龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCのファンです。
いわきFCの応援とキャンプ、それに読書の日々をメモしています。

『図書館島』ソフィア・サマターを読むべし。

2019年09月30日 14時43分28秒 | 相聞歌
カテゴリーが相聞歌なのは、この作品がある意味で「鎮魂」と「書くこと」とが、重ねられた物語でもある、という理由による。

個人的に、今の私が読むのにもっともふさわしい物語、だった。

主人公は、辺境の島に生まれ、大きな商人の家の息子として育つ。その島の人々は父親も含めて文字を知らなかったが、帝国の町から父親が連れてきた家庭教師によって、少年は島で唯一人文字を知り、書物を読み、物語と詩を愛するようになる。

突然亡くなった父に代わって商人として帝国の港町に旅することになった主人公ジェヴイックは、書物の中で憧れていた町ベインに到着すると夢見心地でその町を堪能するのだが……。

そこから、文字をおもんじる「石」の教団と、天使の声を重んじるアヴァレイ教団との間の国を分断する争いに巻き込まれる主人公は、書物を愛すると当時に「天使」の声をも聴く存在として、困難な旅をしていくことになる。

素敵なファンタジーです。
あと100ページを読み切るのがもったいないなあ。
個人的にも、心に沁みるお話です。
よろしかったら秋の夜長のお供にぜひ。
作者はかなりの言語=詩=物語フェチ、という印象。
学者の書くファンタジーらしい、といったら偏見が過ぎるかな。

もう一度、面白いです。


熊野古道(16)

2019年09月29日 18時55分33秒 | 相聞歌
参道の階段を上る途中の右側に宝物殿のようなものがあったので立ち寄ると、そこの管理人の方がおもしろいことを話してくれた。その方は民間出身(もともと神職ではない)で、サンチャゴにも行ったことがあるのだという。
宝物の説明をたくさん聴いたのだが、その話が印象に残ったのだ。
世界遺産に指定されるという動きの中で、「サンチャゴの如くに」という形での運動というか、働きかけが世界遺産選定に際してあったのではないかなあ、と想像できる。
別にきちんと調べたわけではない。しかし、そういう感じはあるのかもしれないなあ。
実際、高野山から熊野までの三泊ほどかかる小辺路と呼ばれる熊野古道は、ヨーロッパから来て歩く人が多いのだそうだ。

熊野本宮大社は驚くほど熊野大社しかない、という印象。全く観光地の気配がしない。時間がないとここまではなかなか来れないということだろうか。



もともと熊野本宮大社は熊野川の中州にあったものが、明治期に洪水で流されてしまい、今の場所(川の西側の高台)に移築されたのだそうだ。

写真は元々あった中州のところ(大斎原-おおゆのはら-)に立っている鳥居。でかい。こんなの、見たことがない。

こちらはそれを山の中腹の中辺路から見たもの。

安藤栄作さんの作品。

2019年09月29日 16時56分31秒 | 大震災の中で
円空賞を受賞し、現在パリで個展を開いている安藤栄作さんの作品を、ようやく手に入れました!
福島県いわき市のギャラリー創芸工房で2人展をの最終日と知り、駆け込みで見に行ったところ、書斎に置けるジャストサイズの展示作品があったので迷わずゲット。

「空気の狭間」


安藤さんが作品空間で産み出している空気の流れを、今日からは自室で味わえます(幸せ)。

熊野古道(15)熊野大社へ!

2019年09月29日 14時06分36秒 | 相聞歌
那智大社参拝後、ちょっと新宮に寄って和歌山ラーメンを食す。店名は「速水」。あっさりした細麺のラーメン、食べやすかったです。スープは豚骨の醤油かな。何とか商店で修行中と書いてありました。調べたら井出商店という、らーめん屋さんの流れを汲むとか。
わかんないけど、おいしかった(^_^)


さて、腹ごしらえをしていよいよ熊野大社へ。
車で20km以上山の中に。ただ、高度を上げていく感じはせず、川沿いに遡行していくという印象。歩いたら大変なのでしょうが。

当時は、大阪の方から紀伊半島をぐるりと回っていく紀伊路(大辺路)が熊野詣での道としては主流だったと理解していたけれど、伊勢路と紀伊路どちらも使われていたんですね。
いずれにしても都から遠くて、しかも宗教的・文化的に重要な拠点であることが大切だったんでしょうね(お伊勢さんが盛り上がるのはもう少し後ですよね)。

それから、全国の熊野神社の数にはびっくり。福島の多いこと!全国一じゃん!?


2019年型C220dとMazda6 (ディーゼルターボエンジン車)を比較

2019年09月29日 12時44分19秒 | クルマ
マツダ6 はたしかにいい車だと思う。
試乗してみて欲しくなった。

最高速を求めるならガソリンエンジンだろうが、発進&中間加速、そして高速道路のクルージングを求めるなら、燃費の問題も含めてディーゼルターボエンジンが優っている。

加えてマツダ6はデザインもいい。内装だって悪くはない。

しかし、最終的に選んだのはMercedesベンツのC220d(2019年型。2.0Lになった新しい方)というディーゼルターボ車だった。

値段はそれほど変わらない。
マツダ6は新車でざっと450万円~480万円。
C220dは(新車なら600万円超だが)ディーラー登録の新古車3000km走行で480万円~500万円。 どちらもオプションはフル装備だから、そこから値段がそう高くなるものでもない。  

お互いナビも純正だし(便利な面もあるけどナビ自体としては我慢)。

エンジンはおそらくMazda6の方が音も静かで振動も少ない。対するC220dは止まっているときのアイドル音とかアイドルストップからの復帰時の振動とか、比較すると明らかにマツダ6よりやかましい。そういう面でのエンジンの技術自体は、Mercedesはマツダにかなわないという印象だ。
低速から踏み込んだときに小さなカラカラ音が少し聞こえるのもMercedesの方だ。

いろいろと比較すると、マツダ6のディーセルターボエンジンは確かに良くできている。

だが、私はC220dを選んで正解だったと感じている。

その大きな理由の一つはATの差だ。

マツダ6は6段ATなのに対してC220dは9段AT。

この差は決定的である。

止まっているときには明らかに静粛性でマツダ6に劣っていたC220dだが、いったん走り出してしまうと音が気にならなくなる。おそらく多段ATが低回転領域を次々にしかもスムーズに選んでくれる効果が大きいのだろう。

遮音対策ももおそらく奢っているのだろう。確かに外の音は聞こえにくい。
もしかするとお金をかけて軽量化した分のマージンを遮音に振っているのか。そうだとすれば高い高級車らしいやり方なのかもしれない。

音だけではない。多段ATはMercedesのディーゼルターボエンジンを非常になめらかにコントロールしてくれる。
このセットで考えると、C220dの方に軍配を上げたくなるのだ。

それに対してマツダ6は、あのディーゼル特有の、不要なトルクがアクセルのオンオフでまとわり付く感じがある。

つまり、ATが6 段変速であるぶんだけ、こちらがその有り余るトルクをアクセルでコントロールしてやる必要がある。smoothさに少し欠けるのだ。

もしかすると、MTでディーゼルを操る場合はいいのかもしれない。しかし、ATで乗ろうとするなら、C220dの9段変速ATの細やかなギア選択にかなわないのである。

かといってマツダ6は、(MTで乗る)ディーゼルスポーツとしては、高速域の伸びがイマイチだ。C220dは高速道路での加速域の伸びがマツダ6よりもスムーズでかつ頼りになる(具体的な速度は書けませんが)。

ATで乗るならC220dの9段にかなわないと感じる所以である。
後は同じ値段で(中古だから比較するのはよくないですが)C220dにはオプションのエアサスも(たまたまだが)ついてきた。これが秀逸だった。

決め手はディーゼルターボエンジン自体ではなく9段ATとエアサスだった、ということになる。


繰り返すが、マツダのクルマはすてきだ。魅力もある。たが、エンジンを含めたトータルなテイストでは、もう少し何か、が欲しくなる。

SUBARUや日産にはパワフルなエンジンがある。トヨタにはハイパフォーマンスエンジンもあればハイブリッドもある(私は要らないけど)。
マツダにもう少し何かがあれば、未来が見えてくる。それはおそらく高価格化と引き替えだから簡単ではない。しかし、テイストを追求するなら、避けて通れないところだと思う。

以上、簡単な比較の感想でした。






熊野古道(14)那智の滝

2019年09月18日 20時35分15秒 | 相聞歌
那智の滝はやはり迫力がある。
修験者を惹きつける力がある、というのが実感できる。
本地垂迹とか反本地垂迹などよくわからないけど、江戸的にいってしまうと「見立てとやつし」
みたいなものだろうか(違うか……)。とにかく、神道と仏教と修験道とが微妙に重層化しつつ、平安・鎌倉~江戸・明治に連なる様々な宗教的重層性の見本市のようなものかと。




下まではようやくたどりついたけれど、その奥にある参拝の場所まではいかずに手前でゼイゼイしてへこたれていました。同行者はもちろん滝のしぶきを浴びて拝んできたそうな。
御利益に差がでそうです……。

因みに八咫烏(ヤタガラス)の由来のが、熊野にはたくさんこんな形で。


熊野古道への道(13)

2019年09月17日 05時00分21秒 | 相聞歌
☆8/21いよいよ那智大社へ。

朝食を取った後、バスで駐車場までおくってもらい、すぐに那智大社へ。熊野三社の二つ目、そしていよいよ今日は目的の熊野古道である。
勝浦から山を登っていくとほどなく中腹に参道入り口が見えてくる。大社のすぐ脇まで登った所に参詣者用の駐車場があるのだが、同行者にキツくダメ出しされ、下のバスプール脇の駐車場(その日は解放されていて無料だった)にクルマを置いてそこから歩いて登ることに。 

友人は急な坂と狭い道がひどく苦手らしい。
「あんな道は登るものじゃありません!」
の一点張りである。
まあ、目的は熊野三社巡りだから歩くのは正しいわけだが、友人の「ビビる」様子が興味深く、つい「クルマで登ろうよ」と言い募ったがところ、かなり本気で怒りだしそうなので、途中で止めておいた。

登り始めてみると、昨日の神倉神社の石段から比べれば楽勝である。ほどなく那智大社に到着した。
夫須美神(ふすみのかみ)を祀るという。
これがどんな神様か、由来はよくわからない。一説にはイザナギとも言われるらしい。もしそう考えた場合、昨日お参りした新宮にある熊野速玉大社の速玉大神がイザナギ、ということになって一対とされるのだろうが、神様がいったい「誰か」というのは千年近くの、歴史を無視したお話、というべきなのかもしれない。

そしていよいよ熊野古道。
これは那智から熊野に向かう道(中辺路)か。
しかし、ここにクルマを置いたままであるため、しばらく登って降りて来るよりほかになかった。


ここでは雰囲気を味わうにとどめ、隣のお寺へ。

那智大社の社殿に隣接して青岸渡寺というお寺がある。 


もともと那智大社のあるこの場所は修験者の修行の場所だったらしく、お寺と共にいろいろ歴史はありつつ栄えてきたものか。

廃仏毀釈で熊野大社と速玉大社はお寺がなくなったのに、ここ那智大社では残ったというのも不思議な話。
元々(というか歴史がありすぎ私にはて切り分けられない)、神仏習合の風習もあり、修験道の流れもあり、熊野の三社は様々な宗教的聖地の意味を持ち続けできたものらしい。
特に那智大社には那智の滝もあり、霊性のあるスポットとして早くから重視されてきたという話には納得がいく。

青岸渡寺の三重塔から那智の滝を望む。



熊野古道への道(12)

2019年09月17日 04時39分17秒 | 相聞歌
新宮の神倉神社の御燈祭りは、松明をもって石段を駆け下るのだそうだが、暗いところであの不整不揃いな石段を下りてくるのは命懸けだと思う。そのめいめいが持つ明かりの様子は「下り竜」とも言われるとか。

そんな話を地元のおじいさんにうかがってから、那智勝浦町へ。
この日は勝浦のホテルに宿泊。
生マグロ食べ放題のバイキングスタイル。さすが我が友人のチョイスで、楽しくいただいた。それにしてもアイスクリームの(デザート)食べ放題は(食べ過ぎ)危険だと思う。この年になってもついつい危険水域までとうたつしてしまいそうで……。美味しいのが罪深い(笑)。


マグロも鰻も美味しかったのだが、個人的には生シラスをご飯に載せて食べるのが一番おいしかった。シラスは三回ぐらいお代わりをして堪能。

温泉は波打ち際にある岩場の露天風呂で、とても迫力があったが、たどり着くまで部屋から5分以上かかる。お年寄りにはちょっと大変かも……(ホテル浦島)。ただしこのホテルは何棟もあり宿泊場所によってお風呂からの距離もかなり違う(しお値段も違う)。大きくて有名なホテルっぽい(友人にとってもらったのでなにも調べていないが)ので、よく確認してから部屋を予約するのが吉、かな。

さて翌日はいよいよ那智大社へ。ようやく熊野古道を歩き出します。

熊野古道への道(11 )

2019年09月14日 17時23分38秒 | 相聞歌
いよいよ熊野三社農地の一つ、熊野速玉大社に参詣する。


駐車場はそれほど大きくない。

境内で売っている小さな柑橘類を求め他のだが、それがすこぶる美味であった。
一昨年の夏だったか萩を訪れたときに、松下村塾の前で売っていた細長い不思議な柑橘も旨かった。それは後で調べると弓削瓢柑という名前だった。
今年の春の季節)を待って取り寄せ、妻と一緒に食し、またジャムにして食べた。

この速玉大社の小さな蜜柑は亡妻と一緒に食べることができなかったけれど、土地の味は記憶に残る。取り寄せるようなものでもなかろうが。

さくっとお参りして宿に行こうか、と思ったところ、同行者が是非とも行きたい神社があるという。速玉大社の裏の山にある神倉神社。石段が550余り。気が進まなくてかなり、ぐずぐず行ったのだが、友人のネツイニマケテ石段を登り始めた。
しかし、石段というものは作り方によって登りやすさの難易度に大きく差がでる。
ここの石段はメチャクチャ急で、、本当に死ぬかと思った。

織田信長が作ったといわれる安土城の石段も登るのが大変が、アレは元々普通に人が歩いて登るものでもなさそうだ。歩幅が広く、段差も高い。
対してこちらの石段は、階段の幅が狭く、傾斜が急だ。チョットシタ修行である。写真を撮る余裕もなく、ゼイゼイしながらそれでも、500段余りを登り切った。最初の100段ちょっとがかなり急なので、年輩の方やお子さんは注意が必要。

登り切ってみれば新宮の町と海を一望できる景観の良さ。汗を流すだけの価値はある。


降りてきたところで、地元の人からここにはいわゆる火祭り、「御燈祭り」というものがあると聴いた。
調べてみるとかなり有名なものとか。
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=%23&ved=2ahUKEwiTreSVpdHkAhVCw4sBHf0pAhQQwqsBMAB6BAgKEAQ&usg=AOvVaw0VTJzWxrN8ZFOD4xbU2nov

熊野古道への道(10)

2019年09月14日 17時15分56秒 | 相聞歌
ようやく速玉神社、なのだが、その前にある佐藤春夫記念館(旧宅を移築した上で記念館として公開)に寄る。




大岡昇平の両親や有吉佐和子は、和歌山の出身だという。ジャンルは異なるが、紀伊にはぎゅっと核の揺るがない書き手がいる、という印象。
佐藤春夫の『たそがれの人間』と『蝗の大旅行』を改めて読んでみたくなった。

熊野古道への道(9)

2019年09月14日 17時05分44秒 | 相聞歌
新宮は熊野速玉大社がある。いよいよ熊野古道を歩く、というか神社は街中近くだからからくるまですぐいける。
その前に、中上が8mmで撮影した!小説群の舞台にもなっている露出の跡を訪ねてみた。人権教育センターに車をおいていいよ、と図書館の方に教えていただき、その辺りを散策する。


この看板は、路地の後に建てられた市営住宅の片隅に立っている。
中上の生家とかかれているところはその、市営住宅の一角か?
近くに比較的昔の家が残っている線路沿いの家並みがあったので写真に。


いずれにしても再開発されて久しいのだろう。8mmの中の映像を重ねて想像するよりほかになかった。

國分さん「ハンナ・アレントと哲学」③

2019年09月10日 09時41分37秒 | メディア日記
次にイントロの最後として國分さんが触れたのは、アレントの生い立ちだった。
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そんなこと知ってるよ、という方も多いと思います。しかしここは重要な点と関わってきます。

1906年ドイツ生まれ。ユダヤ人中産階級。父はギリシャ語やラテン語の本を持っていた。富裕な家だった。彼女は幼少よりギリシャ好き。
驚くべきことに14才で哲学を志す。すごくないですか?
1920年代のドイツは新カント派→現象学の時代。
アレントはハイデガー、ヤスパースに師事し、フッサールの講義も受けている。豪華なラインナップ!
まだ主だった著作を書く前のハイデガーをリサーチして、その大学を選んでいる!
彼女は終生カイデガーを(明示的には?)批判していない。関係は単純ではない。
ちなみにベンヤミンとも面識があった。「暗い時代の人々」で、ベンヤミンはいつも暗い所へ行く人だ、といった意味のことをいっている。

ちなみにわたしがパリに留学したとき、師事したバリバール先生に
「功一郎君は遅れてきた。生きているのはデリダだけだよ」
と言われた。アレントはそういう意味ではすごい時代をくぐり抜けてきた。

また、アレントは常に母語であるドイツ語を大事にしていた。著作は英語で書いたが、いつも知人にチェックしてもらっていた。
最後まで英語は彼女にとってどこかぎこちないものではなかったか。

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さて、國分さんがここからどんな「重要な点」を考えていくのか、それは第1回(今回)では明らかにされていません。これからの楽しみ、ということになりましょうか。
彼女にとっての「哲学」、ハイデガーとの関係、私的領域と公的領域の関係など、いくつかポイントは考えられるが、展開が楽しみ。

以上でイントロは終わり。
次は哲学と政治の関係について。三田のアレント学会で発表された論文の内容を踏まえたお話に。

Mercedesのc220d購入記その⑦(終わり)

2019年09月09日 22時03分23秒 | クルマ

さて、やっとC220dの契約を本気でするに至りました。
オプションは全部入っていて、新車価格が710万円。新古車だからそれが500万円弱。諸経費含めると500万円をオーバー。

ETC2.0もあり、カメラもつけてくれ、車体のコーティングもつき、だというので、低年式のデミオに下取りを変えて、ざっと総額500万円。
レヴォーグの下取り200万円とすれば、300万円での購入になりますが、家族価格でレヴォーグを購入してもらったので実質三百数十万の支払い。
でも、ワゴン4WDをいつでも家族から借りられるメリットがあり、自分で2台持ちする必要もなく、息子も満足。

というわけで、契約することになりました。
だいたい納得したものの、しかしどうしても新古車とはいえ実車があるのに試乗しないでお金を払うのはちょっと、ということで、ナンバーが付いた時点で試乗をさせてもらうことにしました。
試乗といっても契約自体は済ませているので、異常がなければ支払いはするわけですけれど、まあとにかく乗ってみないと。

結果、さくっと一回り乗っただけですが、一応納得。支障はないからとにかくディーゼルターボを乗り倒そうと決意。

2019年9月5日が納車になりました。

納車のとき、ドキドキした度合いでいうと、ロードスターNCの時以来でしょうか。ロードスターは初めて乗ったときがあまりにも一大衝撃だったので、納車のときはワクワクしたものの、出会いのドキドキはそれほどでもありませんでした。
このC220dはワクワクというよりドキドキの方が強かったように思います。
右側のコラムがシフトノブ、左側がウィンカー(とワイパースイッチ)なので、「左、左」と呪文を唱えながらの初日運転でしたが、感想は

「圧倒的に素敵」

でした。用途や好み、道具に対する姿勢によって全く違ってくると思いますので、何がいいかはあくまで人それぞれですが、私にとって、そしてCクラスを乗るという点からいうと、余裕のある、そして高回転まで回して飛ばすものではないこの2.0リッターのディーゼルターボのエンジンは、Cクラスらしさを味わうために最適解だったと思います。

元来、レガシィ、レヴォーグの前はロードスターNCを10年乗っていたわけで、私はどちらかというと多動症的にハンドルを切っていれば楽しいタイプです。メルセデスに乗る理由は、その性向からいえばそんなに強くありませんでした。ただ、亡妻がメルセデス好きで中古のAを乗っており、息子にも強くCクラスワゴンを勧めて載せていたので、彼女がブランド好きなのは知っていました。
5月に彼女が亡くなって、気分を切り替えようと思っていたときに、思い出したのが去年買おうとして諦めたCクラスでした。
仕事を辞めたらゆったり彼女と長距離の自動車旅行をしたいね、と常々言っていたことも思い合わせ、ゆったりといい気持ちで長距離を旅する最適解かもしれないと考えてc220dを購入したのでした。

買った当日に福島往復、翌日に東京往復、と600キロ強を運転しましたが、燃費はいずれも車載のコンピュータで23km/L~24km/L。満タン計測でも20km/Lを越えていました。

唯一気になったのは、コンフォートで低速発進したときに、意味なくギアチェンジ前に回転が上がるという挙動があったことでした。
普通燃費重視なら、2000回転より下でギアチェンジしても良さそうなのに、意味なくギアを保持してしまう瞬間がたびたびありました。
アクセルの踏み具合で回避できるのでしょうが、発進直後だけときたま、なのでちょっとまだ把握しきれていません。

あとは、不満なし、かな。

運転支援系のシステムは、ブレーキを踏みきって停止するときの感触は、レヴォーグの方が自然です。最後までぎゅっと踏むのがC220d。ふっと最後に人間にちかく衝撃をなくしてくれるのがレヴォーグ。アイサイト、やるなってところです。
しかし、アタブティブヘッドライトはLEDで細かく対向車が眩惑しないよう制御してくれるシステムが秀逸。マツダと並んでいますね。レヴォーグは上下の制御だけです。
あとは、車線中央維持装置は、レヴォーグはスイッチが入ったり切れたりが忙しく、そのたびにピカピカアラートが出るので人によってはうっとおしく感じることがありそうです。
メルセデスの場合、どんなカーブでも支援してくれるという訳ではありませんが、トレースしきれなくなると悲鳴を上げるということではないので、むしろ副操縦士という感じの役割を果たしてくれる相棒、といった趣です。

全般に、メルセデスの方が「執事」がそこにいる感があります。レヴォーグはあくまで運転者が運転していて、機械は弱いしかし適切な支援をする黒子に徹している感じです。
メルセデスの方が自動運転に近いスタンスかもしれません。たぶん会社はそういうことを絶対(責任とれないから)言わないと思いますが。

あ、思い出しました。

一つc220dが、高速でインフォテインメントシステムがハングアップしました。まあどこのナビでもタイミングによってはハングアップしますが、まだリセットのやり方を聞いていなかったのでいささか焦りました。
コンピュータでいろいろな制御をしている分、止まってしまうと何もできないので、これは気をつけてほしいところ。
ま、コンピュータだからある程度は仕方がないですね。
スイッチがコンソールにあって、長押しすれば復帰する、と教えてもらいました。


高速の伸びというか加速の自然さはマツダ6よりいいかも、です。もう一度向こうに乗ってみないと正確なことは言えませんが、高速道路ではメルセデスに一日の長かな。高速なら車線自動変更もc220dはできますし。

いずれにしてもレヴォーグ、C220dどちらも、高速道路なら135km/h(レヴォーグ)あるいは220km/hまで自動セットができ、ハンドルさえ握っていればほぼ自動で前車に追随してくれるので、半自動運転といってもいいぐらいです。
スカイラインに搭載されたプロパイロット2.0のように、絶対に高速の速度規制を守らなければハンドルを離せない「タコな」システムよりはよほど役にたちます。
今のところ、社長交代が続くこともあり、「どうしちまった日産」ですねえ。スカイラインに法定速度守らせて自動運転して、何がほしいのか分からないですね。

それと、やっぱりエアサスは私の好み、というかメルセデスのイメージにぴったりでした。
コンフォートかスポーツプラスかを選択すると、だいたい乗り心地の方向性二つ(ゆったりとしっかり)をカバーできるので、快適です。
これは道路と気持ちと速度とに併せて切り替えるのが吉。マメに変える価値はあると思います。人によっては余計なこと、と思うかもしれませんが。そして、故障のリスクはバネ式より確かに大きいのも事実でしょうが。
それでも、この快適さは選ぶ価値あり、だと思います。


結論

「高速道路を中心に、長距離をゆったりとクルージングするとすればC220dは最良の選択」

これからそういう使い方が多くなるので、ゆっくりパートナーとしてなじんでいきたいと思います。



Mercedesのc220d購入記その⑥

2019年09月09日 21時10分14秒 | クルマ
C220dの話になるといいながら、今回はマツダ6のお話です。

マツダさんに事情を正直にお話して試乗させてもらいました。
これ、いいクルマです。
みなさんご案内でしょうが、ディーゼルエンジンの振動や音はきれいに押さえられていて静かだし、トルクフル。
ただ一点、アクセルワークはトルクがある分だけ気を遣うかな、とも思いました。

これは後で気がつくことなんだけれど、マツダ6(アテンザ)は6速ATなんですよね。
C220dは9速ATだから、トルクの乗りがよりスムーズ。アクセルワークに気を遣わないのはC220dの方かもしれないと思います。

マツダ6も内装は十分上質で、デザインもカッコいい。
これで新車購入でC220dの新古車より数十万円も安いとなると、マツダ6もいいなあ、という感じになります。

ただこれもミッションとの関係もあるのかもしれないけれど、高速道路に入ってからの加速も、C220dの方がスムーズというか力が前に出ている感じがありました。
音はマツダ6の方に軍配が上がりそうな気がします。

というわけで、ギリギリの見積もりということにはなりませんでしたが、比較対象の感触を得たところで、翌日メルセデスへ。

ところが、なんと自賠責を切っているのでC220dの実車運転はできないとのこと!
これはちょっと残念というしかないですよねえ。
少しでも乗れるかと思っていたのに。

ただ、クルマのプールに実車がおいてあるので、その場で乗り込み、エンジンをかけることはできました。

静か。
エンジン音それ自体はたぶんマツダ6の方が穏やかなのですが、メルセデスは遮音が違うのだと感じます。店の外を走っているクルマの音が聞こえてこないんですよね。
ドアを開けれると(かなり静かでディーゼルエンジンはうるさいのイメージとはもはやかけ離れているものの)カラカラと音はします。
しかし、中では間違いなく静かです。

内装は、マツダ6を乗ったときにはこれで十分、と思ったのですが、比較するとやはりメルセデス。100万以上値段が違うだけのことはあります。
内装色もつや消しの黒の木目。

「これに乗れたらいいな」

という思いが強くなってきました。

さてしかし、300万ちょっとでC220dを購入するためには、レヴォーグを下取りにしなければなりません。結局レボーグに支払った300万円を含めると、総額600万円になります。
たしかにフルオプションのC220d(レーダーPも、AMGも、レザーシートパッケージもついている)は新車で710万円。新古車だから総額600万円とはいえ、当たり前に私の常識を(すら)大きく越えています。



クルマはぜいぜい300万まで、という感覚があります。
友人が最近購入したマツダ2のディーゼルターボの4WDが300万弱。
去年私が買ったレヴォーグ1.6GT-Sが320万ちょっと。
友人が買ったプリウスでも新車は330万円ぐらいはしたそうです。

給料をもらって普通に生活している人の感覚はそんなところだと思います。
クルマに興味がない人なら、感覚は約半分の値段になるでしょうか。
軽自動車の新車が150万円~200万円ですから(高いですねえ、軽も)。

中古にするとかなら選択肢は増えますけれども。

「これは無理」

そんな感じに落ち着きそうになりました。
さてしかし。

そこでふと、家族が乗っているデミオが古くなっているなあ、と思いつきました。
家族がもし、レヴォーグに乗るなら、そして現在市場価格が250万円程度のレヴォーグを100万円引きぐらいの150万円で買えるとしたらどうだろう?

そんな「奸計」が頭をよぎりました。
家族にそれを打診すると、最初は唐突すぎて拒否反応を示したものの、冷静に考えたら悪くない話だね、となり、今乗っている7年落ちのデミオを下取りにして、150万円で私のレヴォーグを家族内譲渡する話がまとまりました。


ということは、家にレヴォーグとC220dの2台をそのまま置き、かつ出資は300万程度に抑えることができ、家族も満足し私も満足できるということではありませんか?!

これを読んだ冷静な人はきっと呆れていることと思います。

そうです。

クルマを買うおじさんなんて、こんなものです(苦笑)。

しかし、4WDワゴンとディーゼルのセダンを家においたまま、家族はデミオからレヴォーグにアップグレード、私はC220dが乗れるという素晴らしい計画に魅了されていったのです。

まだ実車試乗もしていないというのに(笑)。

國分さん「ハンナ・アレントと哲学」②

2019年09月09日 18時04分55秒 | メディア日記
國分さんのアレントに対する相性の悪さ、つまり「ツン」を前回書いた。
今回は「ツンデレ」の「デレ」についてメモから起こしてみる。

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この五年ぐらい新しい政治的動きがある。民主主義的な動きだ。アメリカ、イギリス、EU、そして日本でもその動きはある。
これらを考えるときに、何が手がかりになるのか、といえば、アレント以外にいない。
 1950年代の段階で、現代のプロトタイプを分析した。
20Cの初期大衆社会を見ながら「今の世の中」を見事に分析している。、それはつまり、1930年代ワイマール期に初めてサラリーマンが一般化した瞬間でもあった。

この分析は恐ろしいほど現代社会に当てはまる!
言ってみれば現代社会に対する深刻な危機意識が私(國分さん)をアレントに向かわせている。

これは「挑戦」のつもり。
アレントの「保守主義」が必要なのではないか、ということでもある。

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以上イントロの「ツンデレ」メモでした。
ここからはまた後で。