人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

人類学の本71.いれずみ(文身)の人類学

2014年03月17日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
いれずみ(文身)の人類学 いれずみ(文身)の人類学
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:1996-09

 この『いれずみ(文身)の人類学』は、元愛知医科大学の吉岡郁夫さんが日本を含む世界中のいれずみ(文身)について書いたものです。1996年に、雄山閣から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全3部12章からなります。

第1部.日本の文身習俗

  1. 縄文時代の文身
  2. 縄文時代の海人
  3. 弥生時代の文身

第2部.日本周辺の文身習俗

  1. アイヌの文身
  2. 琉球の文身(針突)
  3. 台湾高山族(高砂族)の文身
  4. ミクロネシアの文身

第3部.医学と人類学の周辺

  1. 文身と習俗
  2. 文身の医学
  3. まとめ:東アジアの文身習俗

 本書は、「いれずみ(文身)」についてまとめられており、大変、参考になります。

Yoshioka1996


人類学の本70.身体の文化人類学

2014年03月16日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
身体の文化人類学―身体変工と食人 身体の文化人類学―身体変工と食人
価格:¥ 2,018(税込)
発売日:1989-12

 この『身体の文化人類学』は、元愛知医科大学の解剖学者・吉岡郁夫さんが主に世界中の民族の身体変工について書いたものです。タイトルには、「文化人類学」とありますが、れっきとした「自然人類学」の内容です。副題には、「身体変工と食人」とあります。1989年に、雄山閣から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全2部14章からなります。この内、第1部は身体変工(第1章から第12章)・第2部は食人(第13章から第14章)となっています。

  1. 身体変工とは
  2. 体幹の変形
  3. 乳房の人工的変形
  4. 入墨
  5. 男性の割礼
  6. 女性の割礼
  7. ホッテントットのエプロン(前垂れ)
  8. 去勢
  9. 人工頭蓋変形
  10. 頭蓋穿孔(穿頭術)
  11. 抜歯
  12. 纏足
  13. 食人(カニバリズム)
  14. 大後頭孔損傷

 本書は、骨からはあまりわからない乳房の人工的変形・入墨・割礼・前垂れ・去勢等と骨からわかる人工頭蓋変形・頭蓋穿孔・抜歯・纏足・食人・大後頭孔損傷とに分ける事もできます。いずれにしても、人類学にも非常に参考になります。

Yoshioka1989


人類学の本69.人間はなぜ人間か:新しい人類の地平から

2014年01月10日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

人間はなぜ人間か―新しい人類の地平から 人間はなぜ人間か―新しい人類の地平から
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:1998-10

 この『人間はなぜ人間か:新しい人類の地平から』は、日本福祉大学(当時)の江原昭善さんが人類学について書いたものです。1998年に、雄山閣出版から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全5部24章からなります。

第Ⅰ部.「人間」概念確立の足取り

 第1章.「人間」をどう把握するか

 第2章.ギリシャの人間観

 第3章.ソクラテス、プラトンの思想をめぐって:人間のアレテ

 第4章.ユダヤ教・キリスト教が人間観に及ぼした重要な影響

 第5章.ルネッサンス期の社会的個人

 第6章.人間観をめぐる啓蒙思想とロマン主義との対立

 第7章.大航海時代と諸大陸の発見による「人類」概念の芽生え

第Ⅱ部.「人類」の概念が登場する

 第8章.生物分類学による「人類」概念の確立

 第9章.ダーウィンの進化論と人間

 第10章.人類の近代的概念の確立

 第11章.ダーウィニズム以後の人種論議

 第12章.文化とパーソナリティ論

第Ⅲ部.自然人類学による「人間」の概念の拡大

 第13章.化石資料に裏付けられた人類起源論

 第14章.霊長類学の誕生と人間観の変化

 第15章.哲学的人間学の新しい課題

 第16章.生物進化のパターン

 第17章.知の源流を求めて

 第18章.アナゲネシスから見た人類進化

 第19章.ハビリスに人間性の萌芽(ヒューマニゼーション)を見る

第Ⅳ部.「人間」を掘り下げる

 第20章.観念の形成

 第21章.論理階型とダブル・バインド

 第22章.人間の生や死は文化現象

第Ⅴ部.現代人を取り巻く状況と未来への展望

 第23章.「環境」問題を考え直す

 第24章.人間観の新しい地平

 本書は、比較解剖学・人類進化学・霊長類学を研究してきた、著者・江原昭善さんが幅広い分野から「人間」について考察したものです。

Ehara1998


人類学の本68.環境と人類

2013年12月03日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

環境と人類―自然の中に歴史を読む 環境と人類―自然の中に歴史を読む
価格:¥ 3,045(税込)
発売日:2000-05

 この『環境と人類』は、小野 昭(当時・東京都立大学)さん・小池裕子(当時・九州大学)さん・福澤仁之(当時・東京都立大学)さん・山田昌久(当時・東京都立大学)さんが、考古学や人類学から環境と人類の関係について書いたものです。副題には、「自然の中に歴史を読む」とあります。2000年に、朝倉書店から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全3部からなります。

Ⅰ.基礎編

  1. 自然史と人類史(小野 昭)
  2. 堆積作用と環境(福澤仁之)
  3. 食糧資源環境と人類(小池裕子)
  4. 遺跡形成論(小野 昭)

Ⅱ.通史編

  1. グローバルな自然環境変化と人類進化の関係(福澤仁之)
  2. 狩猟・採集民は環境の影響の一方的な受け手か(小野 昭)
  3. 後氷期の環境の多様化と定住社会の工夫(山田昌久・小池裕子)
  4. 農耕の出現と環境(山田昌久)

Ⅲ.環境と歴史

  1. 環境という用語とその条件(小野 昭)
  2. 研究精度の向上と人間(福澤仁之)
  3. 環境と歴史からみる「地球温暖化」(福澤仁之)

 本書のⅠ.基礎編の3「食糧資源環境と人類」では、小池裕子さんによる食性分析が書かれており、大変、参考になります。なお、巻末には用語解説もつけられています。

Onokoikefukuzawayamada2000


人類学の本67.鼻はなぜあるのか

2013年09月23日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Takahashi1987

鼻はなぜあるのか
価格:¥ 4,725(税込)
発売日:1987-09

 この『鼻はなぜあるのか』は、元東京慈恵会医科大学耳鼻科学教室教授の高橋 良さんが、進化の中での「鼻」について書いたものです。1987年に、築地書院から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全11章からなります。

  1. 鼻のはじめ:鼻のはじめはヤツメウナギかシーラカンスか
  2. 鼻のはじまり:それは軟骨の袋から始まった
  3. とてもよくできている獣の鼻:安定している四足の時代
  4. だめになってきたサルの鼻:においを捨て眼を拾ったサル
  5. 脳と顎との攻防:霊長類といわれる理由
  6. ヒト化の中の鼻:脳底からの影響に戸惑いながらも対応する鼻
  7. 曲がりなりにもできてきたヒトの鼻:頭と顔との攻防の主戦場
  8. 斜陽となったヒトの鼻:鼻を捨て、脳と声とを拾ったヒト
  9. 鼻の形で悩む:このデンと構えた、ヒトだけが気にするもの
  10. 必須から好みに変わったにおい:味と性と文明と
  11. 鼻の病気の対策:もっとも身近で大切なことがままならない

 本書は、高橋 良さんの『鼻』シリーズ3部作と私が勝手に呼んでいる第3作にあたります。本書は、人類進化の中での「鼻」について書いたもので、大変、参考になります。


人類学の本66.日本人の鼻

2013年09月22日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Takahashi1980

日本人の鼻―鼻の文化人類学 (1980年) (ブルーバックス)
価格:¥ 567(税込)
発売日:1980-11

 この『日本人の鼻』は、元東京慈恵会医科大学耳鼻科学教授の高橋 良さんが、人間の「鼻」について書いたものです。副題には、「鼻の文化人類学」とありますが、実際の内容は「鼻の自然人類学」でしょう。1980年に、講談社ブルーバックスB444として、講談社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全8章からなります。

  1. ヒト化現象と鼻
  2. 鼻の誕生
  3. 鼻の構造と作用
  4. 日本人と外国人の鼻
  5. 形のよい鼻
  6. 鼻のけが
  7. 鼻の病気
  8. 急増する鼻アレルギー

 本書は、高橋 良さんの『鼻』シリーズ3部作と私が勝手に呼んでいる第2作にあたります。人類学には、特に、第4章が参考になります。


人類学の本65.鼻の話

2013年09月21日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Takahashi1979

鼻の話 (1979年) (岩波新書)
価格:¥ 336(税込)
発売日:1979-03

 この『鼻の話』は、元東京慈恵会医科大学耳鼻科学教授の高橋 良さんが、臨床の面から「鼻」について書いたものです。1979年に、岩波新書黄版76として、岩波書店から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全6章からなります。

  1. 人と鼻
  2. 鼻の構造
  3. 鼻の作用
  4. 鼻はなぜ悪くなるのか
  5. 鼻の病気
  6. 鼻の治療

 本書は、高橋 良さんの『鼻』シリーズ3部作と私が勝手に呼んでいる第1作にあたります。「鼻」の基礎を学ぶのに最適な本です。


人類学の本64.狩りをするサル

2013年09月06日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
狩りをするサル―肉食行動からヒト化を考える 狩りをするサル―肉食行動からヒト化を考える
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2001-03

 この『狩りをするサル』は、アメリカの南カリフォルニア大学のクレイグ・スタンフォード(Craig B. STANFORD)さんが主に現生霊長類の肉食行動から祖先の行動を探ったものです。原題は『Meat Eating and the Origins of Human Behavior』で、直訳すると「ヒトの行動の起源と肉食」となるでしょうか。2001年に、元京都大学の瀬戸口美恵子さんと瀬戸口烈司さんによる翻訳で、青土社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  1. 消すことのできない刻印
  2. 「人間:狩りをする者」とその他の話
  3. 類人猿の性質
  4. 鮮新世からの見解
  5. 狩猟民
  6. ゴリラの中の幽霊
  7. 肉の家父長制

 本書は、化石人類からは読み解くことが困難な祖先の行動を、現生霊長類、特に類人猿から探っており、大変、参考になります。

Stanford2001  


人類学の本63.人間行為の生物学

2013年09月05日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Reynolds1979

人間行為の生物学 (1979年)
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:1979-08

 この本『人間行為の生物学』は、元オックスフォード大学のバーノン・レイノルズ(Vernon REYNOLDS)さんが書いた人類学の教科書です。原題は『The Biology of Human Action』で、直訳すると和名タイトル通り「人間行為の生物学」となるでしょうか。1979年に、早稲田大学の若林保司さんと曽我昌隆さんによる翻訳で、医学研究社から出版されました。私は、留学中にレイノルズ先生から寄贈していただきました。

 本書の内容は、以下のように、全5部全16章からなります。

第Ⅰ部.生物学的決定論と人間の行為

  • 第1章.社会と新生物学者
  • 第2章.「ヒトはあらかじめプログラムを組み込まれた存在」なのか?

第Ⅱ部.人間行為の進化

  • 第3章.動物:概念的認知をもたない社会
  • 第4章.ヒト以前のヒト科の社会
  • 第5章.ヒト:その社会的世界の建設者

第Ⅲ部.人の行為の身体のメカニズム

  • 第6章.遺伝子と個性
  • 第7章.生後の成長
  • 第8章.生物学的性と文化社会的性
  • 第9章.情動とストレスの生理学

第Ⅳ部.人間の行為の心理的・社会的発達

  • 第10章.母と子の相互関係
  • 第11章.子どもの仲間との相互関係
  • 第12章.認識力の発達
  • 第13章.非言語的コミュニケーションと言語の発達

第Ⅴ部.文化的文脈のなかでの人間の行為

  • 第14章.知識の生物社会学
  • 第15章.柔軟性の限界
  • 第16章.要約、結論およびこれからの見通し

 著者のバーノン・レイノルズ(ヴァーノン・レイノルヅ)さんは、ロンドン大学で人類学の教育を受け、アフリカでチンパンジーの先駆的な研究をしたことで有名です。本書は、人類学の中でも行動学や霊長類学に重きがおかれて書かれています。


人類学の本62.骨は語る

2013年09月04日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Schwartz1995

骨は語る
価格:¥ 3,975(税込)
発売日:1995-10

 この本『骨は語る』は、ピッツバーグ大学の人類学者、ジェフリー・シュワルツ(Jeffrey SCHWALTZ)さんが、人類進化や法医人類学について書いたものです。原題は『What the Bones Tell Us』で、直訳すると「骨は何を語るか」となるでしょうか。1995年に、椙山女学園大学の渡辺 毅さんによる訳で、河出書房新社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全2部全8章からなります。

第1部.歴史時代と現代の骨

  • 第1章.骨に関するいろは
  • 第2章.古代カルタゴの子殺しの謎
  • 第3章.人骨と警察
  • 第4章.胎児スキャンダル

第2部.進化の今昔

  • 第5章.ヒトの進化:ダート、ハクスリー、ダーウィン
  • 第6章.ネアンデルタール人とは?
  • 第7章.ネアンデルタール人n位置
  • 第8章.終わりに

 本書が類書と異なるのは、写真・図・表が1点も無いという点です。その理由を、著者のシュワルツさんは、「そのたぐいの図版を載せたところで、たいした新鮮味がないし、独創性もないからだ。そのかわり、私はできるかぎりのイメージを言葉で伝えようと試みた。」と説明しています。つまり、小説と同様の実験的手法をとったわけで、非常に興味深い試みです。


人類学の本61.現代人間学2・人と動物

2013年09月03日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Yasugi1963

現代人間学〈第2〉人と動物 (1963年)
価格:(税込)
発売日:1963

 この『現代人間学2.人と動物』は、「現代人間学」シリーズ全4巻の第2巻として、元東京工業大学・早稲田大学の動物学者・八杉竜一[1911-1997]さんによる編で、分類・比較解剖学・人類遺伝・動物行動学等について書かれたものです。1963年に、みすず書房から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  1. ヒトの分類的位置(小原秀雄)
  2. ヒトのからだの構造(香原志勢)
  3. からだの機能の特質(大滝哲也)
  4. 性の特質(戸沢秀寿)
  5. ヒトの遺伝(山川振作)
  6. 動物の社会・人間の社会(日高敏隆)
  7. 人間の本性の追究(八杉竜一)

 本書は、出版されてから50年以上も経過しており、内容も古くなっていますが、人類学には、特に第2章が参考になります。


人類学の本60.現代人間学1・人の進化

2013年09月02日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Kondo1961

現代人間学〈第1〉人の進化 (1961年)
価格:(税込)
発売日:1961

 この『現代人間学1.人の進化』は、「現代人間学」シリーズ全4巻の第1巻として、元東京大学・京都大学・大妻女子大学の人類学者・近藤四郎[1918-2003]さんによる編で、人類進化・人種・人口学・日本人の起源について書かれたものです。1961年に、みすず書房から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全6章からなります。

  1. ヒトの進化の系列(江藤盛治)
  2. ヒトの進化の特異性(田辺義一)
  3. ヒトの姿勢とからだつき(近藤四郎)
  4. 人種(小松 勲・山口 敏)
  5. 人口からみたヒトの発展(小林和正)
  6. 日本人の出自(田辺義一)

 本書は、出版されてから50年以上経っているため、内容は古くなっていますが、それでも、当時の考え方が理解でき、参考になります。


人類学の本59.ひ弱になる日本人の足

2013年08月23日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
ひ弱になる日本人の足 ひ弱になる日本人の足
価格:¥ 1,427(税込)
発売日:1993-11

 この『ひ弱になる日本人の足』は、元東京大学・京都大学・大妻女子大学の人類学者・近藤四郎[1918-2003]さんが足についてまとめたものです。1993年に、草思社から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  • 1.日本人の足はなぜ弱くなったのか
  • 2.足と履物について考える
  • 3.ヒトは二本足でどこまでも歩く
  • 4.足の寿命と人間の寿命
  • 5.足と性と家族
  • 6.足と遊び、そして文化
  • 終わりに.人類は存続できるか:人類学の立場から

 本書は、「足」を一生のテーマとして研究した近藤四郎さんが足についてまとめたもので、大変、参考になります。本書の「まえがき:長谷部言人先生の教え」には、東京帝国大学理学部人類学科教授だった、長谷部言人[1882-1969]さんから、「君は怠け者だから一生、足の研究をやりたまえ」と言われたと書かれています。

Kondo1993


人類学の本58.足の話

2013年08月22日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese

Kondo1979

足の話 (1979年) (岩波新書)
価格:¥ 336(税込)
発売日:1979-10

 この『足の話』は、元東京大学・京都大学・大妻女子大学の人類学者・近藤四郎[1918-2003]さんが、足について書いたものです。1979年に、岩波新書黄版101として、岩波書店から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全6章からなります。

  1. アンデスの歩く人びと
  2. 足という言葉
  3. ロコモーションと姿勢
  4. ヒトの姿勢と歩容
  5. ヒトの足の進化
  6. 足から見た履物

 本書は、生涯の研究テーマを「足」に絞った近藤四郎さんが足についてまとめたもので、大変、参考になります。


人類学の本57.比較「優生学」史

2013年08月21日 | E1.人類学の本[Anthropology:Japanese
比較「優生学」史―独・仏・伯・露における「良き血筋を作る術」の展開 比較「優生学」史―独・仏・伯・露における「良き血筋を作る術」の展開
価格:¥ 5,775(税込)
発売日:1998-07

 この『比較「優生学」史』は、ペンシルヴァニア大学のマーク・アダムズ(Mark B. ADAMS)さんによる編著で、世界中の優生学の歴史や実情を比較したものです。副題には、「独・仏・伯・露における良き血筋を作る術の展開」とあります。1998年に、佐藤雅彦さんによる訳で、現代書館から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全6章からなります。

  1. 科学史から見た「優生学」:「優生学」史が進んできた道と、進むべき道(マーク・B・アダムズ)
  2. ドイツにおける「民族衛生学」運動:1904~1945年(シーラ・フェイト・ウェイス)
  3. フランスにおける「優生学」運動:1890~1940年(ウィリアム・H・シュナイダー)
  4. ブラジルで展開した「優生学」:1917~1940年(ナンスィー・レイズ・ステパン)
  5. ロシアで展開した「優生学」:1900~1940年(マーク・B・アダムズ)
  6. 比較「優生学」史の発展のために(マーク・B・アダムズ)

 本書は、ドイツ・フランス・ブラジル・ロシアにおいて、優生学がどのように発展したかについて書かれており、参考になります。優生学は、当時、多くの人類学者が関わっていた事が指摘されています。

Adams1998