功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

更新履歴(2014年/11月)

2014-11-30 23:31:39 | Weblog
 今月は最初から最後まで倉田保昭づくし!…で通したかったのですが、些細なミスにより締まらない結果となってしまいました。今後は「録画しているから大丈夫」とタカをくくらず、事前にチェックを重ねたうえで特集に臨みたいと思います。
さて、いよいよ年の瀬も差し迫り、色々と忙しい時期になってきました。私は先月もチラッと触れましたが、満を持して東京へ遠征する予定です。これまで一人旅の経験は何度かあり、大阪や広島を観光して回ったこともあります。
しかし東京に行くのは10年ぶり…不安は少なからずあるものの、今年最後の思い出にと楽しんでくるつもりです。ただひとつ気がかりなのは、年末年始の家族の健康状態でしょうか。去年と一昨年がトラブル続きだっただけに、また今年もゴタゴタしないか危惧しています(汗


11/05 倉田保昭、ブラウン管に現る(1)『闇に潜む牝豹』
11/11 倉田保昭、ブラウン管に現る(2)『勇次 投げ縄使いと決闘する』
11/16 倉田保昭、ブラウン管に現る(3)『浮世がるたの裏表』
11/21 志穂美悦子、ブラウン管に現る『それゆけ孔雀警視』
11/26 倉田保昭、ブラウン管に現る(4)『乱 Sonshi』
11/29 倉田保昭、ブラウン管に現る(終)『輝 Gold』
11/30 更新履歴(2014年/11月)

倉田保昭、ブラウン管に現る(終)『輝 Gold』

2014-11-29 23:57:16 | 倉田保昭
「輝 Gold」
製作:2013年

倉田保昭がレギュラー出演した特撮ドラマ『牙狼-GARO- ~闇を照らす者~』。その中から先日は前半のエピソードを取り上げましたが、今回は最終回一歩手前の第23話「輝 Gold」に着目してみましょう(本作品の詳細については前回をご覧下さい)。
独立国家ボルシティを牛耳る金城一族とホラーの関連を疑う魔戒騎士たち…しかし真の黒幕は協力者と思われた津田寛治であり、倉田は彼の手によって魔導ホラーと化した元・魔戒騎士だと判明。栗山航たち魔戒騎士は必死に戦うものの、惨敗を喫します。
そんな中、封印されていた伝説のホラー・ゼドム(演者は秘密・笑)が復活の兆しを見せ、戦いの中で栗山はゼドムに捕えられていた母・横山めぐみと再会。そして彼らを支えていた魔戒法師・大友康平が、たった1人でゼドムの封印に向かう場面から本作は始まるのです。

■決死の思いでゼドムと対峙した大友は、自らの命と引き換えに鎮まるよう訴えた。しかし敵は彼を一瞬で消滅させ、完全復活のために魔戒騎士の肉体を手に入れようと画策。津田に使役されていた倉田を操り、栗山たちに襲いかかった。
死闘の末に彼らは倉田を撃破し、黄金騎士・ガロは本来の姿を取り戻すことに成功する。その美しい輝きに喜ぶ横山であったが、彼女の体はゼドムの影響でホラー化が進行していた…。
栗山は苦悩しながらも母親を斬るが、その直後にゼドムが倉田の遺体を利用して復活してしまう。大友と横山…2人の死を乗り越えて、栗山・池田純矢・青木玄徳ら3人の魔戒騎士と、魔戒法師の南里美希は最後の戦いに挑む!

▲今回の話は第2回ジャパンアクションアワードにおいて、ベストアクションシーン賞の優秀賞を受賞しているんですが(監督の横山誠もアクションコーディネーター部門で最優秀賞を獲得)、その栄誉にふさわしい激闘が繰り広げられていました。
戦いはストーリーの初っ端から始まり、最初の激突で倉田さんは南里の運転する車の上に落下。栗山も一緒に飛び乗ると車は走りだし、池田と青木も別のワゴンでこれを追いかけます。
 かくして倉田さんと栗山&池田による、走行する車の屋根でのファイトが展開されるのです。さすがに替え身やワイヤーを活用していますが、ここでのアクションはほとんどCGを使っていません。
2台の車には倒壊した足場のパイプが突き刺さり、やがて3人はコンテナの上へと移動します。剣を手にした倉田さんは2人を圧倒するも、加勢した青木と一緒にコンテナごと転落。ここはさすがに2人は別撮りで、落ちるコンテナはCG…ですよね?(汗
 戦いはなおも続き、コンテナにいる倉田さん目がけて池田の運転する車が突っ込み、最後は栗山VS倉田さんのタイマン勝負で雌雄を決します。これら一連のアクションは完全にTV番組の枠を超えており、とてもド派手な戦いだったと思います。
無理に難を挙げるとすれば、車のファイトで倉田さんの替え身率が高かった(アップのシーン以外はほとんど別人)ことぐらい。宿敵に対する栗山の思い、劇的な決着も含めて私は非常に楽しめました。
物語の方も悪くなく、横山との別れは見る者の涙を誘います。ただ、直前の話で栗山と感動的な別れを果たした大友が、本作の開始早々に呆気なく倒されたのにはガッカリ。最終回で彼の遺物が鍵になるとはいえ、もう少し善戦してほしかったなぁ…。

 …というわけで、今月は倉田保昭のTV出演作を振り返ってみました。昔から映画の中で戦ってきた倉田さんですが、TVの世界においても多くの足跡を残しています。
思えば日本人の功夫スターは何人か存在しましたが、今も現役の役者としてスクリーンのみならず多方面で活躍している方は、恐らく倉田さんが唯一無二のはずです。彼はこれからも国境とメディアを問わず、なおも戦い続けることでしょう。
映画、Vシネマ、そしてブラウン管―――次に和製ドラゴンがどの世界に現るのか、秘かに待ち望みながら本稿を終えたいと思います。(特集、終)

倉田保昭、ブラウン管に現る(4)『乱 Sonshi』

2014-11-26 22:42:39 | 倉田保昭
「乱 Sonshi」
製作:2013年

▼ここまで倉田保昭が出演したTVドラマの中から、単発ゲストとして登場した作品をいくつか紹介してきました。しかし今回ピックアップするのは、レギュラー出演していた『牙狼-GARO- ~闇を照らす者~』のエピソードです。
この作品は特撮ドラマ『牙狼-GARO-』シリーズの第3作で、実を言うと今回の特集はCSで本作を視聴した際、その激しいアクションに衝撃を受けて企画したものだったりします(笑
 『牙狼-GARO-』シリーズは、鬼才・雨宮慶太監督による作品ですが、深夜番組だけあって内容は完全に大人向け。グロテスクな描写や性的なシーンが随所に存在し、独特なキャラクター設定も持ち味のひとつです。
そして私が驚いたアクションシーンでは、高クオリティの肉弾戦がこれでもかと炸裂しており、ACC STUNTSを率いる横山誠の手腕が遺憾なく発揮されていました(彼は本作の総監督も兼任)。
 基本的な粗筋は、人知れずホラー(本作における怪人の名称)を狩る魔戒騎士たちが、ボルシティと呼ばれる独立国家で巨大な陰謀に立ち向かう…というもの。倉田さんはホラーより上位の存在、魔導ホラーに扮して大暴れを繰り広げます。
この第9話「乱 Sonshi」は前後編の後編で、前編は主人公・道外流牙(栗山航)が元記者の古山憲太郎と接触。恋人をホラーに殺された彼は真相究明を訴え、栗山に協力を申し出るのですが…。

■何度も「関わるな」と言いつつも、次第に古山を仲間として意識し始める栗山。そんな中、古山は自分なりにホラーと戦う手段として、知人であるボルシティのTVアナウンサー・井村空美とコンタクトを取り、ホラーのことを報じて欲しいと頼んだ。
ホラーはボルシティの支配者・金城一族と繋がりがあるらしく、TV局も彼らの支配下となっているが、井村はホラーについてニュースで伝えると約束する。…が、実際に放送されたのは「栗山は殺人犯である」という捏造報道だった。
 そう、実は井村もホラー側の存在であり、古山の恋人を殺害した張本人だったのだ。栗山は街の治安維持部隊・SG1に追われ、井村に迫った古山も食い殺されてしまう。
追い詰められた栗山は、もう1人の人間の協力者であり金城一族の端くれ・津田寛治に助けられた。しかしそこに倉田が襲いかかり、古山の死を知らされた彼は仲間と共に立ち向かう。果たして戦いの行方は…?

▲かなりダークで救いがなく、前編も一緒に見ておかないと把握が困難なストーリー(というか詳細な設定の把握は必須)ですが、なかなかにインパクトの強い作品でした。
中でも私情に流されたがゆえに犠牲を生み、仲の良かった人々からも恐怖と侮蔑の目で見られ、それでもなお立ち上がろうとするラストの栗山が印象的……と言いたいところですが、後半のアクションで倉田さんが全てをかっさらっています。
 最初に剣をふるう栗山を素手で軽くあしらい、舞台はモノレールの駐機場へ。魔戒騎士の蛇崩猛竜(池田純矢)と楠神哀空吏(青木玄徳)が駆けつけるも、倉田さんの放つ電光石火の拳には苦戦を強いられるばかりです。
そうこうしている間にモノレールが走りだし、狭い車内での戦いへと発展!次々と騎士たちは外に叩き出され、変身して挑みかかるも余裕で技を受け止められてしまいます。念のために言っておきますが、この時点で倉田さんは怪人化すらしていません(爆
 一部のアクロバティックなカットでは替え身が見られるものの、これらのアクションシーンは横山氏の指導とも相まって、非常に迫力のあるバトルに仕上がっていました(ただし特撮パートはCG主体なので、見る人によっては違和感があるかも)。
もちろん栗山・池田・青木の3人も十分動けており、倉田さんの圧倒的な存在感で見過ごされがちですが、体当たりで受け身・スタントを演じています。個人的には池田さんのアクションをもうちょっと堪能したかったけど、こちらは今後のエピソードに期待したいですね。
悲しき宿命を背負い、孤独な戦いを続ける魔戒騎士たち。次回の特集最終回では、あのジャパンアクションアワードも認めた倉田さんと彼らの最終決戦に迫ります!

志穂美悦子、ブラウン管に現る『それゆけ孔雀警視』

2014-11-21 23:34:41 | 千葉真一とJAC
「それゆけ孔雀警視」
製作:1987年

▼今回は非常に残念なお知らせがあります。本来なら刑事ドラマの金字塔である『特捜最前線』から、倉田保昭がゲスト出演していた第226話「太鼓を打つ刑事!」を紹介したかったのですが、録画していたDVDを確認するとデータが破損しており、どうやっても視聴することができません(涙
レンタル版も近場には置いておらず、ゆえに今回は緊急措置として志穂美悦子が主演したTVドラマをレビューいたしますので、どうかご了承ください…。
 本作は志茂田景樹の同名小説を原作にしたもので、恐らくは同年に引退を決意した彼女にとって、格闘シーンを見せた最後の作品と思われます。
共演は古尾谷雅人に伊東四朗、そのほかにも意外と豪華なキャストが顔を揃えており、志穂美自身もはっちゃけた性格の主人公をのびのびと演じていました。

■型破りな警視庁の女警視・志穂美は、上司である伊藤の反対を押し切って休暇を申請。年下の恋人・古尾谷と旅行に行くのだが、浜名湖でボートが爆発する現場に出くわす。
乗っていた売り出し中の女優・南条玲子と、サラ金会社の社長・小沢象は志穂美に助け出され、どうにか事なきを得た。その後、旅行を再開して京都に来た2人であったが、今度はそこで身代金目当ての誘拐事件に遭遇する。
 実は誘拐されたのは小沢の一人息子で、新幹線の車内から姿を消した後に脅迫電話がかかってきたらしい。伊藤の要請で捜査に加わるよう命じられた志穂美だが、その矢先に今度は古尾谷が誘拐されてしまう。
犯人の指示で身代金の受け渡し役となった彼女は、散々振り回された挙句にまんまとカネを奪われ、真犯人を取り逃がす結果となった。雪辱に燃える志穂美は、古尾谷とともに捜査へ乗り出していく。
果たして新幹線から子供を誘拐したトリックとは?ボートの爆破と誘拐事件の関係とは? 南条の隠された過去が暴かれる時、意外な真実が明かされる…!

▲作品としてはよくある2時間サスペンスもので、全体的に80年代末期のバブリーな雰囲気に包まれています。ただ、身代金の受け渡しやカラオケで憂さ晴らしするシーンなど、尺を取りすぎて冗長さを感じてしまう場面がいくつかありました。
しかし登場人物はそれなりにキャラが立っており、特に志穂美はパワフルなアラフォー警視を好演。本作の彼女は行動力に富み、劇中ではちょっとした七変化(ハイレグ姿や入浴シーン)まで披露しているのです。
 アクションは京都で数人の男と立ち回る場面だけですが、動きにくそうなドレス姿で優雅に戦っていました。この絡み役にはきくち英一の姿もあり、『帰って来た女必殺拳』で対戦できなかった両者の手合せが見られます。
ちなみにAV監督役でハッスルしまくりの竹中直人、おかまバーの歌手役にコロッケ、温泉客役で原作者の志茂田氏が登場。JACの後輩である森永奈緒美も出ていますが、新幹線の移動販売員役なので出番はごく僅かでした。
 ところで新幹線で子供を誘拐したトリックですが、なんとその仕掛けはソープランドのコスプレ衣装(!)を使って販売員に化け、盗んだ弁当用のカートに隠して運び去る…というもの。
確かに警察の目はそらせるかもしれないですが、仮にも公の場で活動している真犯人(正体はバレバレですが一応伏せておきます)がニセ販売員なんてしていたら、他の販売員や乗客に思いっきり怪しまれるのでは?(爆
…と、そんなわけで今回は思わぬ寄り道をしてしまい、誠に申し訳ありません。そこで特集もクライマックスとなる次回からは、特撮の世界に挑む和製ドラゴンと“闇を照らす者”の戦いを、2回に渡って紹介したいと思います!

倉田保昭、ブラウン管に現る(3)『浮世がるたの裏表』

2014-11-16 23:38:36 | 倉田保昭
「浮世がるたの裏表」
製作:1980年

▼『ギターを持った渡り鳥』や『銀座旋風児』シリーズで日活の黄金期を支え、かの石原裕次郎と人気を二分していた大スター・小林旭。この『旅がらす事件帖』は、そんな彼が初めて挑戦した連続TV時代劇です。
物語は正義の味方が正体を隠しつつ、諸国を漫遊しながら悪党を斬るという『水戸黄門』タイプの作品。主人公である“闇の道中奉行”小林が、幕府の指令を受けて仲間(長門裕之・三浦洋一ら)と共に戦う姿を描いています。
倉田保昭が出演したのは第9話「浮世がるたの裏表」で、この他にも悪代官役として玉川伊佐男も登場しており、奇しくも『闘え!ドラゴン』の2人が再会を果たす形となっていました。

■上州・鬼澤で謎の集団による代官所関係者、および関係する施設への襲撃事件が多発した。ところが代官の玉川は密かに事態を収拾しようと企み、この動きを察知した老中は小林に調査を依頼する。
人手が足りない代官所は、腕に覚えのある連中を雇って戦力の補充を謀っており、小林はこれを利用して潜入捜査を試みた。その際、彼は旗本くずれの無法者・倉田とその愛人(赤座美代子)と知り合う。
 実はこの赤座という女、かつて故郷を捨ててまで江戸に出たものの、夢破れて出戻った過去を持っていた。故郷の村からは拒まれ、今では宿場町でしがない飲み屋を営んでいるが、妹の村地弘美だけは彼女を慕っているという。
そんな折、赤座の故郷は鬼澤の代官所から立ち退きを命じられ、村地の婚約者・潮哲也(彼も『闘え!ドラゴン』出演組)が奮起。賛同する村の者たちと協力し、代官所を相手に抵抗活動を展開していた。
 他にも立ち退きされた村があるらしく、小林は仲間たちと調査を開始した。その結果、玉川が幕府中枢へ取り入ろうと大量の美術品を購入し、その費用を捻出しようと立ち退かせた村で阿片の密造(!)を行っていた事が判明する。
一方で倉田は村地を人質にとり、潮をおびき出して抵抗勢力の本拠地を吐かせようとしていた。助けに向かった小林は捕まり、ここに来て痺れを切らした赤座も斬り殺されてしまう…。
この情報を手土産に仕官が叶った倉田と、根回しが効いて昇進が内定した玉川。なんとか窮地から脱出した小林は、人々を苦しめてまで私利私欲に走る2人を倒すため、“闇の道中奉行”として立ち上がる!

▲今回も倉田さんは憎々しげな悪役っぷりを見せていて、代官所ぐるみの阿片密造という突飛な悪事にも目を引かれます。が、それ以外の点は可もなく不可もなしといった感じで、あまり特筆すべきポイントはありません。
また、冒頭の謎の集団による事件が潮による抵抗活動だと明示されない、赤座がなぜ倉田のような男に引っかかったのか語られないなど、描写の甘さも気になります。このへんはもう少し解りやすく描いて欲しかったなぁ…。
 アクション面では小林の貫録ある動きがサマになっていますが、ボリュームは全体的に控えめ。倉田さんの殺陣は細々としたものしかなく、2度にわたる小林との戦いも非常に淡泊でした。
初戦は何度かジャンプしているうちに終わり、終盤の一騎打ちもあっという間に決着がついてしまうので(まともな斬りあいは5秒間だけ)、内容には期待しない方がいいでしょう。
 とはいえ、銀幕の大スターと倉田さんの顔合わせは実に貴重だし、若干ですが前回より倉田さんらしい動きが見れたと思います。これ以外にも氏は『水戸黄門』等に出演しているので、可能であればチェックしてみたいですね。
さて続いては、ジャンルが変わって刑事ドラマの世界に倉田さんが進出!その活躍を拝見したいたいところなのですが…詳細は次回にて!

倉田保昭、ブラウン管に現る(2)『勇次 投げ縄使いと決闘する』

2014-11-11 22:50:44 | 倉田保昭
「勇次 投げ縄使いと決闘する」
製作:1983年

▼今月は和製ドラゴン・倉田保昭が出演したTV作品を追っていますが、今回は『必殺仕事人IV』から第30話「勇次 投げ縄使いと決闘する」を紹介してみましょう。
今さら説明は不要かもしれませんが、この『必殺仕事人IV』は人気時代劇である『必殺』シリーズの一篇で、法で裁けぬ悪を討つ仕事人たちの活躍を描いています。
 単なる正義の味方とは異なるハードな設定、貪欲なまでに時事ネタを取り入れるスタイル、そして奇想天外な暗殺方法の数々…。これらの独特な要素が支持を集め、今もなおシリーズが作られ続けているのです。
そんな由緒あるシリーズに倉田さんが挑むわけですが、果たして我らが和製ドラゴンは闇に生きる仕事人を相手に、どのような戦いを見せてくれるのでしょうか?

■ある日、三味線屋の勇次(中条きよし)は南部鉄瓶を輸送する女の人足たちと、それを先導する奥州の牛飼い・倉田と遭遇する。彼は鍋釜問屋・大黒屋の主人(石浜祐次郎)と結託し、ある裏稼業に手を出していた。
その裏稼業とは、人足として使った身寄りのない女たちに刺青を彫り、競りで売り飛ばすというゲスなものだった。その中には中条と出会った林亜里沙・川田あつ子の姉妹もおり、まず手始めに林がヘビの刺青を彫られてしまう。
 彼女はこの生き地獄から川田を逃がすが、自身は倉田の手にかかって死亡。脱走した川田は中条に助けられ、そのまま彼の自宅に居着いてしまう。これでは彼女にも危険が及びかねないため、中条はわざと悪ぶった振る舞いをして突き離した。
かくして川田は帰郷し、残された彼女のかんざしは仕事人の依頼料となった。死んだ女たちの無念を晴らすべく、いよいよ中村主水(藤田まこと)ら仕事人が動き出す!

▲色々と感慨深かった『闇に潜む牝豹』とは違い、本作はオーソドックスな内容に仕上がっています。ストーリーは悪党に踏みにじられた人々の思いを受け、仕事に向かうという普段通りのパターン…これといって意外性のある話ではありません。
とはいえ、本エピソードの主役である中条は格好良く撮れているし、おなじみの仕置きシーンもバッチリ。気になるのは倉田さんの活躍っぷりですが、今回は鞭使い(タイトルでは投げ縄だがどう見ても鞭)として仕事人に立ちはだかります。
 その悪役っぷりはなかなかのものですが、鞭は何度もピュンピュンと振り回してはいるものの、自慢の体術は1ミリも見せてくれません(涙)。まぁ『必殺』シリーズは暗殺がメインなので、そう簡単に大立ち回りを演じられないのは解りますが…個人的にはちょっと期待外れでした。
ちなみに『必殺』シリーズには香港を舞台にした長編が2本あり、このうち『仕事人アヘン戦争へ行く』には倉田さんの弟子・竜咲隼人が功夫使いとして出演。内容は香港映画に負けないほど無茶苦茶なので、アクション目当てならこちらがオススメです。
さて続いては、あの日活の大スターと倉田さんが時代劇で激突!今度こそアクション的な見せ場があって欲しいところですが…詳細は次回にて!

倉田保昭、ブラウン管に現る(1)『闇に潜む牝豹』

2014-11-05 23:12:07 | 倉田保昭
「闇に潜む牝豹」
製作:1980年

▼かつて鍛え抜いた武道の腕前だけを武器に、香港映画界へ乗り込んだ1人の男がいました。彼の名は倉田保昭…日本人初の功夫スターとして名を馳せ、今なお躍進を続ける大御所中の大御所です。
香港で確固たる地位を築いた倉田は、『帰ってきたドラゴン』の日本公開に合わせて凱旋。その流れで東映のカラテ映画などに出演し、やがて活躍の場をTVドラマにも広げていきました。氏の参加したドラマといえば『Gメン75』『闘え!ドラゴン』が有名ですが、今回の特集では単発ゲストや近年のドラマ出演作に触れたいと思います。
 そんなわけで最初に紹介するのは、『服部半蔵 影の軍団』の第2話「闇に潜む牝豹」です。『影の軍団』は千葉真一主演の時代劇シリーズで、破天荒なアクションとストーリーで人気を博しました。
『服部半蔵~』は第1作だけあってシリアス色が強く、本エピソードでは重要なキャラクターである三林京子が初登場しますが、ドラマ的には倉田との確執がメインとなっています。

■かねてより千葉を警戒していた公儀隠密の甲賀組頭領・菅貫太郎は、くノ一の三林を密偵として送り込んだ。一方、時を同じくして甲賀忍者の連続暗殺事件が発生するが、これは紀州から来た伊賀者・倉田たちの仕業だった。
彼は影で生きる伊賀忍者の現状を憂い、甲賀忍者を倒して公儀隠密の座を奪おうとしている。しかし、そんなことをすれば幕府を敵に回す事となり、各地に落ち延びている伊賀者も根絶やしにされかねない…。
幼馴染でもある倉田の暴挙を止めようとする千葉だったが、その努力もむなしく全面対決に発展してしまう。…今ここに、伊賀者同士の悲しき戦いが始まろうとしていた。

▲『直撃!地獄拳』では顔を合わせることが出来ず、続く『必殺女拳士』でもニアミスに終わった倉田と千葉。そんな2人が初の本格共演を果たしたのが本作ですが、決してそれだけの作品ではありません。
物語は相反する道を辿った男たちの姿を描いており、悲哀に満ちた結末までを一気に見せ切ります。伊賀の未来を託して逝く倉田、無念に満ちた表情を浮かべる千葉の姿はとても印象深く、ドラマに一層の深みを与えていました。
 一方でアクションシーンはそれなりに派手ですが、さすがにシリーズ後期のような荒唐無稽さは発揮されていないため、やや地味な印象を受けます。
注目の倉田VS千葉も割とあっさり終わるので、『マスター・オブ・サンダー』を見た人は物足りなく感じるかもしれません。しかし前述した2人のやり取りは一見の価値があるし、個人的にはこの顔合わせが見れただけでも万々歳でした。
 ところで本作には倉田の手下役として、実際に彼の弟子である中村勇が出演しています。中村は『Gメン75』の香港ロケシリーズ、『懲罰』や『忍者外伝 倭寇掃討作戦』などの香港映画にも出ていました。
本作では単なる手下の1人でしかありませんが、貴重な本人の肉声によるセリフを聞くことができます(他の作品では気合くらいしか聞けません)。…ところでふと思ったのですが、中村氏は現在どうしているのでしょうか?
さて続いては、あの国民的時代劇に和製ドラゴンが参戦!対する相手は裏稼業の仕事人なのですが…詳細は次回にて!