功夫電影専科

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Once Upon a Time(4)黄飛鴻電影を追い求めて

2017-05-29 16:29:43 | 李連杰(ジェット・リー)
 私の香港映画に対する価値観を大きく変えた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』。特集の冒頭で触れた通り、この作品と出会ったのはテレビの映画番組でした。
その興奮が冷めやらぬ中、番組の予告で再び李連杰(リー・リンチェイ)の主演作が放送されると知らされた私は、狂喜しながら次回を待ちました。しかし、そこで流されたのはシリーズ第3作の『天地争霸』では無かったのです。
舞台は中国ではなくアメリカ。唐突に始まるインディアンの襲撃や、弟子役の人が変わっている点など、『天地大乱』から様変わりした雰囲気に私は戸惑いました。
 それもそのはず、この作品はシリーズ最終作となる『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ 天地風雲』であり、監督は徐克(ツィ・ハーク)から洪金寶(サモ・ハン・キンポー)に交代しています。
梁寛役の莫少聰(マックス・モク)は降板し、代わりに『天地争霸』から仲間入りした鬼脚七役の熊欣欣(チョン・シンシン)が登場してますが、そもそも『天地争霸』を見ていない私には理解が追い付きません。
 ストーリーのテンポや演出も変容しており、『天地大乱』と同じノリを期待していた私は「見たかったのはコレじゃない…」と嘆いたのを覚えています(苦笑
今にして思えば『天地風雲』も悪い作品ではないんですが、当時の私にとっては『天地大乱』こそが基準であり、同作への思いはますます強まっていきました。

 かくしてテレビでの李連杰特集は終わり、もどかしい気分を抱えた私は親の勧めでレンタルビデオ店を利用し、そこで『天地大乱』と再会を果たします。
しかも、嬉しいことにレンタルしたビデオは吹き替え版で、担当している声優は池田秀一を始めとした知っている人ばかり。この事が『天地大乱』を、そしてワンチャイシリーズに私が手を出す要因のひとつとなりました。
 当時、ネットが普及したことでワンチャイについて下調べしていた私は、ビデオで第3作となっている『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』が本当の第1作だと知り、まずはこれから見ることにします。
『天地黎明』は低迷していた李連杰がカムバックを果たした作品で、香港では大ヒットを記録。欧米列強の介入によって揺れる中国を舞台に、李連杰演じる黄飛鴻が不当な暴力に立ち向かう姿を描いています。
その内容はかなり深刻で、爽快感を全面に押し出していた『天地大乱』とはタッチがやや違いました。ですが、私は奥深いストーリーと奔放なアクションに感嘆し、次に第3作へ手を出しました。

 続く『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地争霸』は、列強各国に国威を知らしめようとした西太后が「獅子舞大会で連中をビビらせよう!」などと言い出したせいで、北京の武術門派がとばっちりを受けるお話です。
物語はロシアによる暗殺事件、黄飛鴻と十三姨の恋愛模様、先述した鬼脚七の登場などイベントが多く、こちらも見応え十分。ただ、武術指導が元彬(ユン・ブン)に交代しており、アクションのタッチは少々違います。
ワイヤーで豪快に飛ばす元彬の作風は荒々しい面が目立つものの、鬼脚七の変態的な足技パフォーマンスや獅子舞合戦は迫力十分。ただ、やはり獅子舞よりも素手での勝負が見たかったかなぁ…。

 と、ここで問題が持ち上がります。この『天地争霸』で李連杰と徐克はコンビを解消したため、以後は黄飛鴻を趙文卓(ヴィンセント・チャオ)が演じるようになったのです。正直、この主役交代には凄く不安を覚えました。
そんな第4作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナIV 天地霸王』は、第3作の直接的な続編となっていて、再び始まる獅子舞合戦で死闘が展開されます。
 おなじみのテーマソングもアレンジ版になり、十三姨役の關之琳(ロザムンド・クワン)も降板するなど、この作品は他にも不安要素が山積していました。しかし、私としては及第点の出来だったと思います。
確かにストーリーはグレードダウンしているし、アクションも雑になっているんですが、列強各国のバケモノ獅子舞軍団や、敵の用心棒として登場する周比利(ビリー・チョウ)のインパクトが凄く、特に周比利の馬殴りには痺れました(笑
ところが、第5作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナV 天地撃攘』は關之琳や弟子たちが復帰するものの、こちらは単なる海賊退治というローカルさ。アクションは悪くないものの、単純すぎるストーリーに不満を覚えたものです…。

 そんなわけで、ここまで本家のワンチャイシリーズを見た思い出を振り返ってみましたが、まだまだ話の種は尽きません。本当なら以後のエピソードも一気に書き切ってしまいたかったのですが、これ以上は長くなりすぎるので一旦区切りたいと思います。
さて次回は、今度こそこれでラスト! ワンチャイシリーズの亜流や番外編との出会い、そしてシリーズに挫折しかけた事件(爆)について余すことなく語り尽くします!

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