兵庫県・豊岡市で、昨年9月以降に放鳥されたコウノトリ14羽のうち、3歳の雌1羽が「自活」しているのが確認された。残り13羽は同市の県立コウノトリの郷公園に舞い戻って飼育用の餌に頼っているが、この雌だけは、約8キロ南の田園地帯でドジョウなど自然の餌を食べている。
同公園の大迫義人・主任研究員は「野生化への第一歩。今後は、社会性をどう身に付けるかが課題」と話している。
コウノトリは、田畑や水路でバッタやドジョウなどを探して食べ、夜は電柱の上で眠っている。小学校の児童らが造った湿地帯などのビオトープ(生物生息空間)へも飛来し、餌をついばんでいるという。
(読売新聞 2006.12.24)
18日、県立コウノトリの郷公園は、公園前の囲いに放たれたコウノトリのペアが抱いていた卵の内、1個が孵化したと発表した。孵化した卵は、多様な血統を増やすため、別のペアが産んだ卵と取り替えたが、飼育施設外ででのヒナ誕生が確認されたのは42年ぶり。 (参考:読売新聞 5/18)
※その後の報道で、もう一羽が孵化し、合計2羽になりました。
コウノトリの放鳥後初めての産卵確認でしたが、その後、卵が巣の外に出されてしまい抱卵されていないという残念な結果になってしまいました。原因の一つに、エサ場が遠い事や、そのエサが少ないことなどが挙げられています。
エサ場の確保として、トキの放鳥に備えては、「不耕起の田んぼ」の活用が計画されています。、「不耕起の田んぼ」は、生き物が溢れる田んぼです。
私達の地域の田んぼは、新宿の小学校の校庭の片隅にある、タタミ1枚分位の小さな田んぼですが、それでも、色々な生命の連鎖が見られます。それは、小さくても「不耕起」(自然耕)の田んぼのスタイルを模しているからです。不耕起の田んぼの稲を通して、自然や環境、生命の営みなどを考えるよい教材にもなると思っています。
国の特別天然記念物コウノトリの自然界での繁殖を目指している兵庫県コウノトリの郷公園は、昨年9月に放ったペアが公園の巣塔で初めて産卵したのを確認した。国内では38年ぶりで、順調にいけば5月末ごろ孵化する見通し。 (2006.4.15 読売新聞)
その後の報道で、卵が巣の外に出されて抱卵されていないと伝えられていました。今回の孵化は期待できない状況です。
15日の読売新聞に、コウノトリとトキの両方の記事が同時に載っていました。いずれも日本の野生種としては一度絶滅した鳥たちですが、国外からの移入や人工孵化に取り組む皆さんの努力が実を結び、少しずつその数を増やして来ました。
そして9月24日、兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園で、野生復帰を目指し5羽のコウノトリが放鳥されました。絶滅種の再生は国内初で、人里での放鳥は世界でも前例がないそうです。
一方、トキは2008年の放鳥を目指し環境作りをしています。その記事の中で私が興味を持ったのは、「ビオトープ」と「無農薬水田」の事です。いずれも生物が繁殖し、トキの餌場として期待されています。そして新宿の私達の地域にも、小さな小さな「ビオトープ」と「水田」が有ります。そこでは、オタマジャクシが生れ、トンボが訪れ、ヤゴが孵化しています。小さいけれど、生き物たちの棲む環境を観察し、大切にする事で、自然や環境を大切にする心を大きく育てたいものです。
コウノトリが自由に大空を羽ばたくなんてとっても素晴らしいですね。この試みが成功すると、次はいよいよ、「トキ」の放鳥にも弾みが付くのではないでしょうか。そして、トキの餌場となる田んぼの原形が、私達が取り組んでいる、「不耕起田んぼ」と同様のものです。こんな意味からも、「コウノトリ・トキ・田んぼ」に興味を持ち続けたいものです。