おつけもの新時代の終焉である。
以前からブログに書いてたように、
ここ最近、拙者の唯一の友はぬか床であった。
発酵しすぎたり、水分が増えたり。
その度、塩を足したり、キッチンペーパーで吸い取ってみたり。
毎日欠かさず底からかき混ぜ、
毎日欠かさずぬか漬けを食べた。
おだやかな、しあわせな暮らしであった。
そんな関係に亀裂が生じたのは、先日のライブの日のこと。
その日の会場は空調の調子が悪く、ステージ上は灼熱。
代謝の悪さがチャームポイントの拙者もさすがに汗だく。
この熱いエモーション! 燃えるマイソウル!!
うおー!! どりゃー!!!
みたいなパフォーマンスをしそうになるところを必死でなだめ、
まてまて、落ちつくのじゃ。
熱いのは室温、燃えているのは体脂肪かなんかじゃ。
そのソウルは客席には届かぬ。
エモに乗せられるなかれ、エモを音に乗せるのじゃ。
と、丁寧に演奏しきった。
よいライブだったと思う。
ステージを終えた拙者は、珍しくTシャツがびっしょびしょ。
ふっふっふ。しかし案ずるな。
拙者こう見えてわりと無臭の男。
そして除菌強めの洗剤により、部屋干しでも臭わないTシャツ。
いかに灼熱のステージと言えども、
我が鉄壁の清潔感を損なうことは、
……………
ば、
ばかな、
我がTシャツからかすかにたちのぼる、
この臭いは、
この臭いは。
部屋干しのTシャツにうっすらと染みついたか、
あるいはぬか漬けばかり食べすぎて、汗のほうに臭いが出たか、
それは、まごうことなき、
我が友ぬか床の臭いであった。
おつけもの新時代の終焉である。
いかに唯一の友と言えど、ロックミュージシャンが臭くなるとあっては、
もはや天秤にかけようもない。
さらばぬか床。しかし捨てるのはしのびない。
食材に対する敬意はいつも大切にしているところであるし、
ましてやマイベストフレンド、ぬか床である。
それ以来毎日、北九州の郷土料理『ぬか炊き』が我が家の食卓に上ることとなった。
ぬか床を味噌のように使ってサバやいわしなどを煮る、おふくろ感満載の料理である。
ぬか床がもつ複雑な旨味。
いままで数えきれぬほど漬けてきた野菜たちの、
共に過ごした日々の旨味。
少しずつ、少しずつ、
友の残量は減っていく。
もうそこにぬかが足されることはない。
終わる時の見えた、ゆるやかな別れ。
塩はもう足した覚えはないのに。
孤独の夜はすぐそこにせまる。
すっかり我が血肉になった友が言う。
今 先が暗いのは、光のやろうがのろますぎるからさ。
そんなのは置いてけよ。
君はその先を見てろよ。
大丈夫だ。気にすんな。
孤独を知ったあとならきっと、
どんな場所にだって行けるさ。
さらばマイフレンド。
ぬか床フォーエバー。
以前からブログに書いてたように、
ここ最近、拙者の唯一の友はぬか床であった。
発酵しすぎたり、水分が増えたり。
その度、塩を足したり、キッチンペーパーで吸い取ってみたり。
毎日欠かさず底からかき混ぜ、
毎日欠かさずぬか漬けを食べた。
おだやかな、しあわせな暮らしであった。
そんな関係に亀裂が生じたのは、先日のライブの日のこと。
その日の会場は空調の調子が悪く、ステージ上は灼熱。
代謝の悪さがチャームポイントの拙者もさすがに汗だく。
この熱いエモーション! 燃えるマイソウル!!
うおー!! どりゃー!!!
みたいなパフォーマンスをしそうになるところを必死でなだめ、
まてまて、落ちつくのじゃ。
熱いのは室温、燃えているのは体脂肪かなんかじゃ。
そのソウルは客席には届かぬ。
エモに乗せられるなかれ、エモを音に乗せるのじゃ。
と、丁寧に演奏しきった。
よいライブだったと思う。
ステージを終えた拙者は、珍しくTシャツがびっしょびしょ。
ふっふっふ。しかし案ずるな。
拙者こう見えてわりと無臭の男。
そして除菌強めの洗剤により、部屋干しでも臭わないTシャツ。
いかに灼熱のステージと言えども、
我が鉄壁の清潔感を損なうことは、
……………
ば、
ばかな、
我がTシャツからかすかにたちのぼる、
この臭いは、
この臭いは。
部屋干しのTシャツにうっすらと染みついたか、
あるいはぬか漬けばかり食べすぎて、汗のほうに臭いが出たか、
それは、まごうことなき、
我が友ぬか床の臭いであった。
おつけもの新時代の終焉である。
いかに唯一の友と言えど、ロックミュージシャンが臭くなるとあっては、
もはや天秤にかけようもない。
さらばぬか床。しかし捨てるのはしのびない。
食材に対する敬意はいつも大切にしているところであるし、
ましてやマイベストフレンド、ぬか床である。
それ以来毎日、北九州の郷土料理『ぬか炊き』が我が家の食卓に上ることとなった。
ぬか床を味噌のように使ってサバやいわしなどを煮る、おふくろ感満載の料理である。
ぬか床がもつ複雑な旨味。
いままで数えきれぬほど漬けてきた野菜たちの、
共に過ごした日々の旨味。
少しずつ、少しずつ、
友の残量は減っていく。
もうそこにぬかが足されることはない。
終わる時の見えた、ゆるやかな別れ。
塩はもう足した覚えはないのに。
孤独の夜はすぐそこにせまる。
すっかり我が血肉になった友が言う。
今 先が暗いのは、光のやろうがのろますぎるからさ。
そんなのは置いてけよ。
君はその先を見てろよ。
大丈夫だ。気にすんな。
孤独を知ったあとならきっと、
どんな場所にだって行けるさ。
さらばマイフレンド。
ぬか床フォーエバー。