停止処分とした。おなじく女子短距離のクリスティ・ゲインズ(米国)に対しても同じ処分を下した。2選手はドーピング検査で陽性となったわけではない。しかし他選手など関係者の証言を基に違反が確定となった。今回取った手法は今後のドーピング規制に影響を与えることになるだろう。
今回の件は、補助食品会社のBALCOから薬物の提供を受けていた女子短距離選手のケリー・ホワイト(米国)の証言が決め手となった。ホワイトはCASの聴聞で、モンゴメリとゲインズがBALCOから薬物を提供されていると話していた旨を証言したという。一方、モンゴメリもゲインズも聴聞会に出席せず、ホワイト証言への反証をしないため「事実であると信じるに足り、また十分な証拠となる」として、異例の裁定が下された。
モンゴメリは2002年9月に9秒78の世界記録をマークし、今年6月にアサファ・パウエル(ジャマイカ)が9秒77を出すまで記録を保持していた。モンゴメリのタイムは01年3月末以降の分が抹消されるため、「9秒78」は陸上記録から消え去る。
ベン・ジョンソンを思い出した。彼もドーピング違反で1988年に打ち立てた9秒79の世界記録が抹消された。あのときは衝撃が大きかった。なんといっても世界記録が抹消されたわけだから。
しかし将来への影響としては、今回の違反のほうが大きいだろう。明らかな証拠がない中で、裁定が下されたわけだから。しかしドーピングに関しては「検査で陽性とならない薬物」が開発されるなど巧妙化している実態がある。このまま野放しにしていれば、スポーツは「汚れた記録」で満たされてしまう。
今回の裁定は物議を呼ぶだろう。しかし記録とは何か、スポーツとは何かを改めて考える「呼び水」となったことは間違いない。この問題を契機に日本のスポーツ界、特にプロ野球はドーピング検査導入へ積極的に取り組んで欲しい。
今回の件は、補助食品会社のBALCOから薬物の提供を受けていた女子短距離選手のケリー・ホワイト(米国)の証言が決め手となった。ホワイトはCASの聴聞で、モンゴメリとゲインズがBALCOから薬物を提供されていると話していた旨を証言したという。一方、モンゴメリもゲインズも聴聞会に出席せず、ホワイト証言への反証をしないため「事実であると信じるに足り、また十分な証拠となる」として、異例の裁定が下された。
モンゴメリは2002年9月に9秒78の世界記録をマークし、今年6月にアサファ・パウエル(ジャマイカ)が9秒77を出すまで記録を保持していた。モンゴメリのタイムは01年3月末以降の分が抹消されるため、「9秒78」は陸上記録から消え去る。
ベン・ジョンソンを思い出した。彼もドーピング違反で1988年に打ち立てた9秒79の世界記録が抹消された。あのときは衝撃が大きかった。なんといっても世界記録が抹消されたわけだから。
しかし将来への影響としては、今回の違反のほうが大きいだろう。明らかな証拠がない中で、裁定が下されたわけだから。しかしドーピングに関しては「検査で陽性とならない薬物」が開発されるなど巧妙化している実態がある。このまま野放しにしていれば、スポーツは「汚れた記録」で満たされてしまう。
今回の裁定は物議を呼ぶだろう。しかし記録とは何か、スポーツとは何かを改めて考える「呼び水」となったことは間違いない。この問題を契機に日本のスポーツ界、特にプロ野球はドーピング検査導入へ積極的に取り組んで欲しい。