「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

英語で“親しむ”赤毛のアン―『英語で楽しむ赤毛のアン』

2014年07月23日 | Yuko Matsumoto, Ms.
☆『英語で楽しむ赤毛のアン』(L・M・モンゴメリ・英文、松本侑子・対訳・解説・写真、ジャパンタイムズ)☆

  表参道のイー・ウーマンで開催されていた、松本侑子さんの「『赤毛のアン』の英語セミナー」に飛び込んでから、そろそろ十年になろうとしている。当時『赤毛のアン』については、松本侑子さんの全文訳をざっと読んだ程度の知識しかなかった。そんな『赤毛のアン』を英語で読むのは、とても敷居の高いことに思えた。さらに『赤毛のアン』の読者はほとんどが女性だろうと想像できたので、いい歳をした男一人がセミナーに参加するのは、とても勇気のいることだった。自称松本侑子ファンとしては、ナマの松本侑子さんにお会いしたいという一心で、まさしく英語セミナーに飛び込んだのである。
  ところが、それから数年もしないうちに、「松本侑子さんと行く『赤毛のアン』ツアー」に参加し、松本侑子さんの「赤毛のアン」関係の書籍はほとんどすべて買い揃えた。いまでは、NHKの連続テレビ小説「花子とアン」を毎朝かかさず視聴し、人に「花子とアン」がマイブームなどと言っているのだから、自分でも驚きである。もちろん「赤毛のアン」のコアなファンの方々には、その足元にも及ばないが、自称「赤毛のアン」ファンを公言している。
  イー・ウーマンの「『赤毛のアン』の英語セミナー」は、その後朝日カルチャーセンター新宿の講座「『赤毛のアン』を英語で楽しもう」に引き継がれ、現在も開催されている。この間、多くの方々と知り合うことができ、それも自分にとっては大きな財産である。多くの受講者は、このセミナー・講座の内容が本になることを願っていたはずだ。その願いがいま現実となって、感慨深く思っているのは自分一人ではないだろう。わざわざ遠方から上京して参加される方もよく目にしたが、こういった方々にとっては、まさしく朗報にちがいない。
  この十年近くの間、皆勤ではないものの、セミナー・講座に参加して、女性が圧倒的なのはたしかだが、男性が自分一人だったこともなかったように思う。実際のところは「赤毛のアン」の男性ファンも少なくないと思っている。ところが、世間では「少女趣味」などといって揶揄されることもあるからか、男は「赤毛のアン」が好きですとは言いにくい。しかし、松本侑子さんが常日頃おっしゃっているように、「赤毛のアン」は児童文学の枠を大きく超えた、知的で深みのある文学作品である。本書でも、その雰囲気をコラムなどで味わうことができる。この本が一つのきっかけとなって、講座の男性参加者が増え、実質的な男性ファンも声をあげてくれればと思う。
  本書の内容については、「松本侑子ホームページ」の特設ページで詳しく紹介されている。いつもふれていていることだが、近年の松本侑子さんの「赤毛のアン」関係の書籍は、とにかく美しいカラー写真が多く載っている。ご自身が撮られた写真を主として、「赤毛のアン」ツアー参加者が提供された写真も使われている。これは、ツアーでの親密さのあかしのように思える。この本の暖かな手触り感といい、カバーの目にやさしい淡い黄緑色(オパールグリーンにちかい?)といい、これまた「赤毛のアン」を親しみやすくしているように思う。『英語で楽しむ赤毛のアン』は、言語・性別・年齢・居住地などの壁を乗り越えて「英語で“親しむ”赤毛のアン」でもある。

  

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