ひまわり博士のウンチク

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『平和憲法誕生の真実』岩田行雄さんの新刊

2007年12月06日 | おしらせ
『検証・憲法第九条の誕生』の岩田行雄さんが、新たに発掘した資料をまとめた新刊を準備中です。
 事前に申し込みのあった分だけ印刷し発行します。
 増刷の予定はありません。

 岩田さんが国会図書館に通いつめて収集した貴重な資料が満載です。ぜひお求めください。

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講演100回記念限定出版
『平和憲法誕生の真実』(実践的資料集)

2008年4月刊行予定
B5判 208頁 頒価500円(送料別)

『検証・憲法第九条の誕生』の出版合計は23,000冊、講演も11月3則こ通算で100回を迎えました。2時間という限られた時間で、密度の濃い、そしてより良い講演を行なうため国立国会図書館に通い続けて3年以上になります。しかし、講演で伝えることが出来るのは研究成果のごく一部です。平和憲法成立に至る時代は、日本の民主化、再建を求める実に様々な動きがあり、それが複合的な力となっていました。ご要望に応えて、この激動の時代を多面的に捉えるための実践的な資料集をお届けします。

=本書の内容=
はじめに 横綱双葉山を先頭に、協会に対する力士達の民主化運動もあったこの時代
序 章 「真理がわれらを自由にする」:国会図書館初代館長金森徳次郎(元憲法担当大臣)の講演記録より

第一部敗戦前後の日本
☆「美しい国」、「神の国」発言のルーツ 昭和16年の『国定修身教科書』より
☆1945年7月28日 新聞各紙は「ポツダム宣言」をどのように報じたか?
☆1945年10月4日 GHQによる、いわゆる「人権指令」と発令の背景
 1945年10月25日 憲法問題調査委員会(通称「松本委員会」)の設置
 1945年12月16日 婦人参政権確立は「ベアテの贈り物」? それは違います!

第二部 新憲法への胎動と戦後の息吹
☆高野岩三郎、馬場恒吾など、憲法研究会に集った人々の主張と提言(雑誌『新生』に掲載された論文)
☆「憲法研究会」の活動(1945年11月~1946年9月)の全体像
 1946年2月1日付『毎日新聞』より 「改憲案」のスクープ記事と「社説」
☆「憲法の口語化」秘話 25団体と金田一京助、幸田露伴、志賀直哉、南原繁、武者小路実篤、柳田国男、山本有三ら79個人による「国民の国語運動」の主意書

第三部 GHQの文書より GHQ民政局の「憲法草案作成委員会」構成リスト付
 1945年12月6日のレポート(明治憲法分析による問題点指摘と改正点について)
 1946年1月11日のレポート(憲法研究会『憲法草案要綱』に対する分析と評価)
 1946年2月13日 吉田茂外務大臣に「GHQ憲法草案」を手渡した際の記録
 ☆憲法第二章はなぜ第九条だけなのか? 1946年2月22日の会談の記録より

第四部 1945~1946年の三つの世論調査に見る憲法改正に関する国民の意識
 1945年12月19日 内閣情報局世論調査課の報告 回答数287名(未発表)
☆1946年2月3日 輿論調査所の報告 回答数2,400名
 1946年5月27日 毎日新聞の世論調査報告 回答数2,000名

第五部第90回帝国議会衆議院本会議の議事速記録より
 修正案への4項目の付帯決議全文(1946年8月24日)
☆日本共産党が憲法採決時に反対討論で述べた四つの理由:野坂参三議員(同日)
 衆議院本会議での採決の結果(1946年8月24日他)

第六部新憲法公布後
  政府の新憲法普及活動及び法律前文に示された平和憲法の精神

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「恢復」し、進化する大江文学の新作

2007年12月06日 | 本と雑誌
Anabel1 『臈(らふ)たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』を読みました。
 2年ぶりの新作ということで、新聞で知ってすぐに書店で買い求めました。するとそれから、書評やら著者インタビューが新聞雑誌にかなり頻繁に掲載されて、かなり注目されているようです。
 まさに、大江ワールド全開、文脈には十重二十重の意味が含まれていそうで、今までにもまして奥行きの深さが感じられました。
 そのためにサッと読み流すわけにも行かず、読了まで思いのほか時間がかかりました。

 タイトルの「臈(らふ)たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ」は日夏耿之介訳による、エドガー・アラン・ポウの詩「アナベル・リイ」からとったもの。

Anabel2

 ストーリーは「私」(小説家=大江自身)が、親友の映画プロデューサー(伊丹十三らしい)と30年ぶりに再会したところからはじまります。

Anabel3

 かつて二人は、サクラという国際女優(架空の女性=小説家がイメージする理想の女性)を中心に、ドイツの劇作家クライスト(1777-1811 戯曲『こわれがめ』など)の小説『ミヒャエル・コールハースの運命』をクライスト生誕200年記念映画として映画化するため、日本で撮影しようとしていました。
 しかし、主演女優のサクラが幼い時に米兵に陵辱されていたことや、撮影スタッフのスキャンダルが発覚したために計画は頓挫します。

 30年後、その映画を老成したサクラを中心にもう一度やりなおそうとする物語です。

 この小説のテーマは「恢復(回復)」です。挫折を挫折のまま封じ込めるのではなく、それを何十年か後になって、人も環境も異なった時代にあらためて成功にむかって歩み出すという、人間としての「生」の恢復が描かれています。

 氏の初期の作品『芽むしり仔撃ち』や『死者の奢り』からずっと、大江作品に接してきましたが、当然と言えば当然のことながら、文章がきわめて緻密になってきています。油断をして文字面だけを追っていたのでは作品の真意に入り込めない深さが感じられます。
 これを進化と評するかどうかは読者次第でもありますが、まさに「純文学」の神髄、ときには時間をかけて読む、このような一冊に立ち向かってみるのも良いのでは。

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