「思いっきり遊ばなくなった事が、興奮や衝動を抑える子供の力を奪ってきているのではないか」。信州大学教育学部(精神生理学)助教授・寺沢宏次さんは、これを裏付けるような研究発表をした。
長野県松本市内の幼稚園児から中学生までの男女合わせて446人を対象に、脳の興奮と抑制のバランスを調べる実験を行った。その結果、興奮・衝動を抑制する働きがある脳の前頭葉の発達が、遅くなっていることを示すデータが得られた。
寺沢助教授は、「子供たちは、外遊びの中で社会の約束事を学んできた。しかし、今は、テレビゲームなど個人遊びが主流となり、人と交わるのがヘタになってきている」と嘆く。
前頭葉の発達と、外遊びの因果関係は断定できない。だが、家の中にこもる傾向が心の育成を阻んでいるなら、楽観できない。
(参考:読売新聞 1997.6.14)