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英国総選挙メイ首相敗北と日本国民の選択

2017-06-10 12:01:14 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

英国総選挙メイ首相敗北と日本国民の選択




6月8日に実施された英国の総選挙でテリーザ・メイ首相が率いる与党保守党が過半数割れに追い込まれた。


保守党は第一党の地位は維持するものの単独過半数を獲得できず、政権を維持できるかどうかは微妙な情勢である。


英国下院の定数は650。


326議席が過半数だが、未確定議席が7になった段階での保守党獲得議席が313で過半数に届かないことが確定した。


改選前議席数は330だった。


英国下院の任期は5年で任期満了は2020年だった。


メイ首相は昨年7月の首相就任以来、総選挙は2020年まで行わないとしてきたが、4月18日に突然選挙の前倒しを表明した。


EU離脱交渉の開始を目前に控えて、


「この先数年にわたって確実に、安定した政権運営を保証する唯一の道だ」


として議会解散、総選挙の実施を選択した。


メイ首相は総選挙に大勝して、多数議席の力を背景にEU離脱交渉に臨む方針を示していたが、この思惑が崩壊した。


最大野党の労働党コービン党首は、今回の総選挙はメイ首相が基盤を強化するために解散したことに伴うものだったと指摘したうえで、


「メイ首相は与党・保守党の議席を減らし、信頼を失った。辞任の十分な理由となる」


と述べて、メイ首相の辞任を求める考えを示した。


主要メディアは解散総選挙が打ち出された段階で、与党保守党の圧勝を予測していたが、またしても現実がメディア予測を覆した。


英国でも民主主義が健全に機能していることが証明された。


お隣の韓国でも、大統領が政治を私物化しているとの疑惑が浮上したことに対して、大統領を反対与党の代表者に交代させる意思を選挙によって実現した。


お隣韓国でも民主主義が健全に機能している。


これに対して、日本では、民主主義が一種の機能不全に陥っている。


森友・加計・山口の「アベ友三兄弟」に対する国家権力による便宜供与、利益供与に関する疑惑が沸騰している。


この疑惑に対して、安倍首相は


「自分や妻が関かかわっていたなら総理も議員も辞職する」


「働きかけていたなら責任を取る」


などの発言を国会答弁で明示した。


その後、妻の昭恵夫人の関わりが客観的には明白になり、


加計事案では、中央省庁の内部文書において


「総理のご意向」


などと明記した文書が発見されている。


国会における発言に責任を持つなら、安倍首相は辞任し、議員も辞職しなければならないことになるが、責任を取ることはおろか、説明責任さえ果たさない状況が続いている。


国会会期末を目前に控えて、与野党の駆け引きが激化しているが、政権の退陣、国会議席構成の抜本的な是正が実現する見通しはまだ見えてこない。


英国のEU離脱国民投票、米国でのトランプ大統領誕生、韓国での文在寅大統領誕生、そして、今回の英国保守党の敗北は、いずれも


反グローバリズムの旋風


によるものである。


グローバリズムとは


「大資本の利益を極大化するために、国境を超えて、経済社会を市場原理のみによって動かすことを目指す」


「巨大資本による運動」


のことだと理解するが、このグローバリズムの本質を見抜いた主権者が、世界各地で反グローバリズムの旗を掲げ始めている。


フランスでも市場原理ですべてを動かそうとするグローバリズムへの反発が強まったが、結果における平等を重視する左派勢力が連帯せず、グローバリズムの信奉者と見られるマクロン氏が新大統領に就任した。


グローバリズムは資本の利益極大化を目指すものであるから、労働者の獲得できるパイは縮小する。


1%の資本家に所得と富が集中し、99%の労働者が下流に押し流される。


この流れに反対する主権者の声を、政治勢力が吸い上げられるかどうか。


これが政治刷新を実現する要件である。


英国で労働党が躍進したのは、グローバリズムに反対する主権者の声を吸い上げることができたからであると思われる。


日本でもようやく安倍政権の政治私物化、腐敗政治に主権者が目を向け始めた。


メディアの「印象操作」によって、安倍暴政の現実に目を向けない主権者が多数残存しているが、非常に緩慢ではあるが、真実に目覚める主権者は増大しつつある。


問題は主権者の覚醒を促し、主権者の連帯を牽引する


「たしかな野党」


が確立されていないことだが、この条件をクリアすれば、日本でも民主主義の機能を回復することが可能になると思われる。


明確な方針、戦略、戦術を構築して事態を打開するしかない。






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