旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

たかが車、されど車

2017年04月16日 | ライフスタイル
 フェイスブックでは3月に少し触れたように今年3月から軽く山歩きを楽しんでいます。大学生時代、体育会の山岳部に所属していたことがあるのでそれなりに本格的な登山経験があるのですが、その後、自分なりの理由で山登りと決別していた私にとって、この歳になってこんな形でトレールに戻りたくなるとは想像すらしなかったのですが、結局、今度はバイクと決別して自分の足でトレールに戻ったという感じです。
 
 想像すらしなかったといえばもう1点。もう4年ほど前になるのでしょうか。自分にとっては車はあくまで移動手段。しかもバイクを運べなければ意味がないという考え方でした。だからどんなに古くなっても別に気にもかけず、東京へ出てきてしばらくして買ったタウンエースにずっと乗り続けていたのです。バイクに興味全開な分、車には全く興味なし。

 ところが4年前の車検を前にして突然思ったのです。
 もう年齢的にもテクニック的にもバイクを車に乗せて運ばなければならない状況(つまり、ほとんどはレースです)にならないのではないかという事、それから、今車を買い替えたとしたら、あまり乗り換えない自分のリズムだとおそらく人生で最後まで乗る車になるという事にも思い当たりました。

 そんな事を考えている時に、それじゃあ、人生最後に乗る車って何であるべきだろうかと問いかけた私に天から降ってきたのが空冷フォルクスワーゲンビートルorオースチンミニでした。

 いろいろ考えた結果、維持管理がしやすそうなのと、バイク整備の経験が使えそうなフォルクスワーゲンを探すことに。数ヶ月後にはインターネットオークションでボロボロのフォルクスワーゲンを入手していました。

 車検を取得してもらって車屋さんから乗って帰る途中でエンコしたり、床が錆びて抜けたり色々あったけれども、少しずつ整備を覚えて乗っています。
 
 今回の”山歩き”は駐車場がある場所のループルートだったので車で行くことにしました。関越自動車道へ向かう自分の2台前を同じく空冷フォルクスワーゲンが走っています。もちろん私のサビだらけの車体とは違うキレイにレストアされた車両。料金所を抜けて関越へ入ると偶然にも空冷ワーゲンが2台並んで走る展開。周囲の車からは多分、”仲間”と見られた事でしょうが、全く知らない者同士です。

 所沢まで1区間を一緒に走った末、私は秩父へ向かいます。駐車場へ車を停めて、靴を履き替えちょうど3時間の山歩きから帰って来た時、隣に車を停めている老夫婦と出会いました。
 
 ”すごね。フィアットだっけ?”
 とはなしかけてきた老婦人をご主人は
 ”フィアットじゃなくてフォルクスワーゲンだよ”
 と優しくフォロー。
 
 ”懐かしいでしょ?”
 と私が答えると

 ”懐かしいねぇ。ほら、この車って、亀が歩くみたいな姿で走るよね。”

 そんな会話をかわしながら片付けをしていたら、私が山歩きから帰ってきた事に気がついたようで
 ご主人:”もう山歩いてきたの?”
 私:”そうです。二子山。”
 老婦人:”え?速いね。凄いね。さすが。”
 老婦人:”武甲山は行ったことある?”
 私:”いや次行ってみようかなぁ”
 老婦人:”是非行ってみて。素晴らしいから。私、行ったことあるの。ほんとに素晴らしかった。”
 
 空冷フォルクスワーゲンに乗るようになって面白いなと思うのはこういう風に話しかけてくる人が極端に増えたこと。自宅前で整備していても、どこかの駐車場に停めていても、ガソリンスタンドでも、話しかけられる事がものすごく多くなりました。 

 独特の丸っこいデザインと、ラジエターが無いおかげで”口を閉じた”ようなフロントデザインはなんとなくユーモラス。高性能でもない車であることが、なんとなく話しかけやすい雰囲気を周囲に生み出していて、運転している私まで気さくな人物に見えるのかもしれませんね。

 たかが車、されど車。

 そういえば最近の車やバイクはやたらと威圧感のあるデザインが流行っていますね。メーカーのデザイナーさん、どんどんやっちゃってください。その中に混じっている私はとても”いい人”っぽく見えるにちがいありませんから。

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 美味しい食事を楽しみながら他の旅人との交流と旅の情報交換をしませんか。次の旅に思いを馳せようではありませんか。
 日時 6月16日(金)午後19時~21時30分
 場所 東京 四谷 サロンガイヤール
 会費 3,500円
 詳しくは下記ページから。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/eandg/event/yube.html


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