ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第291号、耐震補強をどう進めるか

2007年07月23日 | 政治関係
教育の広場、第291号、耐震補強をどう進めるか

 2007年07月22日付けの朝日新聞の社説に次の文章が載りました。

   耐震補強、命を守る決め手だ

 地震で一番怖いのは、強い揺れで瞬時に家をつぶされ、その下敷
きになってしまうことだ。阪神大震災の死者の8割は建物の倒壊に
よる圧死だった。

 規模こそ違うものの、今回の新潟県中越沖地震でも同じことが繰
り返された。10人の犠牲者のうち9人が、壊れた建物に押しつぶさ
れて亡くなった。

 地震による犠牲者を少なくする決め手は、古い木造住宅を改修し
て補強することに尽きる。それが1995年の阪神大震災の教訓であり、
その年のうちに耐震改修促進法を制定した理由でもあった。

 ところが、肝心の耐震補強が思うように進んでいない。今回の地
震で被害が集中した柏崎市の場合も、この春から耐震補強の助成制
度を始めたが、申請はゼロだった。残念と言うしかない。

 進まない理由の一つは、耐震改修の基本方針づくりをしている国
土交通省の硬直した姿勢にある。

 現行の建築基準では、建築物に「耐震強度1以上」を求めている。
震度6の揺れでも倒れない強さである。国交省は「公金を投じる以
上、古い住宅でも改修後はこの基準を満たすものでなければならな
い」という。

 しかし、この基準に沿って補強をすれば、平均して百数十万円の
費用がかかる。所得の少ない家庭や年金で暮らすお年寄りには負担
しきれないのだ。

 耐震補強が進まないことに悩む自治体の間では、国交省の方針を
乗り越えて独自の支援を始める動きが広がっている。先陣を切った
のは東京都の墨田区だ。

 強度の足りないところに柱や筋交いを入れる。それで少しでも地
震に強い家にする。費用も数十万円ですむ。昨年から始めた簡易改
修の助成事業である。後に続く自治体が相次いだ。

 国内には強い地震に耐えられない住宅が全体の25%、約1千万戸
もある。中央防災会議は2015年までにこれを10%に減らす目標を打
ち出している。

 この目標を達成するためには、国と自治体がもっと柔軟な発想で
取り組む必要がある。補強が進まないうちに地震に襲われて犠牲者
が増えるようなことは、何としても防がなければならない。

 むろん、行政を批判すれば事足りる話ではない。防災の基本は自
助である。住民白身が「自分の命は自分で守る」という気概を持つ
ことが大切だ。

 その意味で学びたいのは、宮城県松島町の取り組みである。東北
工業大学の田中礼治教授らの協力を得て、3年前から中学生に住宅
の耐震診断のノウハウを伝授する授業を始めた。

 田中教授は「中学生を大人として扱い、防災の担い手にしたい。
授業は、親や祖父母との対話のきっかけにもなる」と語る。松島町
の試みは宮城県だけでなく、隣接県にも広がりつつある。

 私たちは、いつどこで地震に襲われてもおかしくない国に生きて
いる。命を守るために、さらに知恵を絞りたい。
 (引用終わり)


     感想

 1、関連する事情をまとめてくれたのには感謝しますが、具体策
を提示できないところに朝日新聞の限界が好く出ていると思います。

 2、要するに問題は、古い住宅を震度7でも倒れない(死なない
)ように耐震補強するのに、最低でも例えば50万円かかるというの
に、助成金が20万円しか出ないというのでは、その自己負担分の30
万円を出せない世帯が沢山ある、ということです(数字は仮のもの
、しかしかなり現実に近いと思います)。

 3、解決策は以下の3つしかないと思います。

 第1案・貧困を無くす。
 第2案・全額公費で出す。
 第3案・とにかく自己負担ゼロで解決する方法を考え出す。

 第1案は正道ですが、政権交代が実現しても出来るかどうか分か
りませんし、出来ても時間がかかるでしょう。

 第2案も今の財政でも可能だと思いますが、それを実行できる首
相が生まれるのを待っていることはできないでしょう。あるいは、
公務員の給与を下げれば出来ますし、特別行政法人などを正常にす
れば更に出来ると思いますが、それを実行できる政府を待っている
ことはできないでしょう。

 残るは第3案しかありません。ではどうするか。私の考えている
案の「1つ」を紹介します。

 朝日新聞の紹介する松島町の中学の取り組みは「耐震診断のノウ
ハウ」だけのようですが(電話で聞きましたが、役場も学校も詳し
い事を知らないようでした)、これを耐震補強工事まで含めるよう
にするのです。

 そして、中学生より高校生(女子を含む)を主体にするのです。
授業の一環にして好いと思います。

 自分の家だけでなく、危険性のあるすべての家屋を対象にするの
です。教育再生会議の提唱している道徳教育よりはるかに大きな教
育的効果すらあると思います。

 因みに、住宅の価格に占める材料費の割合は5分の1以下です。

 こういう記事で示されている耐震補強費用も内訳を精査する必要
があります。


     お知らせ(07月23日)

 本日2007年07月23日、以下のブログを更新しました。

 「国語辞書・マクシコン」の「壁」の項を書き直しました。

 http://blog.goo.ne.jp/maxikon2006/