ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

中山発言は「失言」ではない

2008年09月29日 | 日記・エッセイ・コラム
 失言というのは、つい本心ではないことに口を滑らせてしまうことを言います。
 中山成彬の発言は彼の本心であるのですから、失言ではありません。

 したがって、そういう考えの人を大臣に据えた麻生以下政府自民党の責任は軽くない、ということです。

 「日本は単一民族」
 戦時中「半島人も日本人」という言葉がありました。朝鮮半島の人々を無理矢理日本人化して、天皇のために奉仕させようとしたのです。
 朝鮮半島には「朝鮮族」という民族が住んでいて、むろん日本から見れば文化も歴史も違う異民族なのですが、そうした民族としての誇りを踏みにじって、創氏改名(そうしかいめい)や皇民化教育(こうみんかきょういく)で、無理矢理日本人にしようとしました。
 古くは、日本列島には東北地方から北には先住民のアイヌがおり、南の南西諸島には琉球民族が住んでいました。
 大陸からさまざまな異民族が朝鮮半島を経て日本に渡り、南北に勢力を拡大し大和民族と呼ばれるようになりました。
 すなわち、日本人は単一民族どころか本来的にはごしゃまぜ民族。
 これを単一民族とするのは、天皇を中心とした国体を強固なものにするための国粋主義的な考えです。

 「成田(の農民)はゴネ得」
 成田の農民が空港建設に反対したのはイデオロギー的なものでも、土地を高く売って儲けようとしたわけでもなく、その土地で農業を続けたいからです。
 成田空港を建設したあたりの土地は実に豊穣で、土は綿のように軟らかく、肥料などほとんど使わなくても上質な作物を収穫することができました。
 そんな、先祖伝来の自然の宝物を、コンクリートで固めてほしくなかったからです。
 中山成彬の「ゴネ得」発言は、農民の心を踏みにじる無責任きわまりない発言です。
 この手の人たちは、日本軍遺棄毒ガス兵器の被害者や従軍慰安婦の人たちを「カネが欲しいから言って来る」と人権を無視した発言をすることでも共通しています。

 「日教組の強いところは学力が低い」
 「文科省などによると、日教組の小中高校などの教員の組織率は全国平均で28%(昨年10月1日現在)なのに対し、全国最高の81%の福井県は、今年4月実施の同テストで国語、算数・数学とも平均正答率がトップクラス。小6の成績が全国最高だった秋田県の組織率も34%と比較的高い水準にある」(共同ニュース)
 中山成彬の発言は無恥暴言ではありますが、これも失言ではありません。「日教組の強いところは学力が低くなければならん」と、本心で思っているのです。
 日教組は日の丸・君が代に反対ですし、教育基本法の改悪にも反対して来ました。つまり、自分とはまったく反対の考え方を持つ先生が、子供の教育をするなど許せないわけなのです。
 ヒトラーはまず、子供たちを教育してナチスに忠誠をつくす人間をつくりました。
 大日本帝国は、「教育勅語」をもって天皇に忠実な臣民をつくりあげました。
 現在の自公連立政府は、日本を新しい帝国主義国家として完成させるために、子供たちから教育していきたいのですが、日教組の存在はその実現のために大変邪魔なのです。

 つまり、中山成彬は「確信犯」です。大臣になって発言が影響力を持った時に、必ず言っておこうという、“計画的犯行”なのです。
 そうすることで国民の間に議論をまき起こそうとしたのでしょうが、残念ながら自民党内からも大批判を喰らって逆効果だったようです。
 しかし、彼の後ろには、例の「神の国」発言をした森喜朗がいることを忘れてはいけません。

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麻生太郎「失言・暴言録」

2008年09月27日 | ニュース
 イソップの寓話だっただろうか、出典は定かでありませんが小学校だか中学校だかの国語の教科書にこんなような話が載っていた記憶があります。

 王様が賢者に「この世の中でもっとも悪いものを持って来い」と命じます。
 すると賢者は、山ほどの量の牛の舌を持って来ます。
 「絶大な信頼を誇る人格者も、自らの舌によるたった一言ですべてを失ってしまいます。舌ほど悪いものはございません」
 「なるほど」と王様は言いました。「ではこの世の中でもっとも良いものを持って来い」
 すると賢者はまた、山ほどの量の牛の舌を持って来ます。
 「これはどういうわけじゃ」王様は自分がバカにされていると思って賢者を叱りつけました。
 「いえいえ王様、政治がうまくいくのも、人々が円満に暮らせるのも、みんなこの“舌”が上手に取りなしてくれているおかげなのです。舌ほど良いものはございません」

 つまり“舌”は両刃の剣、たった一言でどちらにも転ぶようです。
 しかし、よく言われる「思ってもいないこと」を言ってしまうなどということは、本来あり得ません。
 このところ、政府閣僚の失言暴言が相次いでいて、とうとう、発足したばかりの麻生内閣から、さっそく、なんとたった三日で中山成彬国土交通相が辞任(27日)。

 なにやってんだか。

 自民党政府の中に蔓延する、舌禍シンドロームはとどまるところを知りません。

 去る9月23日の『赤旗』に掲載された記事が話題になっているようです。
 このたび「メデタク」新総理になった麻生太郎氏による失言・暴言を、一挙掲載したものです。
 これに対して、改めて怒り心頭に発した人もいれば、「こんなこと、日本人なら誰でも考えてる普通のことだ」というような、麻生発言に輪をかけた暴言がネット上を駆け巡ってもいます。
 「誰でもって誰のことだ! 名を述べよ」と言いたくなります。

 これを読んでどう思いますか。怒り心頭に発したあなたは正常です。

 麻生やめさせますか、それとも日本人やめますか。

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(2008年9月23日付『赤旗』)

[婦人に参政権与えたのは失敗/創氏改名は朝鮮の人が望んだ/豪雨、岡崎だったからいい]

     新総裁 麻生氏 発言録

 自民党総裁になった麻生太郎氏は、党青年局長のときから数々の失言・暴言を繰り返し、国内外から厳しく批判されてきました。

偏見・差別

 「東京で美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」(一九八三年二月九日、高知県議選の応援演説)

 「創氏改名は、朝鮮人の人たちが『名字をくれ』と言ったのが始まり」(二〇〇三年五月三十一日、東京大学での講演)

 (北朝鮮のミサイル発射について)「(朝鮮労働党の金正日給書記に)感謝しないといけないかもしれない」(〇六年七月八日、広島市内での講演)

 「地球温暖化を心配する人もいるが、温暖化したら北海道は暖かくなってお米がよくなる」(〇六年九月十三日、札幌市での総裁選演説)

 「七万八千円と一万六千円はどっちが高いか。アルツハイマーの人でも分かる」(〇七年七月十九日、富山県高岡市での講演)

 (幹事長就任のあいさつで訪ねた江田五月参院議長に)「審議をしないとどうなるか。ドイツでは昔、ナチスに一度(政権を)やらせてみようという話になった」(今年八月四日)

 「岡崎の豪雨は一時間に一四〇ミリだった。安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺、全部洪水よ」(九月十四日、名古屋市での総裁選演説)

改憲・軍拡

 「自衛隊(の存在)はみんなが認めている。日本は戦力を保持しないといっても、外国は理解できない。憲法九条二項を『陸海空自衛隊、これを置く』と置き換えればいい」(〇一年四月十四日、時事通信社などとのインビュー)

 (海外での武力行使を可能にする集団的自衛権について)「権利はあるが使ってはいけない、というのは無理がある。世界中で認められていない国はない」(〇一年十一月四日、学習院大学での講演)

 (「核武装」をめぐる議論について)「いろんなものを検討したうえで持たないというのも一つの選択肢だ」。核武装の議論を否定せず(〇六年十月十七日、衆院安全保障委員会)

靖国神社

 「遊就館には何度か行ったことがあるが、戦争を美化するという感じではなく、その当時をありのままに伝えているだけの話だ」(〇五年十一月二十一日、米ブルームバーグ・テレビの番組)

 「(靖国神社に)祭られている英霊は、天皇陛下万歳といった。天皇陛下の参拝が一番だ」(〇六年一月二十八日)

 (小泉純一郎首相の靖国参拝について)「祖国のために尊い命を投げ出した人たちを奉り、感謝と敬意をささげるのは当然。首相としても簡単に譲るわけにはいかないと思う」(〇五年十一月十三日、鳥取県湯梨浜町での講演)

 「『大変だ、大変だ』と言って靖国の話をするのは基本的に中国と韓国、世界百九十一カ国で二力国だけだ」(〇五年十一月二十六日、金沢市内での講演)

消費税

 「基本的には消費税10%はいまでも一つの案だ。小福祉小負担、北欧のような高福祉高負担とあるが、日本の落ち着く先は中福祉中負担だ。その場合、消費税10%は一つの目安かと思う」(今年九月十四日、NHK番組)
(『赤旗』2008年9月23日付より転載)

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『昭和天皇・マッカーサー会見』

2008年09月26日 | 本と雑誌
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『昭和天皇・マッカーサー会見』
豊下楢彦 著
岩波現代文庫


 「いざ来いニミッツ マッカーサー 出て来りゃ地獄へ 逆落とし」

 敗戦の色が次第に濃くなりはじめた1944年3月、こんな歌が流行ました。
 この歌は西条八十:作詩、古関裕而:作曲の「比島決戦の歌」という軍歌です。

 そんな勢いはどこへやら、敗戦とともに日本人はマッカーサー率いる占領軍(当時は「進駐軍」といった)に平身低頭、「地獄へ逆落とし」どころか、天皇以上にエラかった、と多くの国民が思ってしまいました。

 「おしっこチャーチル、うんこニュートン、お猿のお尻はマッカーサー」

 ひまわり博士がご幼少のみぎり、昭和二十年代にはこんな囃子歌が子供たちの間で口ずさまれていたものです。
 敗戦と占領に対する屈辱感に対して、いささかなりとも反発しようと言う気持ちがあったからかも知れません。
 大人たちの屈辱感はさしおいて、子どもたちにとってアメリカ兵はスマートでカッコ良く見えていました。

 ところが、それほど絶対的に見えたマッカーサーが、実はワシントンのトルーマン大統領とのあいだで相当な葛藤があり、必ずしも“全能の権力者”ではなかったことが、この本には書かれています。

 しかし天皇をはじめ日本国民は、なんの疑いもなくマッカーサーを揺るぎない支配者だと考えていました。
 関係者がすべて鬼籍に入った今、敗戦後の昭和天皇とマッカーサーのあいだで交わされた密談がどのようなものであったか、真実を見極めることが極めて難しくなりました。
 この本は、現存する記録や文献を掘り起こし分析し、そこに何が起きていたのかを明確にしています。

 「私は、国民が戦争遂行にあたって政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対する全責任を負うものとして、私自身をあなたの代表する諸国の裁決にゆだねるためおたずねした」

 これは『マッカーサー回想記』に記された、マッカーサーを初めて訪問したさいに語られたとされる、有名な言葉です。
 すべての責任を負い、裁判によって自らに極刑が下されても甘んじてそれを受け入れる覚悟が見られるこの一節は、マッカーサーに深い感動を与えたとされますが、これがどうも、マッカーサー晩年の創作の可能性が高いと指摘しています。
 それは、天皇は当初から戦犯リストに入っていなかったことがわかっているからです。

 またこの『回想録』は、タバコの嫌いな天皇が、マッカーサーに勧められたタバコを手に取って、震える手で火をつけたなど、眉唾物と見られる記述が各所に含まれることを指摘しています。

 また天皇が、表舞台と裏舞台で相反するメッセージを送っていたことも明らかにされました。
 マスメディアに向けては、“自分は戦争に反対であったが軍閥や国民の意志に抗することができなかった”という「天皇発言」が活用され、対マッカーサーなど裏舞台では、自分が全責任を負うという「天皇発言」が伝えられていました。

 「すべての責任を東条にしょっかぶせ」(東久邇発言)、国民に対しては「天皇」の権威を保ち、マッカーサーに対しては「私が全責任をとる、私を罰せよ」と語り、マッカーサーを感動させていたことがわかります。

 会談は天皇とマッカーサー以外は通訳だけで、詳細な内容はほとんど外に知らされていません。
 そのヴェールに包まれた会見の全貌を、ただひとり立ち会った通訳、奥村勝蔵らの手記や日記の裏付けをとることによって明らかにしています。

 特に、第三章の第八回天皇・マッカーサー会見から通訳を務めた松井明による、いわゆる「松井文書」の分析は、安保条約や靖国問題など詳細にわたり、圧巻です。

 マッカーサーは、自らの保身に躍起となる天皇を利用し、また、日本政府が望む国体を維持することで、戦前から描いていた「日本を前線基地化する」という計画を現実化し、日米安全保障条約につながる永久的な占領政策を完成させたのです。

 まさに戦後体制は、11回にわたる天皇とマッカーサーの会見によって形づくられたと言って過言でないようです。
 というよりは、マッカーサーは日本を占領するために、天皇を巧みに使ったと言ったほうが正しいかもしれません。
 以前から想像と推理で語られてきたこの事実の、しっかりとした輪郭を見せてくれる本です。

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「とにかく死ぬのヤだもんね。」

2008年09月24日 | アート・文化
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 先日、早朝にいきなり「ドスンッ!」と地震がありました。
 さほど大きくはなかったけれど、最初の一撃で家族全員飛び起きました。

 朝になって仕事場の書棚を見ると、そううちの1台だけ本がせり出していました。
 どうも引っ越して書棚を並べた時に、きちんとセッティングをしなかったためにややぐらつきがあって、大きな地震が来たら倒れる危険があります。
 で、地震はいつくるかわからないので、「今度そのうち」ではダメ。即刻1本分の書棚に詰まった本をすべて一旦降ろし、調整し直すことにしました。
 すると、奥の方からこんなものを発見。薄いものですから眼にとまっていなかったんですね。

 1979年に創刊された『広告批評』は来年(2009年)の4月号を最後に廃刊が決まっています。
 「マスメディア万能の時代は終わった」(天野祐吉)ということのようで。

 この一冊は1982年、全盛当時の『広告批評』が組んだ反戦特集です。「とにかく死ぬのヤだもんね。」というコピーは、これも全盛期の糸井重里氏。
 この頃は広告が一つの文化をつくりあげた時代で、パルコ、資生堂、カネボウ、伊勢丹をはじめとした、さまざまな企業がこぞって奇抜な広告を競い合いました。
 デザイナー、コピーライター、スタイリスト、イラストレーターなどのカタカナ商売に多くの若者が憧れ、「電通」の紙封筒が銀座のクラブで幅を利かせた時代でもありました。
 ライトバブリシティ、日本デザインセンター、トッパン・アイデアセンターなどのデザインプロダクションは、今でいうIT企業並に飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

 この特集は、当時第一線で活躍していた広告クリエーターたちが、それぞれのアイディアを持ち寄って製作したもので、実にユニーク。
 現在でも十分通用する……どころか、今こそ強いインパクトを感じます。
 ほんの一部ですが、紹介します。

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 「まず、総理から前線へ。」(デザイン:浅葉克己 コピー:糸井重里)

 最初にこれを見た時、周囲がどっと湧きました。
 「そうだよなあ!」
 「じじいが行ったって足手まといだろう」
 「いいんだよ、実際の戦場がどんなもんか体験してくれば」
 「総理の息子も前線へ」
 「そうそう」

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 「行かない人がやりたがる。」(デザイン:大道康央 コピー:岩崎俊一)

 有名になりすぎて、今では方々で使われる一般的なコピーですが、最初に見た時は「ウマイッ!」と拍手。
 ブッシュもサッチャーも小泉も麻生も、自分や自分の家族は戦争に行かないと思っています。
 アメリカの大金持ちは誰も戦争には行きません。そのためにアメリカには徴兵制度がないのです。
 コピーは明確なのに、しかしビジュアルが伝わりにくい。

 以上二つはコンセプトが同じですね。

Kokokuhihyo4

 「戦争は、あなたが人を殺すこと。」(デザイン:小島良平 コピー:上田耕平)

 戦争に行ったら自分は人殺しになるんだ、という自覚に欠ける人が多いと聞きます。
 そういう人たちは、戦場で「人を殺して来た人」の戦争体験には耳を貸そうとしません。

 しかし、これの反対側から見たコピーというのも、必要かも。
 「戦争は、家にいても殺される」
 ミサイルを発射した先には、普通に生活を営んでいる人がいるということを、しっかりと意識しなければなりません。

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 「とにかく死ぬのヤだもんね。」(デザイン:副田高行 コピー:糸井重里)

 特集タイトルのこの作品は、現代の若者の姿を特徴的に表していておもしろいですね。
 もっとも、これが発表されたのは26年も前のこと。
 当時はまだコンビニはあまりなかったけれど、まさにコンビニの前でしゃがみ込んでたむろしている高校生です。
 「ヤだもんね」と言えてるうちはまだいい。戦争が始まれば断れなくなりますヨ。

 国を守るのは軍事力ではなく、外交の力。

 この『広告批評』はわずか86ページ。その中にぎっしりと内容の濃い特集が組まれていて、とくに岩渕達治氏のエッセー「反戦博物館」は秀逸です。多数の戦争被害者や虐殺現場の写真が掲載され、次のように結んでいます。

 「戦争はカッコいいものではなく、気持ち悪いものである。気持悪い側面を隠蔽しないことが、戦争を敵とする戦争のもっとも有効な武器であることはほぼ間違いないようである。「気持悪い」と思うところにこそまだ反戦の訴えの届く余地が残されているのである。」

 さてこのような、当時は超有名なこれらクリエーターによる企画を、現在でもできないものでしょうか。
 第一線のアーチストが作品を持ち寄って展覧会ができたらすごいと思うのですが。
 しかし、天野祐吉さんに代わる、カリスマ性のあるプロデューサーって、だれかいるかしら。

 *ここに掲載した作品は、ほんとうは著作権法上転載できません。解像度も下げましたし、営利目的の転載ではないので、見つけても勘弁して下さるようお願いします。
 だってこれは、みんなに紹介したいですから。

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*掲載画像の転送・転載はできません。



「靖国神社」の歩き方

2008年09月23日 | 昭和史
 中学生の娘に靖国神社を見せに行って来ました。
 文科省が「小中学校の授業として靖国神社の見学を奨励する」という非常に危ない通達を出したもので、先手を打ったわけです。
 社会科の先生の授業がおもしろいらしく、歴史には大変興味を持っているので、真剣に見学していました。
 まずは、入り口の鳥居から説明。

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 靖国神社の鳥居は「護国鳥居(靖国鳥居)」といって、一般の神社の鳥居と異なります。
 特徴は、上段の横木が円柱状で両端にハネがなく一直線であることと、二段目の横木は角材で支柱から突き出していないこと。
 「立ち小便禁止」に描かれているあの鳥居の絵に似ています。
 護国鳥居とは全国の護国神社(招魂社)に用いられています。護国神社とは靖国神社に代表される、国家のために殉職した人を祀る神社です。

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 鳥居をくぐると、大村益次郎の銅像がそびえ立っています。
 大村益次郎は戊辰戦争における功績をたたえられて、明治新政府の幹部となり、日本の陸軍の創始者とされています。頭が極端に大きな、宇宙人みたいな肖像画が有名。

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 靖国神社にある戦争博物館「遊就館」のわきに、東京裁判のパール判事の碑ができていました。
 数年前に吉田裕教授主催の見学会で来た時にはなくて、その後G出版の社長と来た時には気付きませんでした。
 「平成17年建立」とありましたから、できてまだ三年です。
 なぜ、パール判事の碑があるのかと思う人もたくさんいるのではないかと思います。
 ラーダービノード・パール判事は、極東国際軍事裁判(東京裁判)におけるインド人の裁判官で、唯一被告人(A級戦犯)全員の無罪を説いた人です。
 パール判事は連合国による「勝者の裁きは」公平でないとした上で、アジア太平洋戦争における日本軍の残虐行為もアメリカの原爆投下も批判しました。
 「靖国派」はこれを都合良く解釈して、悪いのは米英であって、日本はまったく悪くないと主張しています。これはまったくパール判事の真意とは異なるものです。
 靖国派の考え方は田中正明の『パール博士の日本無罪論』という本によって補強されましたが、それに対して、判事の膨大な判決書を研究した優れた著作が次々に出版されたこともあり、靖国派がなんとしてもパール判事を味方に引きつけておきたいという宣伝行為の現れでしょう。
 田中正明は独自の「大東亜戦争肯定論」を展開する上で、『パール博士の日本無罪論』では判決文の改竄を行っていることが知られています。

Zuroku

 この日のメインの目的は「遊就館」見学です。
 今年の初め、「遊就館」は展示記述の一部変更を行いました。
 「大東亜」戦争のコーナーで、日米開戦の責任を一方的にアメリカにあるとしていたことに、アメリカ側から抗議があり、あくまでも政治的な理由からこれを受け入れたものです。
 「遊就館」が発行する図録には展示されている内容がほとんど納められていて、旧版と新版を比較すると違いがよくわかります。

 「【日米交渉】 日米開戦を避けるべく日本は日米交渉に最大限の努力を尽くすも、米国民の反戦意志の中対独参戦を決意し、英国・中国への軍事援助を粛々と進めるルーズベルトに残された道は、資源に乏しい日本を禁輸で追い詰めて開戦を強要する以外になかった」
 
 これは、旧版の「遊就館図録」に掲載されていたもので、同じ文章が館内に展示されたパネルにもありましたが、変更後はこれを含め、開戦にいたる詳細な説明は削除されていました。

 この戦争博物館「遊就館」では、日清・日露をはじめ第一次世界大戦からアジア太平洋戦争までに関する相当量の展示物がありますが、それはあくまで、「日本の兵隊はいかに良く闘ったか、中国や米英ソはいかに悪いか」を宣伝することに終始していて、それぞれの開戦にいたるプロセスについてはまったくと言ってよいほど述べられていない展示になっています。

 このような博物館をなんの予備知識もない小中学生に見せたとしたらどんなことになるか、恐ろしいものがあります。
 今の小中学校で、子供たちに正しい知識を伝えることのできる先生は極めて少ないでしょうから、慎重な対応が望まれます。

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『氷の華』

2008年09月20日 | 本と雑誌
Kohrinohana

 作者の天野節子は62歳の新人作家で、この作品が1作目。いきなりベストセラーをかっ飛ばしました。
 初めは自費出版だったそうで、その後単行本化され、文庫にまでなった奇跡的な作品です。
 幻冬社の販売力と言えばそれまでですが、たいしたものです。

 悪女をやらせたら右に出るものはないと、ぼくが勝手に思っている米倉涼子(実際の彼女はとても楽しい人だと聞きます)主演で2夜連続のテレビドラマが実によくできていて、原作も読んでみようと思った次第。
 文庫本500ページはけっして短いとは言えない小説ですが、けっこうのめり込んでしまい、就寝前に読んでいるとつい寝不足になってしまいます。

 初めに申し上げておくと、ドラマと小説では設定がだいぶ違っていて、特にエンディングはまったく違います。
 ドラマではいささか松本清張の「砂の器」を彷彿とさせる重厚な雰囲気がありました。

 ドラマを見たあとではネタバレ感があって楽しめないのではと思いましたが、一言で言えば、「トリックの博覧会」で、けっこうスリリングです。
 登場するたくさんのトリックの連続は、どれもミステリーファンなら思いつきそうなものばかりなのに、ありきたりのピースを巧みに組み合わせることで、完成してこんな絵になったかと驚かされるジグソーパズルのようです。
 実に複雑な構成になっているものですから、事前の想像以上におもしろい作品でした。
 隙のないストーリー展開は宮部みゆきをも凌ぐのではないかと思われました。
 しかし、宮部みゆきにはあって、天野節子には決定的に足りないものがあります。

 それは社会性です。

 そのため、これほど良く構成されていながら、内容そのものには厚みが感じられません。
 それは、個性的な登場人物を多数配していながら、生活感や社会性に乏しいことです。(ドラマでは設定を変えることで、遺産相続や企業の後継者問題などによって、かろうじて社会性を保っていました)
 それがどのような形であれ、ドラマとしての重要な要素である社会性がないと、ただの読み捨て娯楽小説になってしまいます。
 小説が古典として残っていくためには、その時代に応じた状況描写が絶対に必要なのですが、この作者にはどうやらそういった意識はないようです。
 さまざまな職業や企業が出てくるので、少し取材すればいくらでも膨らませることは可能だったでしょう。
 松本清張や帚木蓬生のような社会派になれと言っているのではなく、物語に厚みをつけるためには必要な要素だということです。

 さらに、犯罪の動機が憶測に走りすぎていて、現実味に欠けています。ドラマではその部分が補われていて、説得力がありました。

 表現力や才能はある作者だと思われるので、実にもったいないはなしです。
 62歳ともなれば、これから自分の足りない部分に気付き補っていくことは大変だと思いますが、まだまだ人生には余裕がありますから次回作に期待しましょう。

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いただきもの

2008年09月18日 | 健康・病気
Banbrian

 著者との打ち合わせのために、東神田にあるC出版社に出かけました。
 実はかなり前から「あーでもない、こーでもない」と何度か打ち合わせはするもののいっこうに進展しない本の打ち合わせで、今回もきっとまた半年くらいは間が空くことが十分予想されます。
 なんとか年内にはまとめようという話になりましたが、はたして……まったく当てにできません。

 実はこの著者、孟宗竹の研究をしている先生で、孟宗竹の中に人間の自然治癒力を劇的に高める成分が含まれることを発見して、長年にわたり臨床実験を重ねています。
 ところが、ご存知のように日本という国では、大企業によって開発された薬品以外はなかなか認めてもらえません。どんなに論証を重ねても、丸山ワクチンのように下手物扱いされるのが落ちです。

 そこでこの先生は、アメリカやヨーロッパで特許申請して、その上で敷居の高い日本の薬事法にチャレンジしようという考えです。

 大きなボトルは、孟宗竹のエキスを水に抽出したものです。
 薄い茶褐色で、そのまま飲みます。ややクセはありますがほとんど味はしません。
 胡椒のビンのようなものは、ヒマラヤ岩塩に、孟宗竹エキス、赤紫蘇エキス、マジョラムエキスを調合したもの。
 普通の塩よりもソフトでやや甘みを感じます。
 これは食卓において調味料として振りかけます。

 現段階ではどんな病気のどんな場合に効くなどと語ると、たちまちお上から御用となりますので申し上げられません。
 これはあくまでぼくの場合であって、他に当てはまるかどうかはわかりませんが、ボトルの液体を飲み続けていると、持病の痛風の原因である尿酸値が、劇的に下がります。
 ところが、やめてしまうと早晩元に戻ります。
 これまでもサービスでいただいたものを使っていて、買えばべらぼうに高いので、そうそう続けられません。

 この先生のレポートを書くためにずっと取材を続けているHさんは、自分のアレルギーや爪水虫などの治療に使って経過を記録していますが、あきらかに効果が上がっています。

 先生は、臨床実験を続けながらも、成分の分析と効能についての綿密な研究をさらに深めなければならないと言っています。そうしないと、「とんでも薬品」だとか「にせ科学」などと言われてしまいますから。

 「宗教団体が売っている水と一緒にされたらかないませんから」と笑っていました。
 日本医師会や厚生労働省は、自分たちの利益を危うくする薬品や治療法は、それがどんなに優れたものでも、ナンクセを付けてインチキにしてしまいます。ですから、それらの薬品や治療法によって万一事故が起きた場合、施術者も患者もまったく保障されないばかりか処罰されます。
 ここでも、国民の命よりも企業の利益が優先されるおなじみの現象が起きているのです。

 今回もいただきましたので、少しですがまた試してみます。

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盛者必衰の理を表す

2008年09月17日 | 社会・経済
 かつて、日本の証券会社、山一証券が破綻した時も、また、ライブドアが取り締まりを受けた時も、それぞれ自分たちが凋落の時を迎えるなど想像もしていなかったことでしょう。

 アメリカの大手証券会社、リーマン・ブラザースの社員たちもきっと、「まさかこの会社がつぶれるなんて…」と思ったに違いありません。
 
 ぼくは経済についてはほとんど知識がないので、詳細な解説などまったくできませんが、別な角度から見て、証券会社なるものが極めて危うい「虚業」であることは理解できます。
 ただの紙切れをお金の代わりにしたり、あるいはお金そのものを商品にして売りつけるようなことをしているわけですから。

 サブプライムローン(低信用層向け高金利型住宅ローン)などという、どう考えても危うい、低所得者からも金を搾り取ろうとする、とんでもなくあこぎな商売が失敗しての結果ですから、まあ、自業自得。
 日本の石原銀行と言われる新東京銀行も同じようなことをやっているわけですが。

 本来経済というものは、生産したものを流通させて利益を配分していくことが本分のはず。
 したがって、ただの紙切れにお金と同じ価値をつけて流通させるという、まったく生産性のない、金儲けだけが目的の企業が成り立っていることの方が不自然に感じます。
 それが経済の発展というものだと言うなら、「そんな発展はしなくていい」のでは。

 世界には、実際の貨幣の何倍何十倍もの「お金に代わるもの」が流通していると言われます。
 株券や不動産などがそうです。
 しかしこれらは、1万円札が常に1万円の価値を持つのと異なり、価値が変動します。
 買い手が多ければ価値が上がりますが、買い手がなければ値下がりします。
 そこに儲かった、損をしたという、一喜一憂が派生するわけです。

 お金の代わりをするものの価値が上下することで、まるで世の中に流通しているお金お量が増えたり減ったりしているかのように、景気が良くなったり悪くなったりします。

 ライブドアの元社長のホリエモンが逮捕されたとき、ニュースで何億円も損をしたと言われましたが、それは、もともとお金でなかったものの価値を無理矢理引き揚げ、信用の失墜とともにそれが元の紙切れに戻っただけで、「損をした」わけではないのです。

 リーマン・ブラザース事件は、株などとは無縁の当方には直接的な影響はありませんが、しかし、大企業依存、アメリカ依存の日本経済は、やがて消費の冷え込みなどからサラリーマンのボーナスや昇級に影響することになり、はては庶民の生活にも影響が現れそうです。
 こちらのほうの「リーマン」は気の毒。

 池澤夏樹の『光の指で触れよ』にある英国のコミュニティーのような経済構造であれば、絶対に起こりえない出来事です。
 ぼくがかつて『ひまわりの種は誰が食べた?』で似たようなことを書いたとき、「これは共産主義だ、非常に危険な考えだ」などという批判を数多く頂戴しましたが、今この時代になってみれば、検討してみる価値はあるのではないかと思います。

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「島唄楽園」ろっ敬老ーるNight

2008年09月15日 | 音楽
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 久しぶりの、夜の六本木。
 六本木交差点角の誠志堂ビル4階にある「島唄楽園」という沖縄居酒屋でのライブ。

 店の雰囲気はまったく六本木っぽくなくて、下北沢か吉祥寺の雰囲気です。
 グルクン唐揚げ、海ぶどう、耳ガー、ジーマミー豆腐、自家製のトーフヨー、料理もなかなかよい。

9152

 この日のプロデュースは元ちゃん(永原元)だそうで、最初から最後まで出ずっぱりの大熱演。ごくろうさんです。
 「元ちゃん!」
 「あ、ああ。ひさしぶりー。絶対今日来てくれると思ったんだ、そんな予感がしたんだよね」
 ??ウソつけ……

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 元ちゃんをのぞいて、演奏者はみんなおじさんおばさん。歌とギター、三線の平安隆(ひらやす たかし)さんは元ちゃんの師匠のような人で大ベテラン。
 すばらしくハリのある声で沖縄民謡を歌います。
 「ヘンナオジサン!」

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 エイサーを踊りながら登場した、よしだ・よしこ さん。
 沖縄の人って、どうしてこんなに良く通る声をしてるんだろうか。
 竹富島あたりで沖縄の風に吹かれながら聴いたら、とってもよさそう。
 青い空と紺碧の海が見えて来た。

9155

 この日、湯川トーベンさんはお客さん。
 もっぱらおしゃべりが快調。
 六本木の駐車場が高いからと、今日は車を置いて来たので、めずらしく泡盛の大盛りを飲んでましたが、大丈夫?
 「泡盛を飲みたいって言ったら、こんなに来ちゃったよ! 飲みきれないよな」とかなんとかいいながら嬉しそう。

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 左から、湯川トーベン、よしだ・よしこ、平安隆、永原元。

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 最後はみんなでエイサー。
 これ、やさしそうで難しい。

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 実は、この日は満月。でも、中秋の名月は前日の14日。なんでだろ。
 中秋の名月は暦、満月は月齢、堅いこといわずにあわせればいいのにね。

 写真は14日に家のベランダから撮ったものです。

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雑筆三題

2008年09月13日 | 雑感
喉に骨が刺さったとき、ご飯を飲み込んではいけない
 世の中には常識とか定説とされていながら、実はまったくの誤りであることが、少なくありません。
 テレビ朝日の「ウソバスター!」は世の中の間違った定説を暴き出すもので、大変興味深い番組です。
 「チョコレートが原因でニキビが出ることはない」
 「摩周湖は湖ではなく、法律上はただの水たまりである」
 「パンダとは本来レッサーパンダのこと」などなど。

 昨日、小学生の無量が給食に出たイワシの開きの骨が喉に刺さり、夜まで痛がっていました。
 「先生がご飯を飲み込んでごらんといったので、やったけどとれなかった」
 ぼくはそれを聴いて、これはまずいとすぐに医者に行って診てもらうようにカミさんに指示しました。
 魚の骨が喉につかえたとき、ご飯の塊を飲み込めとは、昔はよくいわれたものです。しかしこれは、骨がかえって深く刺さってしまうことがあり、大変に危険。
 口を大きく開いてピンセットでつまみ出すのが最善ですが、それでダメなら内視鏡のある病院に直行すること。
 学校の先生の無知は大事故につながります。先生を監視するPTAの目は重要です。
 ただし、モンスターペアレントにはならないように。

ジュリー「九条」の「窮状」を歌う
 朝日新聞朝刊より。あのジュリー(沢田研二)が最新アルバムに憲法九条の歌を入れるそうです。
 題して「我が窮状」。

 麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが
 忌まわしい時代に 遡るのは賢明じゃない
 英霊の涙に変えて 授かった宝だ
 この窮状 救うために 声なき声よ集え
   ……
 我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう

 耳で聞けば「窮状」は「九条」に聞こえます。
 「60歳になったら、言いたいことをコソッと言うのもいいかな。言葉には出さないけれど、九条を守りたいと願っている人たちに、“私も同じ願いですよ”というサインを送りたい」

 憲法を教えると、“偏向教育”だと先生が糾弾される学校があるそうです。先生たちが自分の国の憲法を教えることができない学校って、なんかおかしくありませんか。
 政府自らが、違憲判決を無視してインド洋に海上自衛隊を派遣している国ですから、ジュリーが歌うように、まさに「九条」は「窮状」です。
 コソッとはいうものの、「ホントはけっこう、必死のパッチです!」でしょうね。

「客観的に」自分だけ見えてます 福田康夫
 事故米を売ったのは農水省。本来工業用に糊の原料としてしか使えない米を、食品会社に売りつけるとはどういう感覚なのか。
 流通した事故米は、病院や老人ホームなどの施設に出回ってしまったことがわかっています。さらに、日本酒や焼酎にも。
 「処分するにもカネがかかるから」と言い訳する農水省ですが、お役所とは国民よりもカネを守る方が優先らしい。めぐりめぐって、自分や家族の口に入ることは考えなかったのでしょうか。
 
 自民党の総裁選も、国民のためでなく党と自分たちの選挙のため。「元総理」の肩書き欲しさに雨後の筍のように乱立する候補者。そんな茶番の結果決まった首相に万歳をする国民はもっと馬鹿。
 マスコミは政府の思いのままですから、受け身でいるだけでは、この国がどこに向かっているのかがわかりません。ちょっとだけでも努力して真実に目を向けることが大切です。
 もっとも、政府は体のいいごまかし情報を流して国民の目をくらましますが。

 「私は自分を客観的に見ることができるんです、あなたと違ってね」
 福田首相が辞任記者会見で言ったこの言葉はTシャツにもなったそうですが(著作権はどこにあるんだろうか)、この人、「客観的に」自分しか見ていなかったんですね。国民のことはまったく眼中になかった。気になるのは自分がどう見られているかだけ。
 「ばっかじゃなかろかルンバ♪」

 次期首相の本命と言われている麻生太郎、できれば秋葉原限定でいてほしいですね。国内はもとより諸外国に、これが日本の首相ですなんて言えたしろもんじゃないですから。
 曲がった口から出るのは失言暴言無駄口ばかり。
 せめて、祖父である吉田茂を多少なりとも学んでほしい。ま、もっとも吉田茂もけっこうバカなことやりましたけどね。
 あの有名な「馬鹿野郎解散」はまねしてほしくない。

 素朴な疑問。国会が解散するとき、なんで万歳三唱するんだろうか?

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今岡誠 バースデーアーチ&サヨナラ

2008年09月11日 | 野球
Imaoka
(c)阪神タイガース

 解説の安藤さんが、今岡選手が初回に同点ホームランを打ったとき、「どうしても勝ってお祝いしたいですね」と言っていました。
 今岡誠選手は5月23日以来の1軍先発。この日の昼まで、二軍の鳴尾浜グラウンドで調整していました。
 春先から極度の不振で、ずっとファームにいたのです。

 「ええっ、今岡が出てる」
 テレビのスイッチを入れて、ぼくはびっくりしました。
 関本が昨日三つのデッドボールをくらって打撲がひどいらしく静養、そのために急遽呼ばれたとか。
 それにしても、ぼくは春先のどーしょーもない大不振を知っていますから、大丈夫なんかいな、という気持でした。

 「今岡、今日誕生日だってさ。バースデーアーチとか打っちゃったりして」
 ジャイアンツファンのアシのYと冗談を言っていました。
 
 すると……
 「あああああああっ! ホントに打っちゃったよ!」
 なんと、最初の打席で2ランホームラン。

 そのあとは、3打席凡退して、やっぱりだめか。
 チームは2-4とヤクルトにリードされて、9回の裏。打撃不振のチームにあって2点差は致命的と思われたのですが、先頭の代打桧山がツーベースで出ると、葛城スリーベース、矢野ツーベースでなんと同点。
 林が凡退のあと赤星がヒットでつなぎ、平野は敬遠で1アウト満塁。
 3番今岡勝負です。

 どうやら、この男には強運の神様がついているようです。

Banzai
(c)nikkansports

 満塁ホームランとはいかなかったものの、なんとなんと、押し出しのフォアボールを選んでサヨナラ勝ち。

Kanchoh
(c)nikkansports
 桧山から「カンチョー」。
 ヒーローは何をされるかわからない。

Otachidai
(c)阪神タイガース

 復帰したその日にお立ち台で、ファームで真っ黒に日焼けした顔に満面の笑顔でした。

 二重三重におめでとう! 今岡誠。

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 9月11日と言えば、今ではブッシュの自作自演説が定説化しているニューヨーク同時多発テロ事件から7年目。
 日本の政府はいまだにアメリカの公式見解をそのまま支持していますが、アメリカ国民の75パーセントはブッシュの陰謀であることを知っています。
 空自はイラクからは撤退するそうですが、アフガンには給油を続けるそうです。
 日本政府のアメリカ追従もいい加減にしてほしいですね。

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『生と死・いのちの証言 沖縄戦』

2008年09月09日 | 本と雑誌
Shogen_okinawa

生と死・いのちの証言 沖縄戦
行田稔彦 編著
新日本出版社 発行

 A5判672ページの分厚いこの本は、沖縄戦の開始から戦後までの全体像を、30人近い体験者の証言で構成したものです。
 著者は長年沖縄学習に取り組む和光小学校の校長です。
 奇しくも和光小学校は、わが家が家族ぐるみでお付き合いしているMさんの娘さんが通っている学校で、「観光コースでない沖縄」が修学旅行コースになっています。

 著者は20年にわたって沖縄の戦争体験者から聞き取りを行い、その集大成がこの本です。
 したがって、金城重明さんや宮城喜久子さんなど、有名な証言者はもとより、なかなか口を開いてくれない証言者の貴重な発言や、すでに故人になられた方など、かけがえのない平和への叫びが込められています。

 八月に入ってまもなく新聞でこの本の出版を知り、どうしても欲しいと思いました。
 しかし、高い。一冊の本で税込6930円は、いささか二の足を踏みます。
 そこでぼくは、姑息な手段に出ました。
 業界ルートを利用して少しでも安く手に入れようと、発行元の新日本出版社と交流のあるG出版社の営業部のE氏に頼み込むことにしたのです。
 そうすれば、少なくとも2割は安くなるはず。
 E氏は留守で、電話口に出た編集部のU氏に言伝を頼みました。それは先週のこと。
 昨日、そうだ代金を払わなければと電話をかけようとすると、逆にU氏から電話です。
 「あ、本の代金をお持ちしなければと思っていたんです」とぼく。
 「実はですね、E(営業部)が新日本出版社に行ったところ、献本いたしますということで、もらってきてあるんです」
 「え、ええええ!」
 「で、先週すぐにお送りするつもりでいたのですが、つい遅くなってしまって、今日お送りします」
 「うわあ、そんな。申し訳ありません、というかありがとうございます」

 取引のある出版社や親しい友人がいるところなら、献本はいつものことですが、新日本出版社に知り合いはまったくいません。
 いやあ、言ってみるもんです。ひょんなことから6930円得しました。
 ほんとうに、ほんとうに、Eさん、Uさん感謝感謝です。

 不思議なもので、飲みに行けば五千円や六千円平気で払うのに、書籍代の6930円に二の足を踏むというのはどういうことでしょうか。
 罰当たりですね。

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池澤夏樹『光の指で触れよ』

2008年09月08日 | 本と雑誌
Hikarinoyubi

『光の指で触れよ』
池澤夏樹 著
中央公論新社 発行

 6月29日にすでに紹介しましたが、この本は『すばらしい新世界』の続編にあたるものです。
 ぼくは新聞に載った『光の指で触れよ』の書評を読んで興味を持ちました。
 ところが、購入してからこの本が続編であることを知って、先に『すばらしい新世界』を読んだ次第です。
 その後、仕事の関係で優先的に読まなければならない資料などが山積して、『光の指で触れよ』を読み始めるまで2カ月近くも開いてしまいました。

 『光の指で触れよ』は前作と比較して、だいぶ様相が変わっています。
 まず、主役の天野家は前作では理想的ともいえる幸福な家族でしたが、こちらではその家族が「崩壊している」ところから始まります。
 前作で天野林太郎がネパールから帰った後、女の子が誕生して家族はひとり増えていました。林太郎の恋愛事件を引き金に、妻のアユミはその女の子(可南子=キノコ)をつれて家を出、フランスのコミュニティーで生活をはじめます。
 長男の森介は全寮制の高校に入っていて、家には林太郎がひとり。

 アユミは5歳のキノコを連れたまま、フランスからスコットランドのコミュニティへとうつり、そこで精神的にも知識の上でも多くのことを学びます。
 そこで「お金を必要としない」暮しのことを知ります。
 作物は、自分が消費する分だけを作る。少量多種の農業。
 余ったものや不要になったものは、無料の交換所に集積して、必要な人がもっていく。

 ~ぼくが何年にも前に出版した、『ひまわりの種は誰が食べた?』にこれと似たようなことを書きましたが、それについて、「あなたの考えは共産主義だ、教育上大変よろしくない。ソ連や東欧が崩壊したことをどう考えるか」などという頓珍漢な批判をいただいたことがあります~

 池澤夏樹は登場人物の言葉を借りて学校教育についてもチクリと刺します。
 「学校とは何か? 改めて考えてみると、子供を加工するところという感じが強いんだな。これは自分でもびっくりした。ファクトリーだよ。子供という粘土のかたまりを入れると、成形して、着色して、熱で硬化させて、均一の製品にする」

 林太郎は、自分の出した企画がことごとく不採用になり、利益優先の大企業のあり方に疑問を持ちはじめていました。
 そんなとき、ふとした縁で友人に誘われ訪れたパーマカルチャー(少量多種栽培農法)の農場で、あることに気付きます。
 単一大量栽培は、作物が貨幣に交換されることが前提である。それは作物を消費することではなく、作物によって利益を得ることが目的になる。
 このような農業は農作物が主役ではなく、「お金」が主役になっている。
 林太郎は、自分がこれまでに企画した風車も、しょせんはそうした利益追求主義に含まれていたのだとさとります。

 夫婦はまったく異なる場所で、ほぼ同時に農業に興味を持ちはじめていました。

 シンクロニシティ。

 林太郎の恋人は、会社を辞めて農業をはじめたいという意見には賛成できず、すでに冷えかけていた関係はここで決定的に終止符を打つことになりました。
 林太郎は、スコットランドにアユミを訪ね、日本に帰っていっしょに農業を始めないか、と誘うのですが。

 『光の指で触れよ』ではテーマの一つとして、資本主義の宿命である利益優先が及ぼす害から、少人数でも逃走することの可能性を探っています。
 しかし現実には、山岸会に代表されるように、日本という国はこのようなコミュニティができ、大きく発展しかけると、必ずつぶしにかかります。
 国家という枠組みから外れる人間をけっして認めず、「お金」という牢獄に人々を閉じ込めておくことが最優先事項だからです。そしてそれが、大企業がより利益を上げていくために必要なことだからです。
 国民は、為政者と大企業の利益のために働く雑兵でしかないのです。

 まさに、日本全国蟹工船。

 スコットランドでのアユミは、数々のニューエイジ(精神世界)的な体験をします。この小説の中でそのシーンになり、チャクラだのクンダリニーなどが出て来ると、ぼく(ひまわり博士)はイライラしてイヤな気分になりました。
 ぼくはニューエイジを否定するものではありませんが、そうした世界の人々にどうしても異星人を見るような違和感を感じてしまうのです。
 この小説の中でのアユミの体験は、ぼくには受け入れられませんでした。

◆参考◆池澤夏樹『すばらしい新世界』

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酢橘と蛙

2008年09月07日 | 日記・エッセイ・コラム
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 柑橘類は一年結果。
 昨年大豊作だった酢橘は、通常なら今年は実を結ばないはずで、その証拠にほとんど花が咲きませんでした。
 ところが、昨年ほどではないにしろかなり実がなっています。
 小さいし形も良くないけれど、それでもよく見るとわが家で使うには十分な実が収穫できました。
 木にはまだたくさん残っています。

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 酢橘をとり終えて脚立から降りようとしたら、カミさんが、
 「カエル! カエル!」
 このところ雨が多いせいか、どこからかはい出して来たようです。
 そこで、アップで一枚。
 カメラの前でポーズをとったあと、撮影が終わったらピョンピョンと植え込みに飛び込んでいなくなりました。

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子どもの家「折り紙展」

2008年09月06日 | 受験・学校
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 わが家の子どもたちが通っていた、「チェレギーノ子どもの家」はモンテッソーリ教育の幼稚園で、毎年二回、展示会が行われます。
 一度目は二月に行われる「作品展」で、こちらは園児が在園中に作ったさまざまな工芸品が展示されます。
 ぼくは「作品展」を初めて見たとき、そのレベルの高さに目をむきました。未就学児童が作るものなどどうせ見られたものではないと、タカを括っていたからです。

 九月に行われるのは「折り紙展」で、園児たちの折り紙や切り紙に加えて、園を卒業した小中学生が、夏休み中の数日間子どもの家に通って作った作品が展示されます。

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 玄関に飾られた巨大な恐竜の折り紙は、園児たちがみんなで作ったそうです。

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 会場には壁面いっぱいに作品が展示されていて、園児や卒業生のお父さんお母さんたちが三々五々訪れます。

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 今年のテーマは「恐竜」です。
 ティラノザウルスやステゴザウルス、トリケラトプス、三葉虫などが折り紙で出来るんですね。

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 切り絵の原画の多くは中国の剪紙、本物には遠くおよびませんが、子どもが作ったと考えると、たいしたものです。
 なかにはオリジナルの図柄や和風のものもありました。

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 無量が一日で作った切り絵。もう少し丁寧に作ってほしかったのですが……。

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 切り絵で作った灯籠は園児の作品。こちらの絵柄は和風です。

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 こんな建築折り紙も作ります。正確さと根気が必要です。

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 この日、飛び入り参加の小学生を指導する松村園長。

 三、四歳の園児がどうしてこんな作品が作れるのかと言うと、その第一は時間の制限を作らないことです。飽きて放り出せば、目につくところにおいておきます。すると子どもは気になってまた作りはじめます。
 そうやって、必ず完成させるそうです。
 もうひとつは、さまざまなメニューから子ども自身でやりたいことを選ばせます。みんなが同じことをいっせいにやるというシステムではありません。同じ部屋の中で、そこにあるものを使ってそれぞれが勝手に何かをはじめます。
 すると子どもたちは、ほかの子がやっているのを見て興味を持ち、自分もやりたくなり、そして出来ることが一つずつ増えていきます。
 いやがることを無理にやらせない、やりたいことは制限を設けずにいくらでもやらせる、それが「チェレギーノ子どもの家」のやりかたです。

◆参考◆
『モンテッソーリ教育で子どもの才能が見つかった』
坂井泉 著  松村禎三 監修 中央アート出版社
 子どもの家の日常が詳しく書かれいて、多少資料が古いですが、全国のモンテッソーリ幼稚園の一覧が掲載されています。


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