靖国神社参拝
安倍晋三首相は年内のぎりぎりのタイミングで靖国神社の参拝に踏み切った。「国のために命をささげた方々に尊崇の念を表することは当然だ」と繰り返してきた経緯があり、見送ったとしても参拝に反対する中国や韓国との早期の関係改善は難しいと判断したとみられる。同盟国の米国も慎重な対応を求めてきただけに、外交への悪影響を懸念する声が出ている。
「靖国神社を参拝されたどの歴代首相も人権を尊び、自由と民主主義を守り、法の支配をしっかりと確立するために努力をし、韓国と中国との友好を願ってきたリーダーでもあった。私も思いは同じだ」。安倍首相は25日の日本経済新聞のインタビューでこう語っていた。26日の参拝後も同様の考えを繰り返した。
首相は2006年9月から07年9月までの第1次内閣では参拝を見送った。当時は「参拝するかしないかは言わない」としながら中韓との関係改善を優先した。07年4月の春季例大祭でも「内閣総理大臣」名義で真榊(まさかき)と呼ばれる供え物を奉納したにとどめた。
昨年12月の首相就任後は第1次内閣を振り返り「任期中に参拝できなかったことは痛恨の極みで、気持ちは全く変わっていない」と重ねて表明していた。
終戦記念日など節目で参拝見送りという苦渋の決断をしてきた首相だったが、自らの政治基盤である保守層に配慮するためにも首相就任から1年を迎えるタイミングでの参拝にこだわった。