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東京オリンピックでテレビは売れるか?

2019-10-18 15:42:15 | 商品・サービス
1953年、日本で初めて国産テレビが発売されました。当時のテレビはカラーではなく白黒だったにも関わらず、価格は約9万円(現在の物価に換算すると50万円以上)という高額でした。1960年頃からはカラーテレビも発売されるようになりましたが、こちらはおよそ50万円(現在の物価で約300万円)で、とても庶民が手を出せる金額ではありませんでした。

これだけ高額だったテレビを世に普及させるきっかけを作ったのが、1964年に開催されたかつての東京オリンピックです。この頃にはテレビの価格もある程度下がっており、多くの国民が東京オリンピックでの日本人選手の活躍を見るために、こぞってテレビを購入するようになったのです。その結果、翌1965年時の日本のテレビ普及率は9割を超えたという事です。

参考:テレビの値段の推移【日本の物価】

このように、オリンピックはテレビ需要を大きく促す効果があると言われています。そのためテレビ製造メーカーは、2020年に開催される東京オリンピックに大きな期待を寄せています。しかし、実はオリンピックではテレビの売上はあまり増えないというデータもあるようです。

日本でオリンピックが開催されるのは、2020年の東京で4回目。1964年の東京(夏)、1972年札幌(冬)、1998年長野(冬)、2020年東京です。
そして国内のテレビ出荷統計を見てください。1990年以降のデータしかありませんが、少なくとも長野五輪に関係ある1997年、1998年のテレビ出荷台数が多いかと言うと、そうではありません。むしろ少ないくらいです。
2020年の東京五輪は? というと、消費税増税他のあおりを受け、国内景気はの冷え込みが予想されます。NHKが力をいれている8K放送もスゴいことはスゴいのですが、シビアに細かく見るならいざ知らず、普通に楽しむなら、標準の2Kでもかなりの画質ですから十分楽しめます。少なくとも白黒からカラーの様なインパクトはありません。
このためオリンピックという良質なコンテンツはあるのですが、買い替えは、余り期待できそうもありませんというのが結論です。
https://news.goo.ne.jp/article/wedge/business/wedge_17646.html


1964年当時、日本のテレビ普及率はまだ低かったため、東京オリンピックを見るためには、無理をしてでも新たにテレビを買うしかありませんでした。一方、現在の日本ではテレビの世帯普及率はほぼ100%なので、画質や画面サイズに拘らなければ、誰でもオリンピック中継が見られます。ゆえにテレビ需要については、来年の東京オリンピックは1964年時と全く違う状況です。

そもそも、近年はテレビ番組がつまらなくなったと感じている人は多く、またYoutubeやNetflixなど動画配信コンテンツの増加もあって、テレビの視聴率は下落傾向にあります。たとえ東京オリンピックを大画面で見たいと思っていても、オリンピック終了後にほとんど見なくなるようでは、テレビを買い換える価値がありません。

テレビ製造メーカーにとっては絶望的な現実ですが、残念ながら2020年の東京オリンピックは、1964年の再来とはならないようです。