小さきオランダの虹

【ダッチアイリス】アヤメ科アヤメ属（アイリス属）

地中海沿岸から中近東にかけての地域が原産の、球根性多年草です。

「スパニッシュアイリス」というヨーロッパ南部の原種を中心にして、種間交配を繰り返しながら作られた品種です。
19世紀の終りの頃からオランダで交配が始まったので、「ダッチアイリス」と呼ばれるようになりました。

因みに「ダッチ・Dutch」とは、オランダを意味します。
「ダッチオーブン」とか「ダッチコーヒー」とかありますよね。
「ダッチワ○フ」の「ダッチ」は、オランダとは関係ないそうです、念のため。

「アイリス」は、ギリシャ神話に出てくる女神「イリス」に由来し、「虹」という意味です。

アイリスには他に「ジャーマンアイリス・German iris」と呼ばれる一群がありますが、普通「アイリス」と言ったら、こちらの「ダッチアイリス」ことです。
「イリス」と言うかたもいらっしゃいますよね。

「キュウコンアイリス・球根あいりす」、「オランダアヤメ・阿蘭陀菖蒲」などの和名もあります。

アヤメ科の花たちを見分けるのは難しいと言われますが、ダッチアイリスとジャーマンアイリスは比較的簡単です。
日本のアヤメ類とは、葉の形状や固さがまったく違いますから。
葉の違いさえ見分けられれば、ほぼ問題ありません。

今回是非とも紹介したかったのはこちらです。

【ミニアイリス】

草丈10～15cmくらい、花は5～6cmの小さなアイリスです。
葉も株も小さくて、いかにもミニといったアイリスです。

3月の半ば頃、ある日突然といった感じで姿を現しました。
クロッカスと似たような登場の仕方でしたよ。
思わず、何だよ、これは～～って、はしゃいじゃいましたよ。

ここのところ見られる園芸種の矮小化には、これってほんとに美しいのかと疑問を呈したくなることがままありますが、こちらのミニはほんとに可愛いです。
単体より、纏まって咲いているほうが、可愛さが一層際立ちますね。

まさに花開かんとしている姿が、一段と可愛いんですよ。

球根性のアイリスには、大きく2系統があるんだそうです。
冒頭に紹介した切り花にも利用する高性系のものと、レティクラタ系と呼ばれる、こちらのような矮性系のものです。

てっきり小さく改良されたものだと思っていましたよ。
紹介しているミニアイリスは、もしかしたら園芸用に改良された品種かもしれませんが、もともとこんな小さなアイリスがあったのですね。
原種系のアイリスということになります。
確かに原種系のチューリップに似た風情がありますよね。

ミニアイリスは、普通のアイリスたちより早くに咲き出します。
紹介しているこちらは、3月19日と26日に撮影しました。

残念なことに、花期もミニなんですよね。
パッと咲いて、サッサと姿を消してしまいます。
10日も持ちませんでしたね。

花期の短さは欠点ではありません。
月下美人の例もありますからね。
花の命の短さこそが、尚一層愛しさを募らせることにもなるんですから。