功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ダニー・ザ・ドッグ』

2015-10-04 22:16:27 | 李連杰(ジェット・リー)
「ダニー・ザ・ドッグ」
原題:Unleashed/Danny The Dog
中文題:不死狗/鬥犬
製作:2005年

●皆さんお久し振りです。5月の半ばから休止状態となっていた当ブログですが、このほど再開の目処が立ちました。以前のような更新ペースに戻すのは難しいものの、出来る限り頑張っていきたいと思います。
さて、今回はリュック・ベッソンのプロデュースによる、李連杰(ジェット・リー)主演の現代アクションを紹介してみましょう。この2人は『キス・オブ・ザ・ドラゴン』でも組んだ間柄であり、こちらは世界中から高評価を得ました。
 そうした中で本作はオーソドックスな構成に立ち返り、「裏社会のはぐれ者が優しい人々と過ごす事で人間性を取り戻す」という、実にありふれた内容となっているのです(林青霞の『火雲伝奇』もこれに近いタイプ)。
ストーリーは、悪党のボブ・ホスキンスに「犬」として飼われていた李連杰が、ひょんなことから盲目の調律師(モーガン・フリーマン)と遭遇。彼や養子のケリー・コンドンと交流する中で、失われた感情を取り戻すまでを描いています。

 ただ、「犬」を演じる李連杰はどこか滑稽に見えてしまい、こちらが慣れるまでに時間を要してしまいました。彼の演技そのものは悪くないし、あと10年若ければ違和感が少なかったのでしょうが…う~ん。
しかしそこで際立ってくるのがモーガンとボブの存在です。言葉の1つ1つに温かみを感じさせるモーガンと、三流ながらも徹底した外道として振る舞うボブは作品に深みを与え、李連杰の危うい人物像を補完するまでに至っています。
とはいえ、最初から李連杰を信頼しまくりのケリーや、強引な決着の付け方に疑問符が浮かぶのも事実。このへんのイビツさが解消されていれば、本作は『キス・オブ・ザ・ドラゴン』の域に近付けていたかもしれません。

 一方、アクションは我らが袁和平(ユエン・ウーピン)による指導で、作風に合わせた荒々しいファイトが展開されています。ラストの李連杰VSマイク・ランバート(この2人は『ブラック・マスク』でも対戦)も躍動感に富み、上々の出来でした。
残念なのは李連杰と張り合える敵がマイク以外にいないのと、あのスコット・アドキンスをザコとして処理してしまった点(3人組の一角)でしょうか。後者は有名になる前だったので仕方ありませんが、私としては李連杰とのガチンコが見たかったなぁ…。
傑作になりえる要素を揃えていながら、上手くそれを昇華できなかった惜しい作品。現在、李連杰はヨーロッパから離れた位置にいますが、またベッソンとコラボを果たしてくれる事を望みたいですね。

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