「人類の起源と進化」は、「サルからヒトへ」と同様に、地層を表現した三角形のパネルに、化石人類の頭蓋骨レプリカを展示しました。
三角形の内側には、当時、入手できる代表的な化石人類の頭蓋骨模型を展示しています。具体的には、以下のように12種を展示しました。残念ながら、アルディピテクス・ラミダスとアウストラロピテクス・アナメンシスは、入手不能で展示ができませんでした。
これらの頭蓋骨レプリカは、色を揃えるためと予算を抑えるために、すべて、私が色を塗りました。ただ、頭蓋骨を保護するアクリル・ケースが、時々曇ってしまうのが問題です。
- アウストラロピテクス・アファレンシス
- パラントロプス・エチオピクス
- パラントロプス・ボイセイ
- パラントロプス・ロブストス
- アウストラロピテクス・アフリカヌス
- ホモ・ルドルフエンシス
- ホモ・ハビリス
- ホモ・エルガステル
- ホモ・エレクトス
- ホモ・ハイデルベルゲンシス
- ホモ・ネアンデルターレンシス
- ホモ・サピエンス
また、三角形の両側には、向かって左側にアウストラロピテクス・アファレンシスの出土した状態の骨を、右側に復元した全身骨格を展示しました。ただ、本来は、向かって左側にアウストラロピテクス・アファレンシスの復元全身骨格を、右側にホモ・エルガステルの復元全身骨格を展示する予定でしたが、開館前日に、その復元全身骨格が入らないことが判明し、急遽展示を変更したものです。残念でしたが、仕方がありません。
ちなみに、ホモ・エルガステルの全身骨格とは、ケニアのナリオコトメ遺跡で発見された、KNM-WT15000(ケニア国立博物館所蔵ツルカナ湖出土標本15,000番)のことです。ちなみに、このKNM-WT15000全身骨格を見学できるのは、国内では、私の知る限り、国立科学博物館・福井県立恐竜博物館・兵庫県立人と自然の博物館と群馬県立自然史博物館の4館だと思います。この内、福井県立恐竜博物館と群馬県立自然史博物館の骨格は、私が組みました。
群馬県立自然史博物館52.「ヒトの起源と進化」展示(*画像をクリックすると、拡大します。)
群馬県立自然史博物館53..「Dコーナー:自然界におけるヒト」の展示解説シート裏(*画像をクリックすると、拡大します。)
ただ、1996年時点で最新の展示を行ったのですが、その後、次々と新しい化石人類が発見され、現在ではかなり古くなってしまいました。
現在は、以下のようにかなりの数が増加しています。ちなみに、「(*)」は、群馬県立自然史博物館開館当時には発見されていなかった種です。
- サヘラントロプス・チャデンシス(*)
- オロリン・ツゲネンシス(*)
- アルディピテクス・カダッバ(*)
- アルディピテクス・ラミダス
- アウストラロピテクス・アナメンシス
- アウストラロピテクス・バーレルガザリ(*)
- アウストラロピテクス・アファレンシス
- ケニアントロプス・プラティオプス(*)
- アウストラロピテクス・セディバ(*)
- アウストラロピテクス・アフリカヌス
- アウストラロピテクス・ガルヒ(*)
- パラントロプス・エチオピクス
- パラントロプス・ボイセイ
- パラントロプス・ロブストス
- ホモ・ルドルフエンシス
- ホモ・ハビリス
- ホモ・エルガステル
- ホモ・ゲオルギクス(*)
- ホモ・エレクトス
- ホモ・アンテセソール(*)
- ホモ・ローデシエンシス(*)
- ホモ・ハイデルベルゲンシス
- ホモ・ネアンデルターレンシス
- ホモ・フロレシエンシス(*)
- ホモ・サピエンス
実に、その後、11もの新種が発見されていることになります。もちろん、これらすべてが本当に新種なのかどうかは、これからの研究を待たなければなりませんが・・・。いずれにしても、そろそろ、展示替えが望まれます。
群馬県立自然史博物館54.人類進化の系統図[堤 隆(2009)『ビジュアル版旧石器時代ハンドブック』、新泉社](原図は、私が担当しました。但し、本書出版後の2010年4月に発表されたアウストラロピテクス・セディバは含まれていない。)