木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

中小企業のデザインのお悩み、なんでもご相談ください!!

【回答】ロゴマークについて

2006年05月09日 | デザイン相談室の回答
 上の画像は私の名刺です。ロゴマークは蔵書印がモチーフです。「木全(きまた)」は読んでいただけないので、縁起によさそうな当て字「喜満多」にしました(笑)。



 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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■商品のロゴマーク変更について
28:【デザイン相談室】回答その2

 ブログ開設以来、初めてデザイン相談らしい質問を頂きました!

 凄くうれしいのですが、いきなり凄く難しい質問で、うまくお答えできるかどうか。

 質問は、

「新しい商品の企画をしています。
新商品に合わせて商品のロゴマークを一新しようと考えています。ロゴマークを変える場合のメリットとデメリットを教えていただきたいのですが。」


というものです。

 これは、難しい。人に名前をつけたり、改名したりするのと同じですからね。本当にケースバイケースで一般論を言っても、今回質問していただいた方にとって正解かどうか、わかりませんし、もしかすると全く的外れかもしれません。

 回答しようとしているのに、最初から予防線を張りすぎですね(笑)。

 とにかく回答してみましょう。


ロゴマークについて

 今回のご相談は、会社のコーポレートマークではなくて、どうやら既存の商品シリーズのブランドマークもしくは、単品商品のロゴマークについてのご相談のようですね。

 上の文章でわざと、コーポレートマーク・ブランドマーク・ロゴマークと使い分けてみました。

 実は、企業が使うロゴマークにはいくつかの階層があります。

 でも、ちょっと、その前に「ロゴマーク」という言葉の謂れを書いておきましょう。

 この言葉は、中西元男さんが造語されたものです。中西さんと言えば、1980年代にアメリカからVI(ビジュアルアイデンティティ)の概念を輸入し、それを拡張して日本型CI(コーポレートアイデンティティ)を構築し、CIブームの火付け役となり、その世界で常にトップを走り続けてこられた方です。

 「ロゴマーク」は「ロゴタイプ」の「ロゴ」と「シンボルマーク」の「マーク」から作られた造語です。

 最近は「ロゴマーク」と言う言葉が浸透して、会社や商品のマークをまとめて、「ロゴマーク」と言いますが、本来「ロゴタイプ」と「シンボルマーク」と「ロゴマーク」は別のものです。

 昔の企業のマークは、結構しっかりと「シンボルマーク」「ロゴタイプ」が分かれていました。三越の場合、○越マークが「シンボルマーク」、屋号の三越が「ロゴタイプ」です。そう、「シンボルマーク」は「図柄的なマーク」、「ロゴタイプ」は「文字」なのです。

 中西さんは、文字自体の持つ伝達力と造形性に着目して、文字だけで企業のマークを考えた。ケンウッド、ブリジストン、松屋銀座、INAX、などなど。当時これが大変新鮮でした。文字をマークのように扱うこと。それが「ロゴマーク」。

 今でもCI業界では「シンボルマーク」「ロゴタイプ」「ロゴマーク」をしっかり区別していますし、その機能もかなり明確に使い分けています。でも、一般的には、それらをひっくるめて「ロゴマーク」と総称しています。

 薀蓄はこれくらいにしましょう。さて、本題です。


ロゴマークの変更

 ロゴマークには下のように、いくつかの階層があります。すべてにこれが当てはまるわけではありません。これより多い場合もありますし、少ない場合もあります。

 たとえば、わかりやすい例で、コーヒーのネスカフェを例にします。

  企業名     「ネスレ ジャパン」
  カテゴリ名   「ネスカフェ」
  商品名     「ゴールドブレンド」

 階層それぞれに、ロゴマークがあります。

 これを見ればなんとなく理解していただけると思いますが、上に行くほど、変更が難しい。反対に下に行くほど変更しやすくなります。

 商品の品質を最終的に保証してくれるのは、企業です。商品が出るたびに、企業のロゴマークが変わったのでは、なんだか信用できない気がしてしまいますよね。だから、頻繁には変えられません。特にユーザーにある程度企業イメージが浸透していたら、企業のロゴマークを変えるのはなかなか難しい。変えるとなると、商品やパッケージの一新は当然ですが、小は名刺・便箋・封筒などから大は看板まで、社名の入ったすべてを変更することになり大変なお金がかかります。

 それに較べると、商品名やそれに伴うロゴマークは、新商品発売のときに変更してもそんなに企業のイメージを左右するわけではありません。変更は難しくないでしょう。

 しかし、商品レベルのロゴマークでも、意外と、企業レベル、カテゴリレベルがごっちゃになって使われています。

 今回のご質問の書き方を見ていると、どうも、それぞれのレベルがごっちゃになっているような感じがします。

 ごっちゃになっていても、実は問題ありません。問題なのは、このように変更しようと思う時です。

 もし、商品のロゴマークの変更に躊躇するようであれば、そのロゴマークの担っている役割がなんなのか、企業レベルやカテゴリレベルまで担っていないか、一度検討してみてください。たぶん、そのロゴマークは何か重要な役割を担っているはずです。

 その重要度を明確にして、それでも、ロゴマークを変えるのかどうか、それは御社の判断になると思います。


ロゴマークの管理

 そして最後に「新商品に合わせて商品のロゴマークを一新した場合のメリットとデメリット」についてです。

 申し訳ありませんが、商品のロゴマークを新しくするかどうかという点に関して、一般的なメリットやデメリットを言っても、たぶん役に立ちません。

 それでは、質問に全く答えていないことになってしまいますが、商品のロゴマークを一新するかどうか、そのメリットとデメリットは何か。それは、本当にケースバイケースです。

 強いて言えば、企業の中から、そろそろロゴマークを変えたほうがいいと言う意見が増えてきたのなら、メリットやデメリットがどうあろうが、たぶん、ロゴマークを変える時期に来ているのだと思います。

 もし、企業レベル、カテゴリレベル、商品レベルがごっちゃになっているのなら、それを整理するためにロゴマークの体系を見直すことは意味があると思います。

 そして、最後に、1つだけ、ロゴマークについて最低限必要な要素だけ書いておきます。もし、この要素が、現在のロゴマークにないのであれば、ロゴマークを変えてみても良いかも知れません。

 以前、「商品売買=遠距離恋愛論」で、「人は簡単に好きになるけれど、一度嫌いなったらなかなか好きに戻ってくれない。不特定多数が相手で嫌われたら、いちいちフォローができないから、嫌われないように、嫌われる要素をなくすしかない」というようなことを書きました。

 そして、ロゴマークで、ユーザーから嫌われる場合もあるのです。それは、そのロゴマークがちゃんと管理されていない場合です。

 極端な例ですが、パッケージのロゴと商品のロゴが微妙に違うとか、場所によって色がバラバラだとか、という場合があります。そんなときは、なんだか信頼感を感じられません。また、これは、商品ではないのですが、社長さんの名刺と社員の名刺のロゴが違うなんていうこともよくあります。

 そんなこと有り得ないと思うかもしれませんが、注意深く見直してみると、意外と管理されていないものです。

 もし、そういうことがあるのであれば、ロゴマークの見直しに合わせて、しっかり管理体系を構築しなおす必要があるでしょう。

 ロゴマークは、新しくすることに大きな意味があるわけではなく、しっかり管理することに意味があるのです。



 さて、ちゃんと答えたことになっているかどうか?我ながら少し抽象的過ぎたかなとは思いながら、これで回答とさせていただきます。

 もし、もっと詳しく聞いてみたいと言うことでしたら、是非また、下記にまで、ご連絡ください。

designsoudan★mail.goo.ne.jp(★を@に)

 よろしくお願いいたします。


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