<ダイソンの掃除機>
◆イギリスらしいデザイン (デザインのお国柄)
39:【デザイン相談室】いろいろなデザイン1
こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」 12月16日発売開始 好評発売中
記事の目次
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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【宣伝】まだ辛うじて平積みされています
東京では、ほんの一部の本屋さんだけですが、まだ辛うじて私の新書は平積みになっています。その間、もう少しだけ紹介させてくださいね。
題名「デザインにひそむ<美しさ>の法則」
ソフトバンククリエイティブ新書
価格 735円(税込)
アマゾンでご購入 できます。
新書を多く取り扱っている書店ならば、まだ一、二冊くらいは残っているところもあるようです。皆さん、お手にとって、ご興味がありましたら、是非ご購入ください!!!
そして、もう一つお知らせです。2月18日の日本経済新聞の別刷版「ニッケイマガジン」の記事の中で、拙書を引用していただけるようです。楽しみです。
■最近の掃除機のデザイン事情
ここ十年ほどで掃除機のデザインが大きく変わりました。イギリス・ダイソン社の製品がそのきっかけでした。いまでは、どの量販店でもダイソン社のサイクロン掃除機を目にするようになりました。
ダイソンのおかげで、日本の掃除機の機構やデザインもバリエーションが増えてきて、面白い状況になっています。エポックメイキングな性能やデザインの製品が、競合製品に与える影響をまざまざと感じさせてくれる実例です。
その中でも、ダイソン社のサイクロン掃除機は相変わらず、透明なゴミ収納部・ビビットな色彩・奇抜な形状で異彩を放っています。本家のイギリスではシェアが五〇%を超えているそうです。イギリスは久しくナショナルブランドの家電メーカーがなく、ダイソンが出てきてこぞって購入したとか。
愛国心も家電製品の購買動機になります。かつての「Made in USA」や「Made in Japan」キャンペーンを思い出します。
■ダイソンのサイクロン掃除機
ダイソンの掃除機は色もかたちも奇抜です。そして力強い。「このサイズ・かたち・色には理由があるのだ」と主張しています。
透明なゴミパックを採用することで見ただけで空気の流れがわかるようにし、造形を方向性の強い円筒と円錐に統一して、車輪の軸方向・走行方向・ゴミパックの斜め方向という三つの明快な動きがダイナミックに構成され、かたちに力強い説得力があります。加えてちょっと大振りなサイズもパワーを感じさせます。
造形で機能的な説得力を持たせるとはこういうことだという見本のような製品です。こういうデザインが似合う家電製品は余りありません。工作機械や電動工具のデザイン手法です。掃除機は工具に近い製品なので、このようなデザインが可能になりました。
どちらかと言うと、日本の掃除機メーカーは工具らしさを払拭しようとしてきました。日本のメーカーは掃除を疲れる面倒な作業と考え、「楽で簡単」をテーマにしてきました。それに対してダイソンはDIY感覚で捉え、掃除も積極的に楽しもうという思想が電動工具的な造形になったとも考えられます。
■透明なゴミパック
そして、ゴミが見えるなんて潔癖指向の日本では出てこない発想です。透明なゴミパックに貯まったゴミを見ながら「今日は頑張ったからこんなにゴミがたまった」なんて、いかにもDIY的な発想です。
日本だったらゴキブリ吸い込んだらどうするのという声が聞こえてきそうです。現に日本製のサイクロン掃除機も最初の頃はダイソンの真似をして透明ゴミパックを採用していましたが、最近ではゴミパックを見えないようしています。
透明なゴミパックは、ガーデニングなど自分で手入れをして楽しもうというDIY的なライフスタイルのある英国ならではの発想です。
ダイソンの透明なゴミパックのように、国民性や考え方も、デザインには大きな影響を与えます。たまには、そんなことを考えながら、海外の製品や日本の製品を見直してみると、面白いのではないでしょうか?
新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」 12月16日初版発売
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そして、もう一つお知らせです。2月18日の日本経済新聞の別刷版「ニッケイマガジン」の記事の中で、拙書を引用していただけるようです。楽しみです。
■最近の掃除機のデザイン事情
ここ十年ほどで掃除機のデザインが大きく変わりました。イギリス・ダイソン社の製品がそのきっかけでした。いまでは、どの量販店でもダイソン社のサイクロン掃除機を目にするようになりました。
ダイソンのおかげで、日本の掃除機の機構やデザインもバリエーションが増えてきて、面白い状況になっています。エポックメイキングな性能やデザインの製品が、競合製品に与える影響をまざまざと感じさせてくれる実例です。
その中でも、ダイソン社のサイクロン掃除機は相変わらず、透明なゴミ収納部・ビビットな色彩・奇抜な形状で異彩を放っています。本家のイギリスではシェアが五〇%を超えているそうです。イギリスは久しくナショナルブランドの家電メーカーがなく、ダイソンが出てきてこぞって購入したとか。
愛国心も家電製品の購買動機になります。かつての「Made in USA」や「Made in Japan」キャンペーンを思い出します。
■ダイソンのサイクロン掃除機
ダイソンの掃除機は色もかたちも奇抜です。そして力強い。「このサイズ・かたち・色には理由があるのだ」と主張しています。
透明なゴミパックを採用することで見ただけで空気の流れがわかるようにし、造形を方向性の強い円筒と円錐に統一して、車輪の軸方向・走行方向・ゴミパックの斜め方向という三つの明快な動きがダイナミックに構成され、かたちに力強い説得力があります。加えてちょっと大振りなサイズもパワーを感じさせます。
造形で機能的な説得力を持たせるとはこういうことだという見本のような製品です。こういうデザインが似合う家電製品は余りありません。工作機械や電動工具のデザイン手法です。掃除機は工具に近い製品なので、このようなデザインが可能になりました。
どちらかと言うと、日本の掃除機メーカーは工具らしさを払拭しようとしてきました。日本のメーカーは掃除を疲れる面倒な作業と考え、「楽で簡単」をテーマにしてきました。それに対してダイソンはDIY感覚で捉え、掃除も積極的に楽しもうという思想が電動工具的な造形になったとも考えられます。
■透明なゴミパック
そして、ゴミが見えるなんて潔癖指向の日本では出てこない発想です。透明なゴミパックに貯まったゴミを見ながら「今日は頑張ったからこんなにゴミがたまった」なんて、いかにもDIY的な発想です。
日本だったらゴキブリ吸い込んだらどうするのという声が聞こえてきそうです。現に日本製のサイクロン掃除機も最初の頃はダイソンの真似をして透明ゴミパックを採用していましたが、最近ではゴミパックを見えないようしています。
透明なゴミパックは、ガーデニングなど自分で手入れをして楽しもうというDIY的なライフスタイルのある英国ならではの発想です。
ダイソンの透明なゴミパックのように、国民性や考え方も、デザインには大きな影響を与えます。たまには、そんなことを考えながら、海外の製品や日本の製品を見直してみると、面白いのではないでしょうか?
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