イランの核兵器産業
粗鋼生産世界第一位の鉄鋼企業ミタルが日本に上陸、新日鉄乗っ取りを画策し、新日鉄側が神戸製鋼等と事業提携する等で、徹底的に抗戦した事は記憶に新しい。とりあえず、乗っ取りは回避された。
この際、新日鉄側は、ミタルと同じインド系のタタ・スティールに支援を求め提携した。
第二次世界大戦中、米国は日本を壊滅させる目的で日本への鉄くず、鉄鉱石の輸出を全面的にストップさせた。資源の無い日本を追い詰める事が目的であった。窮地に陥った日本は、この時、真珠湾攻撃で窮地からの脱出を計り、最終的には敗北した。この時、窮地に陥った日本に鉄鉱石と製鋼を供給し続けたのが、インドのタタ・スティールである。タタ・スティールから提供される鉄鉱石、製鋼を日本に運搬したのが、三菱グループの日本郵船の船舶であった。それ以来、三菱とタタ財閥は盟友の関係にあった。
当時、インドは英国の植民地支配の下にあった。インドの人々は事実上、英国の奴隷同様に使役されていた。車が激しく行き交う車道しかインドの人々は歩く事を許されず、歩道は英国人専用であった。そのため英国人が猛スピードで走行させる自動車に追突され事故死するインド人が後を絶たなかった。しかし殺害した英国人は警察に逮捕される事はなく無罪であった。事実上インドの人々の殺害は自由であり、インド人が歩道を歩いていた場合、英国「紳士」が、そのステッキでインド人を、メッタ打ちに殴る光景が日常的に見られた。
凄まじい人種差別である。こうした人種差別に心底怒りを覚えていたタタ一族は日本が欧米諸国に反撃を開始した事を強く支持し、日本に製鋼、鉄鉱石を供給していた。
今回、三菱重工が仲介し、ミタルに追い詰められた新日鉄に提携の手を差し出したのが、このタタ財閥である。
タタは、製鋼から自動車製造まで行うコングロマリットであり、コンピューター、ハイテク、エンジニアリングといった技術部門が秀でているインド最大の企業である。その企業経営の指南役を担って来たのが、米国のGEである。
GEは世界有数の原子力発電企業であるが、米国は過去20年、原発の建設を行って来なかったため、米国内では原発部門は不要産業となって来た。そのためGEやウェスティングハウスといった原発企業は、その原発部門を日本の三菱重工や東芝に売却してきた。三菱=タタ=GEと言った原発のネットワークが、今回、新日鉄とタタの提携の背後で動いた。
インドのタタ一族はヒンドゥー教徒ではなく、インドではパーシー教徒と呼ばれる、イラン出自のゾロアスター教徒である。タタの源流はイランであり、現在イラン・プロジェクトと呼ばれる年産300万トンの製鋼計画を、タタは故郷イランで推進している。最終的には500万トンに持って行く計画である。
米国はイランを敵視しながら、実は「産業のコメ」であるイランの製鋼をタタ=GEが生産し、米国の核兵器産業のGEこそがイラン経済の根幹を作って来た。ここにはイランの核兵器開発を米国のGE、ウェスティングハウスが影から支え、そこに三菱重工等、日本の原発産業が関わってきた姿が、浮き彫りになって来る。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます