*極東最大の嘉手納基地。(Google Earth)
「基地の中に沖縄がある」といわれるように、日本国内にある米軍基地の7割以上が沖縄に集中しています。
那覇空港に降りて車で北に向かうと、基地や駐留米軍の施設を囲むフェンスが、次また次とあらわれます。
琉球王国から続く伝統の島は、すっかり米軍基地で覆い尽くされてしまっています。
先頃の女子中学生暴行事件は、そうした環境の元で、起こるべくして起きたのです。事件が起きるたびに米軍の幹部は、「二度とこのような不祥事が起きないように最善の努力をする」と繰り返しますが、何ら改善されることはありません。
◆米軍基地容認と思える投稿について
さて、今日の昼「糸満市民」と称する人から、2月12日付の「またかよ!海兵隊」という記事に次のようなコメントが投稿されてきました。
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博士、問題の本質は、少女を襲った変態が一部の米兵であったことと、少女が警戒心も怠ってバイクに乗ってついてったこのしつけの無さにあるんですよ。
考えてみて下さい。日本全体で少女暴行事件は年間2000件も発生してるんですね。そのうち、米兵によるものは4件なんです。
それなのに、あなたはそのうちのたった1件を取り上げて、政治的議論に持ち込もうとしている。これはどう見ても公正な議論とは思えません。
どうか、問題の本質を見誤らないで頂きたい。
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無視しようとも思ったのですが、同じように考えている人が少なからずいるのではないかと思い、ここに記事にすることにしました。
投稿者が本当に「糸満市民」なのかどうかはわかりませんが(笑)、「問題の本質を見誤らないで頂きたい」という言葉をそのままそっくりお返ししたいと思います。
まず、日本の国内で起こっている日本人どうしの暴行事件と、駐留米軍兵士が日本人の少女に暴行したことは、まったく別の問題である、ということです。
誤解のないように言っておきますが、日本人の暴行事件が問題ではないという意味ではありません、それとこれとは別の問題として考えなければならない、ということです。そうでないと、それこそ本質を見誤ります。
この投稿にあるようなことを内閣総理大臣が発言したとしたらどうなると思いますか、内閣は総辞職、衆議院解散です。
なぜ別の問題なのかと言いますと、日本に居住している国民と、駐留軍兵士は同じではない、ということです。
「日米安全保障条約」によって、きわめて不公平な条件の元に、日本の領土の一部を米軍施設として占領し、過去にはベトナム、今はアフガニスタンやイラクを攻撃するための前線基地として存在する、軍事施設に派遣されている兵士による事件だ、ということです。
言ってみれば、本来いるべきでない存在なのですから、1件たりとも犯罪を起こすなどということはあってはならないのです。
分かりやすく言えば、同じ日本人でも、教師や警察官が少女暴行事件を起こしたらどうでしょう。「年間2000件も発生してる」うちのたかが1件として済まされると思いますか。
駐留米兵による事件は暴行事件だけでなく、また沖縄に限らず横須賀でも佐世保でもその他の基地周辺でも、無銭飲食や窃盗、暴力事件などが無数に起きています。それが表面化しないのは、地元民との利害関係や、“あきらめ”があるからです。
また、騒音や暴発・誤爆事故、墜落事故など、基地周辺の住民は常に危険にさらされています。表立った事件にならなくても、ノイローゼや不眠症、乳幼児の生育不全など、その影響は計り知れません。
したがって、今回の少女暴行事件は「2000件」の日本国内の暴行事件の一つではなく、そうした米軍基地が抱える多くの問題のなかで、明らかに表面に出てきた米軍基地関連の大問題なのだという見方が必要なのです。
単なる暴行事件ではなく「米軍基地が存在することによって起きた事件」だということです。
もちろん、誘いに乗ってついていってしまった少女にも問題がないとは言えません。では、「しつけ」ができていなければ、犯罪に遭遇しても文句は言えないのでしょうか。中学3年と言えば、大人と子どもの中間で、身体は大人でも、精神的にはまだまだ自分の欲求が優先される、子どもっぽい要素の方が多い年齢です。
米兵は、本来ならばそのような子どもたちを守らなければならない立場です。「変態」を軍人として採用し、さらに日本に派遣する方が問題でしょう。
「糸満市民」と称するこの投稿者にとっては「(星の数ほどある暴行事件の)1件を取り上げて、政治的議論に持ち込もうとしている」のが間違いだと考えているようです。しかし残念なことに、これはもうすでに政治問題です。
これは「米軍にもっと居続けてほしい」と思っている人々に多く見られるレトリックですが、このような考えの人々の多くは、「駐留軍によって商売が成り立っている」場合が多く、米軍が日本から撤退すると、生活が成り立たなくなるのではないか、とおびえているわけです。
しかし、健全な生活や子どもの将来を考えた場合、いつまでも米軍に依存する生活は考え直すべきではないでしょうか。そして、そのための方法を真剣に考えるべきです。
先日、大田昌秀元知事にお会いした際、「米軍基地がすべて返還されれば、基地周辺で得ている利益の何百倍もの収益が得られる」とおっしゃって、そのことに関する資料が集まったので本を執筆中だということです。
たしかに、米軍に占領されている土地の広さは半端ではありません。それを有効活用すれば、どれだけ沖縄が潤うことか。
市街地のど真ん中にある普天間飛行場。(Google Earth)
◆どうして米軍基地が存在するのか
宜野湾市のど真ん中にある普天間飛行場は長年基地関連被害の象徴とされてきました。墜落事故の危険、騒音など、住民は心の落ち着く日はないと言われています。
あまりに危険度が高いために早急に撤去が必要とされ、検討されてきましたが、政府自民党と米国政府による住民を無視した暗黙の了解で、辺野古に海上基地を作り、そこに移転させようということになりました。
普天間→辺野古移転計画(けしば・新城リーフレット)
しかし、その海域は天然記念物のジュゴンが生息するなど、自然が豊かな美しい海なのです。本国のアメリカでさえ、この移転を疑問視する声が上がっているほどです。
どうして、普天間基地を撤去するのでなく、むりやりにでも“移転”しなければならないのでしょう。
米軍が日本に居座る根拠は「日米安全保障条約」です。これは、憲法九条によって一切の軍備を持たない日本を米軍が守る、ということから始まったものです。
しかし今、日本の自衛隊は世界でも有数の軍事力を持つ「軍隊」にふくれあがっています。事実上、米軍の援助は必要ありません。
「日米安全保障条約」は10年ごとに改定され、内容が改められます。そしていつの間にか、同盟国として「ともに戦う」ための条約に変化してしまいました。
分かりやすく言えば、当初は日本を守るためであったのが、今ではアメリカの戦争に協力するための条約になった、というわけです。
そして、米軍の施設を建設したり維持するのは日本の企業で、そこには莫大な税金が投入されます。すなわち、駐留米軍のために使われる国民の税金はそっくりそのまま大企業の利益になっているわけです。
辺野古の海上基地建設も、日本の企業が請け負うことに決まっていて、「まるでハエがむらがる腐った肉」と言われるほどです。
大企業はすなわち御手洗冨士夫率いる経団連で、経団連からは政府自民党に対し、想像を絶する額の献金が毎年流れています。
この金額は、基地のある地元に落ちる雀の涙とは桁が違います。
日本からすべての米軍基地をなくすためには、すべての国民がカネの呪縛から解き放たれ、「腐った肉」に飛びつかない意識を持つことです。そして、「腐った肉」にたかったハエを、民意という“ハエたたき”でたたきつぶそうではありませんか。
安保条約破棄!
アメリカは日本から出て行け!
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