北川純のアートなお仕事

現在進行形作品の紹介から旧作品の制作裏話まで小出しにお話します。

『風船サンバ撤去への道』その3

2012年10月23日 | 風船アート

[風船アート/風船サンバ/]

私は週2日高校美術の非常勤教諭をしている。
この日(19日)はちょうど出勤日であった。
前述したようにヤフーをみて6時過ぎに家を出た。駅の売店でこの件が掲載されている神奈川新聞と読売新聞を買う。
2紙を読んで初めてヤフーの記事は神奈川新聞であったのかと気づく。         

学校最寄の駅を下車すると久しぶりの友人から電話が入る。
ちょっとひやかされた後、彼の娘に代わった「すごいじゃん、超有名人ジャン」
「まったく子どもは~」と苦笑いする。 

その後次々と知人からメールが入る。 
「グッジョブです」
「我がエロ師匠!ばんざ~い」等々・・ 返信する暇もない。
私は思った「ちょ~じゃないにしろ ちょっとした有名人かも」・・・・このときはちょっとうれしかった。

そしてあの神奈川新聞記者の方の電話が入る。
記者 「北川さん!知ってます?ヤフートップ!」
私  「みたいですね」
記者 「ツイッター見てます?」
私  「いや 今外なので」
記者 「すごいですよ ~ 今バンバン入ってます」 彼はそれらを高らかに読み上げた。

彼はたぶん意見をチョイスしてくれたのだろう、好意的なものばかりだ。
本来ならうれしいはずだ。しかし私は不思議な気分に襲われた。
‘知らない人が知らないところで私の作品を勝手に論じ合っている。それもかなり攻撃的な口調で・・・’

記者 「これ宣伝効果お金に換算するとすごいですよ! わ~どんどんツイートされてる。 あっ 北川さん今ツイートしないほうがいいですよ、炎上するから」
私   「・・・・・・・。」

ネットに弱い私はツイッターはやっていない。ましてや炎上なんて現象はよく分からない。 
私はだんだん怖くなってきた。

見上げた空は青く澄み渡っているのに、目には見えない電波の矢が私に突き刺さってくるように感じた。
 
私は学校への道を急いだ。
私は自分の作品制作と学校での仕事をはっきりと区別している。だからここでは私の仕事に興味を持つ人はいない。
あそこに行けば無風状態のはずだ。私は核シェルターに逃げ込むように学校の門をくぐった。
職員室でこの朝初めて顔を合わせた先生がおはようの代わりにこう言った・

“よぉっ!時の人!”

ここにも風は吹いていた。

 



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1 コメント

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Unknown (y-nishimura)
2012-10-24 12:40:05
なーんだ、ネット上の意見はほぼ93%で、展示に好意的じゃない。ま、そりゃそうだろうけど。
こうみると結構、意見も面白いね(´Д` )。下は私の好きなコメント。
●栃木さん:よくこういうので「子供に悪影響」という意見を聞くが、具体的に悪影響とは?オナニーがやめられなくなるとか?
●壱丸さん:おおお…。卑猥だ(笑)撤去しないで(笑)
●さとあやさん:トランクスなら問題なかった?
●小松崎さん:これはプロジェクトによってアートが「社会化」されていくことで起こるアートの非アート化の典型的な事例だと思う。アートにとって地域活性化などという口当たりのいい言葉は両刃の刃だ
●カズさん:そもそもアートか卑猥かという論の立て方が間違っている。卑猥かどうかとアートかどうかは関係ない。卑猥なアートも普通にある。日本の記者はアートに対してリテラシーが無さすぎだ。

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