■高橋洋一氏は元財務官僚で、小泉内閣では竹中大臣の補佐官をつとめ、いまは大阪市特別顧問で、橋下市長にもいろいろ提言している。こういう経歴だから、いまでも氏はあちこちで意見を求められてひっぱりだこだ。
■氏の主張は、簡単に言うとこうだ。
■「消費税を上げる必要はない。日銀がカネを大量に印刷して国債を買えばよい。そうすると市中のカネまわりがよくなるから、国民は節約をやめて、モノやサービスを買うようになる。するとそれを供給するための仕事が増えて、失業も減り、税収も増える。多少円安になるかもしれないが、ハイパーインフレなど起こるわけがない。事実、自分が政府内にいるとき、国債日銀引き受けを毎年やったし、2005年には23兆円も引き受けた。だが何も起こらなかった。」(日経ビジネスOL3/21より要約)
■たしかにこれまでも日銀引き受けを大量にやっている。しかしそれは、新規発行の国債は買わずに、発行済みのものを、表だって宣言せずにコッソリ買っていたから、円の国際的信用が失墜せずにいただけだ。
■カネの価値の正体は「通貨発行当局の信用」という無実体なもの。政府や日銀が、財政再建のためと公言して、カネをじゃんじゃん印刷し始めたら、いったいどうなるか。
■まず円の信用が、アッと言う間に落ちていく。全世界で一斉に円売りが始まり、円安が加速する。水増し宣言された円なんかもっていると、大損するからだ。
■次に国内の資産家が、これまた一斉に円の預金資産を外貨や別の資産に変え始める。資産家が海外に逃げ出す。銀行によっては取り付け騒ぎが起こるところもあるだろう。
■いま円の信用が高い(円高)なのは、日本はそういうバカなことをやらない真面目な国だと、世界の人々が認識しているからだ。
■なるほど、いま50兆円くらいの新規国債の日銀引き受けをやっても、「震災復興のための特例」とかきちんと理由をつけてやれば、円の暴落は起きないのかもしれない。
■しかし国の税収は毎年40兆円近く足りないのだ。これから毎年40兆円もの新規国債の日銀引き受けなんか、やれるわけがない。そんなことを政府や日銀が公言した瞬間、10分もしないうちに、円は最低の線まで暴落するだろう。
■そしてハイパーインフレになり、日本のカネは誰も信用しなくなり、国民でさえ通貨を使うことをあきらめて、物々交換をしたり、コメやガソリンを通貨の代わりに使ったりするようになるだろう。
■アメリカがドルのバラまきをやっても、なかなかドルが暴落しないのは、アメリカが世界を軍事支配していて、政府がそう簡単に力を無くすことはないだろうという、基軸通貨としての「信用」があるからだ。
■財政再建のための魔法の手品はない。社会保障支出が、とにかく巨大なのだ。公務員組織のスリム化をやったって、そんなものは大火事を消すためのバケツ一杯の水程度にしかならない。
■たとえベーシックインカムなどの画期的な政策であっても、大幅な歳出削減と増税の両方から、日本国民は決して逃げられないのだ。
■なぜ高橋氏がこんなトンデモ話を、大真面目にするのか。失礼ながら、氏が「数学科出身の経済学者」というのと無関係でない気がする。あまりに専門的理論にハマりすぎて、一番大事な常識感覚が、少し麻痺しているのではないか。
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●高橋洋子さんから、非常に親切で詳しいコメントをいただき、高橋洋一氏をはじめとするリフレ派に対する私の不信感は、ほぼ解消しました。このブログ記事を読んでくださった方は、どうかコメント欄もお読みください。(特に 2012.05.17 21:00 の高橋さんのコメント)
文系でしょ? こういうのは、計量経済学に元に計算されてるんですよ。 もし高橋洋一さんが違っているのなら
データを使って証明してみなさい。
連動物価債を導入したのは、高橋洋一さんだとご存知ですか? 税収弾性値は。 円安によってどの程度名目gdpが伸びるか? こういうあらゆることを考慮しての結論なんですよ。 そもそも新聞社の記事を書いてる記者が、残念なことに統計学、経済学の学部レベルを理解できていない、文学部出身の社会部が書いてますからね。
あなたみたいな無知な反論者が、でてしまうのも頷けます。
私は経済の専門家ではありませんが、理系出身です。
私は日本の財政問題には非常に興味があり、主要な学者や政治家の発言を、日々ウォッチしていますが、高橋洋一氏のようなリフレ派は、非常に少数というか、ほとんどいないですね。話に説得力がないからだと思います。
(私のブログを読んでくださっている人は2~3人ですから、私の発言を叩かなくても大丈夫ですよ)
リフレ派は、少ない? それは、なぜかというと新聞の世論誘導が、あるからです。 税収=名目弾性値×名目成長率×税率
です。 リフレ派というのは、このうち名目値を高めることによって税収を増やすことをいっているだけです。
つまり 物価上昇が、必要なのです。 それをになっている日銀が重要になるます。
だからこそ 日銀のように独立生の名の下に 天下りし、
このデフレ化で唯一自分の給料を下げていない役所です。
日本銀行の政策によって確実に名目成長率は上がります。
Mori夫さんのいうような円売り、キャピタルフライトが、起こるか。
為替というのは、ベースマネーの比で決まります。 今日本のベースマネーが、140兆円。 アメリカが、2兆ドルくらい。 これを140兆円÷2兆ドルで 70円くらい。 これが、理論値です。 オーバーシューティングして80といったところでしょ。 だからリフレ派の主張というのは、デフレになりすぎても インフレになりすぎてもあかん。 だから2~3%くらいのインフレにしようといっています。 日本は、実質成長率が、2%余裕で達成できるの。 仮にインフレ率が2.4とすると (1.044)を 70の法則を使って
やれば、国民の所得と税収は、15年くらいで 倍以上になります。 また増税を支持するならば、 増税による収入のシミュレーションでさえ、理論です。しかし90年代に3から5%に上げた時、税収は、どうなりましたか? シミュレーションでは確か増収する予定でしたよね。 あの時も読売、朝日は、増税大賛成でしたね(笑) 後もうひつだけ。 今の日本のようにデフレでは、ドーマー条件は、満たされません。 また失業率と自殺者数の相関関係は、ご存知でしょうか?
日銀のところでいうなら、 高橋洋一さんは、新規国債を永久ファイナンスしろとはいってないですよ。 今年に限ってということです。 復興財源が無いということを口実に増税するなら、
「今デフレで緩和の余地がある」ということ。 第一ハイパーインフレ(年率30ぱーくらいかな)にしないために 日銀のインタゲ導入を主張してるんでしょ。
アメリカのドルが、暴落しなかったのは簡単。 経済にデフレ圧力があったから。 社会保障については、インボイスと歳入庁によるクロヨン解消で 10兆から20兆ぐらい税収は、伸びます。またインフレにより実質金利の低下によって 設備投資が伸びると実質成長率も高まるんですよ。 雇用というのは、派生需要なわけだから、モビリティを高める政策なんかは、景気が良くなってからにしろというのもリフレ派の理論。
下記URLは高橋洋一さん本人の発言ですが、これを読んだだけでも、高橋さんより藤井裕久さんの発言のほうが正しいと思います。
高橋洋一さんは経済を自然の物理現象のように数学的理論で全部説明できるように言うので、そこに違和感をすごく感じるのです。
経済は人間の心理が動かしているものであり、人間社会への深い洞察なくしては、経済現象を正しく理解することはできないと、私は素人ながら思うのです。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120502/plt1205020706000-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120429/plt1204290734002-n1.htm
経済で使うのは、数学ではなく、統計データですよ。
例えば、自殺者数と失業率が正相関しているのは、理論ではなく統計データが表していることです。 経済理論(あなたがいう数学)というのは、統計的に見てある程度証明されていることです。経済学というのは、数学みたいな精密な学問ではなくファジーな学問なのでデータが、重要になります。 大方の理論というのはデータに基づいて導かれたものです。 ですから、財務省なり日銀、なかんずく、日銀が主張する 「人口減によるデフレになりやすい環境。」理論は統計学的に根拠がない嘘です。 それは、高橋さんが、数学的に導き出したものではなく、統計データをもとに導き出されたものです。 日銀や財務省の理論を公平に議論する報道媒体が、日本においては皆無に等しいというのも問題でしょうね。
データの分析を一番重視し、それを基に現状をとらえ、経済や財政の政策を決めていく。素人の私が言うのも何ですが、まことに正しい姿勢だと思います。
けれどその必要なデータを、すべてもらさずに取り尽くすことができるでしょうか。もっとも肝心なものは人々の消費心理ですが、それをデータとして採取することは可能でしょうか。
ここ半世紀、日本の社会情勢や人々の生活スタイルは激変しています。今年成人式を迎えた若者の数は、昭和45年のときの半分です。若者はいまや、独身でいるが普通であり、結婚すると仲間に「珍しい」と言われるご時世です。
30代半ばになっても独身で、車も持っていなくて、恥ずかしいと思う若者は皆無です。多くの若者が、休日はPCやゲームで1日をつぶしているのを、私は実感しています。
これらのことは、出口のないデフレと確実に深い関係があると思います。日銀が主張する「人口減によるデフレになりやすい環境」理論。私は正しいと思います。
ここでくるのが、「ハイパーインフレになるだろう。」でもちょっとまってください。 人口減だからインフレにならないはずですよね?
人口減のデフレ圧力と日銀がお金をすることで生まれるインフレというのは、どっちが上なのでしょうか?もちろん日銀の持ってる通貨発行権のほうが圧倒的に強いのです。 だからといってインフレを10ぱー、20ぱーましてやハイパーインフレなどとはいってません。穏やかな、2から3ぐらいといっているのです。
つまりベースマネーの拡大をどの程度にするかの問題なのです。 最初は、30から50兆円。 それでだめなら、10兆円ずつ拡大させていく。
また人口減だからデフレではなく デフレだから人口減なのです。 消費者心理というのは、あくまでもミクロの問題です。
消費者心理が、問題というなら、量的緩和するば資産価格の上昇とともに消費もある程度伸びますよ。 だからといってバブルにならないよう監視が必要です。しかし問題なのは日銀の人たちが、天下りをするということです。 日本銀行といっても霞が関の一部です。 それを考慮してください。
Mori夫さん、なぜそのように悲観的な部分ばかりを強調するのでしょうか? 昔からそういう人は、少なからずいたはずですよ。
仰るとおりで現在の時代というのは、物質的飢餓の時代から精神的飢餓の時代といわれていますね。 人と人の交流が、希薄になっています。 それは、絶対に変えなければなりません。
ですがいきなりは変わりません。 学校教育やら労働市場のもんだいやら問題は、たくさんあるんです。 リフレ派というのは、すべてやるべきという立場なんです。 まずは、失業者数を減らすために、マイルドインフレを起こす。 それによって名目成長率を高めてやれば、10年くらいで財政も良くなり、自殺者数も減らせます。 加えて言うならば、賃金も上昇するので、格差は減少します。そのころに労働市場の改革やら、教育市場の参入障壁を壊すべきでしょう。 個人的には、江戸時代の寺子屋のように、3歳からの読み書きを実現できるように幼保一体の改革が、最重要課題の一つでしょう。 老人ホームと幼稚園を一体化させて、老人と子供の交流を促すような政策もいいかもしれません。 しかしそれは、長期的な課題なのです。
また雇用改善で出生率やら結婚率もある程度高められます。
大事なことは、悲観的にならないことです。
面白いなとおもったのは、Mori夫さんの口調というのはとても僕の父親に似てるということです。 今60ですが、すごい悲観的ですね。
最近の若者像というのはマスメディアが、勝手に作り出したものといっていいと思います。一部の人の問題を全体の問題とするのは良くないでしょう。
ちなみに僕は、数学科と経済学科出身です。 それに加えて高校の時から創価学会に入ってます。だから究極の楽観主義者です。 人生で悩んだことなどあるなら。 人間革命でも読んでみてください!!
60歳というのは、洋子さんのお父さんの年齢ですか? 私は洋一氏のひとつ下の55歳で、会社員、男です。
思いがけずたくさんのコメントをいただけて、嬉しいです。(最近、コメントがほとんどなかったので。)
私は別に悲観論者ではありません。私が職場、居住地域、親戚付合いにおいて実際に見ていること、それにプラス、新聞、テレビ、ネットで得る情報をもとに、いまの日本の実情と思えることを、書いているだけです。
消費者心理はミクロの話だということですが、経済を考える上で、これを除外することはできないですよね。消費者心理は、言葉を変えれば、「現場」の人々のナマの意識だと思います。これは机上の理論だけでは、絶対にわからない。
どんな企業の経営者であっても、生産の現場や消費の現場を見ずして、財務会計や管理会計の資料だけを見て、経営戦略を練るなど、あり得ないですよね。
これは経済や財政の政策を決める場合でも、同様だと私は思います。ミクロを見ることは、必須なはずです。
私は日本の将来には楽観的です。少子高齢化が永遠に続くことはあり得ず、いつかは少子化もストップするでしょう。ハードかソフトか、どちらかはわかりませんが、財政問題もそのうちランディングするでしょう。
ソ連が崩壊したとき、国家の信用が失墜してハイパーインフレが起こり、物価上昇率は年2500%を超えたのに、老人に支給される年金の額は変わりませんでした。
それで多くの老人が死んだかというと、そんなことはなく、人々が助け合ったから大丈夫だったと言います。だから日本も、ハードに財政破綻しても、大丈夫でしょう。原爆や空襲にあった人々のことを考えれば、そんなものは屁でもないです。
ただ私は、国民のひとりとして、いま非常によろしくないと思っているのは、この国の極端に悪い財政状況に、多くの国民があまり気づいておらず、政治家や役人は、その場しのぎのゴマカシを繰り返しているということです。
国民の多くは、自分たちの貯金が歴代政府によって使い果たされようとしていて、返してもらえるアテもないということに、気づいていない。
そして政治家は落選が怖いものだから、有権者に負担を強いるような政策を決めていかない。日銀にカネを印刷させて急場をしのごうとしている。
国民がきちんと国の財政状況を認識し、大幅な歳出削減と増税を受け入れるようにすべきです。政治家や学者は、それを国民に説得すべきです。
役人組織の悪行を正せば、財政は再建できるでしょうか? できないですね。巨大な財政支出(特に社会保障)に対して、税収が必要額の半分しかないのですから。
日銀が発行済み国債を、もっと大量に買ってマネーを増やせば、景気が回復するとも、私には思えません。資金需要がそもそも少ないのですから。
また例えば、全家庭に20万円支給しても、景気回復には何も役立たないでしょう。(毎月20万円支給すれば、もちろん景気回復するでしょうけど、その前に財政破綻します。)
日銀はこれまで通貨の番人としての役割を果たしてきましたが、自主ルールである「国債保有は市中に出回るカネ(銀行券)の量まで」というのが、もう守れなくなってきています。政府の放漫財政の尻ぬぐいを強制されつつある。
禁じ手である、赤字国債の日銀直接引き受けだけは、決してやるべきではないでしょう。不真面目なことをやれば、必ずバチがあたる。これは個人も国家も同じです。
(別に、バチがあたってハードランディングになっても、いいですけどね。)
「人間革命」のお話が出てきたのは意外でした。聖書や仏教書はけっこう読んできましたが、創価学会系の本は、まだ一度も読んだことがありませんでした。(これからもたぶん読まないと思いますが。)
私のブログへの訪問者は、一日に10人くらいです。私がリフレ派の楽観主義者になったところで、世の中への影響は何もありません。ただ私は、自分の考えを整理しておくのを主目的として、このブログを書き続けています。