DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

宴の始末(15) アレッポに刺さってるWar on Terror時代

2016-10-09 13:12:05 | 欧州情勢複雑怪奇

シリア問題は、週末国連を舞台にして、2つの提案が否決された。(cf. 1 & 2)

一つはフランス、スペインが共同提案のもので、もう一つはロシアのもの。

で、骨子は何かというと、前者の案(フランス案とよぶ)は、即時停戦しろ、というもの。

対して、ロシア案は前に書いた、アルヌスラ(アルカイダのシリア支部)をアレッポから出せ、ということ。

で、フランス案は何も知らない人が見ると、そうよね、両方が即時に停戦すべきだわ、いいわ、と思いそうだけど、状況を考えると全然違う。

アルヌスラというテロリスト集団は追い詰められているんだから、それを取り除く、住民から分離すれば話は終わる、という状況に対して即時停戦とは、結局そのアルヌスラを温存する、という話なんだよな、ってことだす。

 

と、ここで疑問なのは、一体全体その有志連合なる人々はなぜそこまでアルヌスラ、要するにアルカイダを庇うのか、ですよ。

ここまでして、国連に場を移しながらも温存したい集団とは一体何なのか。

 

■ アルカイダは解散できるのか

これはつまり、そもそもアルカイダとはCIAの現地傭兵のリストだ、というイラク戦争の頃から言われてきたことを重ねるといいんでしょう。

で、図らずもここ一連の有志連合なるUSと属国たちの動きによってそれが証明されてきている、って感じではあるまいか。

今まで15年か20年か知らないけど、ずっとUS+属国群の中東、中央アジア侵略構想にあっての悪者担当として、アルカイダはいわば協力者なわけだから、そこを裏切れないってことなのだろうか?

いや、この庇い方を見ていると事態はもっと深刻なのかも。

ユニットの構成としては、「アルカイダ」とかアルヌスラだのと言って中東っぽい人たちの集合体みたいに思わせてるけど、実はそれはカバーの部分で、実際にはNATOの特殊部隊等々が作戦指導して、ブラックウォーター他の傭兵部隊が現場で戦うみたいな形だった、というのが実情だったりするのではなかろうか・・・ということ。

つまり、実は各国の準正規軍が中東、中央アジアを荒らしまわってました、みたいな要素がみんが怪しんでいたよりずっと濃いということですね。そして、投資だの開発だのというニュートラルな名前でそれら有志連合の各国はかなり食い込んでいる、と。(ISISプロジェクトに関与している国は40カ国ぐらいある、とプーチンが言っていたことを思い出す)

 

そうなると、この奇妙な言も理解できるんじゃなかろうか。

何が奇妙かというと、国連のシリア問題特使のデミストラさんは、ロシアに空爆をするな、と言いつつも、戦闘員(テロリスト by シリア人)をアレッポから出す、という線を支持してる。(というよりこの人がこの線の提案者だと思う)

そして、氏は、アルヌスラが退去を約束したらシリアとロシアは直ちに空爆を止めろと言い、併せて、それらの戦闘員に対して、武器と共に名誉と共に退去するのなら、「私は自分の身体を持ってあなたがたに同行する用意がある」と言った、らしいんですよ。

He proposed that Syria and Russia immediately stop bombing there if the Nusra fighters promise to leave. Addressing his plea to those fighters, he said that if they depart with their dignity and their weapons, “I personally am ready physically to accompany you.”

U.N. Syria Envoy Offers to Escort Rebel Fighters From Aleppo
http://www.nytimes.com/2016/10/07/world/middleeast/aleppo-syria-staffan-de-mistura.html

 
 
特使が身体を張ってでも命も保証するし武器も持っていっていいからそこを出ろ、という投降の呼びかけは、ずいぶんと丁寧というか、奇妙にさえ思える。
 
前から指摘しているけど、ロシアやシリアを非難するのはいいとしても、シリア各地を侵略している武装勢力への批判がほとんどないというのは、一体どういうことなのか、ですよ。
 
そして、ロシアの行動も、西側メディア上では悪者として描かれているけど、実は非常に仲裁的。だって、あのまま放置していれば、イラン、シリア、イラクの現地イスラム兵部分が、やられてたんだからやって返す、になってアレッポに突っ込みたがるに決まってる。そこに割って入ったのがロシア。
 
上で書いたロシア提案は、否決はされたものの、中国が賛成票を投じるという結構珍しいことが起きてもいるし、中国軍は既にシリアの正式プレーヤーだったりもする。(チャイナもシリア公式デビュー、そして日本は艦隊決戦

 

■ まとめ

シリア問題を解決すると、Global War on Terro(GWOT)時代にひびが入り、終焉へと向かわざるを得ない、ということなんでしょう。

アレッポはこのGWOT時代という大きなものの先っぽが刺さっている状態。これを抜けば、GWOT時代は支えを失う。

で、GWOTが終わると、この仕掛けがばれちゃう可能性が上昇する。当然出発点である911解明も含まれる。

この仕掛けがばれちゃうと、仕掛けた奴らは最低でもアメリカに対する国家反逆罪レベルの人たちになる。

というわけで、絶対に終わらせられないという覚悟を持った人々がいる、と。

米軍のエライ人たちが再々、ロシアは米国にとって実存的な脅威であるとか抜かして少なからぬアメリカ人をビビらせ、一般的にそれは、NATOを使ってロシアを追い詰める体勢を作る米の軍産複合体の金儲け戦略だろう、といった感じで受け止められているが、しかし、これは2つの意味を持つのでしょう。

一つは、ロシアが持っているであろう確度の高い情報が怖い。ロシアが保有するすべての情報の暴露は、GWOTを仕掛けた米国の政治家および各執行機関ならびに特定NGO他の工作機関にとっての実存的な脅威である、って感じ。

もう一つは、目くらまし。冷戦時代だ~とかいうことにして、このまま緊張状態の高い状況を国民に強いれば、GWOTの崩壊、暴露から目を逸らせられる、と思ってると。だからカオス作戦こそ生き延びる道、みたいな感じになってる。

実際、もし、GWOTの仕組みが解明されれば、NATOだのミサイルだのに金かけてる場合ちゃうわけですよ。米国民は当然に、軍や情報機関への監査を要求するだろうし。

というわけで、まぁその、シリア問題ってローカル問題じゃないです、全然。

しかし、仮にヒラリーが当選しても、このほころびだらけで、あちこちで小さな叛乱の芽さえあるようなGWOT時代を維持できるのだろうか?

 


 

公共貨幣
山口 薫
東洋経済新報社

 

ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ
副島 隆彦,副島 隆彦,佐藤 研一朗
成甲書房

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アナーキーな「保守」 | トップ | 米大統領選:リーク合戦と下... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『アルカイダの盾になる国連』 (ローレライ)
2016-10-09 16:26:50
フィリピン大統領が『国連は麻薬屋をサポート』と非難して『国連なんか脱退する』とスピーチしたけどシリアでは『アルカイダの盾になる国連』である。また『フランスや中国』も『踏み絵』になった『アルカイダ戦争決議』であった!
返信する
機構改革 (ブログ主)
2016-10-09 17:07:56
国連は多分、このGlobal War on Terror時代を終わらせて、機構改革したいんだろうなって気がします。

話しあう場としての国連は結局残るでしょうし、ないよりずっといいと私は思います。

で、だから日本はロシアとの平和条約を押し込みたいんじゃないですかね。このままでは日本は第二次世界大戦の結果を受け入れられない1周遅れの国ですから。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事