ある別れ

2022年04月30日 | 短歌
死に別れたというわけではない
職場での小さな別れである

出会いがあれば別れはあるのである
小さな別れは日常どこにでもあるといってよい
誰かが言っていた、お別れだけが人生だ

別れてほっとした、というのはあまり幸せな出会いではなかったのだろう

別れて寂しいのは、その人が心をなごませてくれていたからである

四月も終わりだというのに、冷たい雨が降っている
せめて心を温めるには、いい思い出がいちばんだ

◇ ある別れ ◇
ちょうどよく
冷たい雨が降っており
いい思い出に ぬくめてもらわん

※ (その後のある会話)
「その人の思い出って、どんなのがあります?」
「そうだなぁ・・・、タイミングのいいダジャレに、思い切り笑ってくれたこととか・・・」

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また一週間が

2022年04月25日 | 短歌
また一週間が始まる

布団の中で伸びもした
カーテンを開け朝の光も浴びた
窓を開け外気にもせっした
冷水で顔を洗い、体に一日が始まることを教えた
浄化水を飲み、胃腸にも一日一緒にやろうと声もかけた

普通がいちばん
今週も普通の一週間であればいい
ちょっとだけいいことがあれば、最高の一週間だ

これからビル管理の仕事に出かける
ビルにも、また一週間頑張れ!と、喝を入れてやらねばならぬ
自分への一喝でもある

◇ また一週間が ◇
いつの日に変わらぬ朝なり
それでよし
また新たなる週は始まる

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続・積木くずし考

2022年04月20日 | 短歌
穂積隆信、俳優。「積木くずし」の著者。2018年没(享年87)

父親は国文学者にして歌人、兄は評論家。文筆に秀でた家系に生まれている
隆信は「積木くずし」以降も、身辺に降りかかる不幸な事件を何冊かの本に書き綴りながら晩年を迎えている
どの本も、作者の置かれた状況、そのときの情景などが的確に表現されており、最後まで読ませる力を持っている
書き手としての血も受け継いでいたと言っていいであろう

文は人なり、という
彼は晩年の著書の中で、背負わされてしまった莫大な借金を未だに返しきれないでいるといっている。自己破産をしてしまえば、チャラにすることだってできるではないか。それをせずに、少しずつでも返済していくという姿勢に、一例ではあるが彼の誠実な人がらを感じる

本業の役者としても、仲間や業界の人たちに支えられて晩年までいい仕事をしたようである

◇ 穂積さんの一生 ◇
想像を絶する 苦難を引き受けて
よくぞ生きたり
役者 隆信

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積木くずし考

2022年04月15日 | 短歌
十年ちかく前に作られたテレビドラマ「積木くずし 最終章」の再放送を見た
古いビデオであるせいか、音声がかすれたりしている

非行に走った娘を更生させた美談「積木くずし」がベストセラーになったのは四十年も前のことである
俳優 穂積隆信の生活は一変した。教育評論家として全国を飛び回り、大金が入る生活
環境の変化についていけず再び非行にはしる娘。ますます金銭感覚のゆがみがひどくなる妻。それにつけ込む金融会社の男と妻との関係。二人の策謀によって穂積が背負い込む莫大な借金
地に堕ちた偶像となる穂積

一転、家庭は崩壊し三人三様のみじめな生活、まだつきまとう男の影
力尽きたように自死の道を選ぶ元妻
娘も病にたおれ、誰にも見とられずに死んでゆく

こんなふうにして穂積を襲う災忌は生涯絶えることがないのであった

◇ 隆信さん ◇
降りかかる 災厄受けとめ
真っ当に役者の道ゆく
穂積隆信

(この稿次回に続く)

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共感疲労

2022年04月10日 | 短歌
ウクライナの街々の破壊し尽くされた映像が毎日のように流されている
ロシアのトップとその軍隊の非人間的な言動がいまいましいが、何もすることができない、ウクライナの人々にはしてあげられない

同情をもちすぎたり共感しすぎたりして、気が沈みこんだり眠れなくなるようなことがあったら、共感疲労かもしれない
そんな状態から、鬱病や急性ストレス障害などの病気につながることもあるという

まずは自分の心身の健康を保つのでなければ、他者への同情も虚しいものになってしまう

◇ 共感疲労 ◇
流れくる無惨な映像
見つむるは大事
時には目つむることも

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