日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

2006年10月の東大阪歌会

2006年10月01日 | 五行歌な日々
東大阪歌会でした。私にとっては数年ぶりの、三週連続の歌会。ふぅ~。

作品、お披露目。

     ★


       常識って
       場所や環境と
       人によって
       違う
       それって普通でしょ   楽  人


       ふと
       カーテン越しに見た世界
       見なれたマンションが
       夜の海から浮上した
       軍艦みたい       須賀知子


       時間よ止まれ!
       と、叫びたい時も
       明日は
       お構いなくやって来る
       生きるって 不自由   大西稚比子(急遽欠席)


       宙に書く
       人という文字
       曼珠沙華の
       炎が
       からむ         増田幸三


       おばあちゃんの杖は
       安く買えたらしい
       お孫さんは六人も
       いるらしい
       いいよいいよ アンケートに答えなくても  稲田準子


     ★

大西さんは、芦屋歌会から、
五行歌を始められた方。
奈良歌会など、積極的に歌会へ参加されているようで、
この日は須賀さんと一緒に、
来られる予定だったのだけど、体調不良で、
欠席なされた。

それでも、JRの芦屋駅で、須賀さんを待たれ、
差し入れをお預けされてから、おうちに帰ったとか。
恐縮する。

美味しい和菓子をありがとうございました。
みなさんで美味しくいただきました。
どうか、お大事になさってください。

     ★

楽  人さんの歌は、
みんな点数を入れていた。

やっぱ、五行目がいいっす。

この歌は、いわゆる話し言葉で作られた歌だ。
相手がいることを、前提に感じさせる、
つぶやきのかたちをしている。

だが、この歌にこめた感情が発露したとき、
その感情を発露させた相手に対して、
即言える人は、そんなにいないんじゃないかと思う。

大概の人は、虚をつかれたような感じになって、
フリーズするんじゃないか、
あるいは、
声に出していったとしても、
その場面は、
親しい友達と、喫茶店でお茶をするような状況で、
本人ではなく、違う人に、
言ったりするんじゃないかなぁと思った。

だからこの歌は、
言いたくても言えないつぶやきで、
伝えたくても、伝わりにくい内容で、
話し言葉ではあっても、
「歌でしか言えない(つぶやけない)もの」なのだ、と思う。

で、五行目の最後に、
「?」をつけなかったところも、よかった。

「?」をつけて読むか、つけずに読むかを、
読み手にゆだねたところも、よかったと思う。

須賀さんの歌は、
夜遅くに、
窓から見たマンションのある一室だけに、
明かりがついていて、
それが、潜水艦の浮上した司令室に
見えたので、とのことだった。

私は点数を入れなかったのだが、
楽  人さんが、
本当は別のことを主に考えていて、
決して、その「軍艦」に意識を濃くして、
思っていた訳ではなかったんじゃないか、
そんな感じが漂う、みたいなことを言ってたが、
「あぁ、それが気になって、私は入れなかったのか」と、
腑に落ちた。

須賀さんも、具体的なことを示す、
例えば「マンションの一室」みたいなところを、
省略したから、
そんな印象だったんじゃないかなぁということだった。

増田さんのは、ちょっと難しかったかな(笑)
具体的に指摘したのは、
須賀さんで、
「二行目から三行目にかけての意味がつながりにくかった」
というのは、深くうなづいた。

ちょっとジャンプしすぎたかな(笑)

増田さんの、
「韓国語でいう『恨(ハン)』の気持ちを込めた」
という解説を受けると、
一気に曼珠沙華の印象は薄れ、
空にわら人形を打ち付けているような、
ビジュアルが浮かび、
そんなビジュアルが浮かぶ、
私に対して、「う~ん……」と思った。

私の歌は、
明石にいた四月のとき、
一ヶ月だけ働いた時の歌。

あの頃の歌は、数首歌い捨てているって感じで、
全然見直していなかったんだけど、
最近、パート・バイトの、
フリーペーパーなんかに、
よく目を通していて、そのタイミングで、
パラパラっと、ノートを見ていたら、
ちゃんと正視できたので、出してみた。

おじいちゃんやおばあちゃんに、
話しかけて、なじんだところで、
「実はね、アンケートをとっているんですけど」
と、切り出しては、
答えてもらっていたけれど、
まぁ中には、アンケートの話から、
横道それて、自分のお話を、
楽しそうにしてくれる人もいて。

場合によっては、アンケートをあきらめて、
そのお話を、じっと聞いて終わったりもよくした。
この歌は、
そんな中のエピソードのひとつなんだけど。

参加された3人の方々には、
私の意図どおりに、思いは伝わったようだけど、
四行目から、五行目にかけてが、
人によっては、わかりにくいかも、という指摘は受けた。

また、五行目の長さ。

一番気にしているのは、作者である私のようだったけど(笑)

なんか、バランスが悪い。
いや、バランスが悪いこと自体は、
悪いことではない。

歌のビジュアル面での、
バランスの悪さを有効利用して、
歌の内容に反映させてない感じが、
どうも気になっている。
というか、もったいないというか(笑)

だが、下手をすると、
歌の内容の足を引っ張ってやいやしないか、
という危惧も持っている。

でも、だからといって、
六行にして、
安定した形にしたらいいってモンでもない。
(私にしてみれば)それも違う。

内容も、「杖」と「孫」のふたつはいる。
ひとつじゃ足りない。

       おばあちゃんの杖は
       安く買えたらしい
       お孫さんは六人もいるらしい
       いいよいいよ
       アンケートに答えなくても

という、のも試みたけれど、
う~ん……。
「お孫~らしい」を一呼吸で読まれるのが、
気になる。

もう少し、時間が経てば、
小さなこだわりは、どうでも良くなる気もするが。

まだ、感情の生々しさが、胸に残っているせいだろう。
蒸発してから、見直せば、
「なぁ~んだ。これでいいじゃん♪」と、
どちらかのかたちで、着地できると思うけど。

もう少し、眠ってもらおうかな。どうしようかな。

     ★

今回は、お茶請けが、豊富で、
そんなところも、幸せだった(笑)

お話も、あっちこっち飛びながら、
弾んだ。

増田さんとは、三週連続のおつきあいだった。

三次会は、私と楽 人さんとふたりで話をしたけれど、
最後のほうは、
「これは、脳に酸素が回ってないぞー!」という感じの、
頭痛がした。
しゃべりすぎー。

おもしろうございましたとさ。

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