ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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原発の後始末

2009年08月26日 | カ行
 日本原子力発電東海発電所を訪ねた。日本初の商業炉として1966年に営業運転を始め、1998年に現役を退いた原発だ。

 2001年末から17年がかりの「後始末」が続いている。出てくる金属やコンクリートの廃棄物はざっと20万トン。核分裂生成物などの高レベル廃棄物は含まれないが、3割余りは放射性のものだ。

 このうち2万3500トンは、放射線の程度に応じてさまざまな深さに埋める。なかでも、原子炉や周辺設備のように最も程度の高い1500トンは、深さ50~100㍍の地中に管理施設をつくって埋設しなければならない。どこに施設をつくるのかは、まだ決まっていない。

 一方、年間の放射線量が一般人の被爆限度の100分の1以下の4万トンは、法律上、放射性廃棄物として扱わなくてもよい。一部は屋外ベンチやコンクリートブロックに再生されているが、さすがに一般の公園で使うのは難しく、原子力関連施設の施設内で使うにとどまる。

 「後始末」の段階でも、原発には放射性廃棄物の問題がつきまとうのだ。

 昨今、原発は二酸化炭素(CO2)を出さないので地球温暖化防止に役立つといわれる。確かに、その一面はある。新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽(かりわ)原発が止まった2007年度、日本の温室効果ガス排出量は過去最悪になったのだから。

 ただ、CO2は出さなくても、さまざまな放射性廃棄物は出す。脱温暖化に貢献しても、やっかいな問題が消えてなくなるわけではない。
   (朝日、2008年11月28日。村山知博)